172-ロスミア星系襲撃戦(前編)
(2025/02/14)広域探索艦ハウンドが出てきていたため、トレーサーに修正しました。
そこからの俺たちの行動は早かった。
シルトリアリージョンへの足掛かりとなる星系、ハダウガゴ星系を目指し、まず真っ先にロスミア星系を襲撃する。
「トレーサー、ジークフリート、ラモラックは左翼に展開! スレイプニル艦隊は敵艦隊下部に回り込め」
指示を出しているアインスを横目に見つつ、俺は俺で別の事をしていた。
ロスミア星系の後部、ゲート付近にいる別の艦隊の指揮を執っているのだ。
「どうだ、ツヴァイ? スキャンに何か映るか?」
『今のところは何も、しかしながら、暗号化された広域通信を傍受し、解析した結果――――司令官の予想通り、輸送艦隊が通る筈です』
情報以外、何も返さない。
宣戦布告では「逃がしてやる」旨の事を言ったが、勿論嘘だ。
逃げたところを襲い、民間人を人質にする。
こちらにとっては捕虜の価値はないが、向こうさんにとっては違うだろう。
民間人に武器を向けられないだろう、本当に騎士ならな。
「オーロラ、民間人に偽装したドローンは移民船に乗ってるんだろうな」
『はい、予定通りハダウガゴへ向けて移動中です』
生体ドローンを使い、自爆させたりジャンプピンガーを展開させてこちらの戦闘を有利に進めるため、オーロラが「どっかそこらへん」の廃墟から持ってきた技術を使った。
有機ドローンとは恐れ入ったが、しかし驚かない。
そういう技術があってもおかしくはないからな。
『スキャン内に、輸送船団が入りました』
「かかったな」
こちらのインターディクションフィールドの仕様を知らないようだ。
帝国側のインターディクションフィールド生成器はスキャンに映るが、こちらは遮蔽したドライの乗機を忍ばせておけばそれで解決する。
「ドライ、ワープ妨害インターディクションスフィアフィールドを展開せよ」
『はっ!』
奴らの使う技術はワープトンネルを形成し、その中を通るものだから、インターディクションフィールドがあればそれは止まる。
対して、ドライの乗機――――オギエルは、エミドの艦船から回収した新ワープ技術を持っている。
ワームホールを形成し、ある一点からある一点まで一瞬で移動する技術だ。
無論、それでのワープには膨大な演算を必要とするが、オーロラがバックに居れば全く問題がない。
「司令官、我々は第一から第四までの基地を破壊、惑星の殲滅はまだですが、指揮官級の消滅を完了しました」
「よし」
アインスからの報告に、俺は頷く。
恐らく敵は、素早く指揮権を委譲して戦うだろう。
「アインス、シグナルトレーサーを使え。バーディクトに搭載されているものだ」
「はい。バーディクト、シグナルトレーサーにて指揮官級の探査を行え」
ローカル通信で、尚且つ暗号化回線で指示を出している存在がどこかにいる。
俺はそれを探すように命じ、アインスは急いでそれを探る。
その間に、輸送船団がこちらの張った罠に引っかかった。
『遮蔽フィールド、解除します』
「許可する」
ティシュトリア級戦略支援旗艦が、装備していたクローキングデバイスを切る。
その途端、円球上に形成されていた光学迷彩・対センサー、レーダーフィールドが解除され、隠れていた艦船が現れる。
「ティシュトリアはその場で待機、ガーンデーヴァ級はターゲットの後、対象を撃破せよ」
『了解!』
ガーンデーヴァは、オルタネーターの強化版である。
その一撃は、映像で見る限りでも驚異的な威力を誇る。
輸送船の分厚い装甲が、シールドを貫通した砲撃によって容易に貫かれる。
輸送船と言っても、素の硬さはエミドのシールド以下のようだ。
「推進器を狙え、足を切ってから重要部位を撃ち抜けば中の人間は勝手に死ぬ!」
『はい! そのようにしろ! 脱出艇は逃さず撃て!』
戦場にはミアプラキドゥス(カノープス上位互換)も来ている。
小さな脱出艇も逃さず掃除できる。
「次席の指揮官を抹殺完了、次はどうされますか?」
「雑魚には構うな、ゲートは既に停止させてある。まずは指揮官クラスと、管制塔にあたるものをすべて破壊しろ。奴らを補給と指示から断絶させるんだ」
「はい!」
アインスもまだまだか。
だが、順調に指揮が上手くなってきている。
「計画」の後も、あいつのために役に立ってくれそうだ。
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