169-ガザツ星系侵攻戦(前編)
Noa-Tun連邦の動きは迅速であった。
四隻のうち一隻がゲートへと向かい、その最終兵器の軸線をゲートへと向けた。
『管制室! こちらゲート監視部隊旗艦! 不明な国籍の大戦艦が出現!』
『何? 帝国軍ではないのか?』
『不明です、こちらの開示要請に応じません!』
『単艦か?』
『いえ、護衛艦隊......総数百六十が付随しています!』
『それを先に言え!』
ゲート周囲の監視艦隊と管制塔がそんな問答をしている間に、インペリアル・エッジが最終兵器『スペクトル』を放つ。
無数のレーザーが力場に収束され、一気に放たれる。
先端に集約されたエネルギーが、ゲートの強力なシールドを一撃で貫通し、内部の機構を全て破壊する。
溢れたエネルギーが、減衰していくシールドを突き破って溢れ出す。
『こ、こちら監視部隊! 敵艦、ゲートを破壊しました!』
『.........』
『どうしたのですか』
『.....こち.........、襲撃.......』
その頃。
管制塔は、無数の駆逐艦、巡洋艦の艦隊に襲撃されていた。
ディクテーター級駆逐艦とバジリスク級巡洋艦である。
援護に入っているのは、ガーンデーヴァ級フリゲート。
後続として送り込まれた艦隊である。
『管制塔の破壊を確認』
「司令部だけを分離しているとは驚きだな」
『とはいえ、戦略上の要地と司令部を分離することで戦力を分かち、敵に司令部を探させることでリソースを割かせるのは良い選択ではないかのう?』
「ああ。中々言うようになってきたな、ディーヴァ?」
シンの言葉に、ディーヴァは歯を見せて笑みを浮かべた。
壊滅した管制塔は、その十字架のような形状を中央部から破断させ、直後爆炎と共に崩壊、爆散したのであった。
『こちら王国軍第十三部隊! 未知の敵からの襲撃を受けている!』
『敵はワープを妨害できるフィールドを任意に展開できるらしい、管制塔!』
『管制塔は落ちた!』
ローカル通信は騒がしくなる。
その喧騒を一つずつ記録して解析し、オーロラは冷静に戦況を進めていく。
勿論、その間要人たちは胡座をかいて見ているわけでは無い。
『アインス、艦載機を四編隊分率いて第三艦隊の支援に回れ』
『イエス、サー!』
『ツヴァイ、ドライは敵の小型戦力が発艦しているステーションへの移乗攻撃を指揮せよ、ツヴァイ...お前ならできるだろう?』
『はい!』
ツヴァイに与えられた機体とは何か。
それは、イェソドという名を持つ機体。
アインスのタウミエル、ディーヴァのマルクトとは異なり、ゲブラー、ケセドのような完全陸戦特化型の機体であった。
陸戦輸送機「バンディット」に載せ、敵の前哨基地に突入させる。
『第四前哨基地、殲滅を確認』
『こちらアインス、ゲート側に退避する艦隊を確認。追撃しますか?』
『インターディクションフィールド発生艦を合流させる、ワープ軸線上に割り込ませろ』
準備のできていない王国軍はみるみる数を減らし、最終的にガザツⅥの前哨基地に集合する結果となった。
『別動隊を除く全艦隊はポイントA-2に集合せよ、スカウト艦隊は分散、敵艦隊の旗艦を特定し報告するのだ』
『AAA編隊はギガス級城塞級戦艦にて補給を受けたのち、スクアッドに分かれて独自行動を開始せよ、繰り返す、AAA編隊は――――』
オーロラの通信が、宇宙の静寂に木霊していた。
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