168-ガザツ星系侵攻開始
パーラット星系を速やかに制圧した俺たちは、即座にプリメイドジャンプゲートを係留し、戦力の展開を始めた。
そして、間を置かずに主力艦を中心とした大艦隊を編成する。
「敵は救難信号を受け取っているはずだ、急げ! 時間をかければかけるほど、敵の戦力集結を許してしまう」
『はい!』
次なる攻撃目標は、パーラット星系に隣接するガザツ星系。
主力艦艦隊を送り込み、武力による暴力で速やかに前哨基地を破壊する。
『それにしても、不思議じゃのう? 何故お主は、こんな早期の作戦で大戦力を投下するのじゃ?』
「帝国程日和見な国じゃないからだな」
『な、なんじゃと....』
「大戦力を投入すれば、王国は二つの選択肢を迫られる。帝国の時とは違い、俺たちには確かな実績があるからな」
『確かにのう....少なくとも、戦地に近い星系でバカンスをすることはなかったじゃろう』
彼女は俺に攫われなければ死んでいた。
他の帝国人と同様に、な。
『ジャンプピンガーを検知しました。ジャンプポータル展開』
「全艦、ジャンプポータルに乗れ! 六〇秒後にインペリアル・エッジもジャンプする!」
インペリアル・エッジは増産され、現状五隻存在する。
それらを旗艦として、迎撃用のフリゲート艦隊が百六十隻付随している。
「現地に展開できる敵の最大戦力は戦艦だが、戦艦は砲の旋回速度からしてもフリゲート艦を抑えるのは不可能だ」
加えて、今回はアレが裏に控えている。
主力艦運用のリスクを考慮したうえでの事だ。
「主力艦は主力艦でしか倒せない訳ではない、だからこそ、主力艦をここまで手広く展開するのは王国侵攻においてこれが最後だろう」
向こうへ展開した艦隊は、全部で10まで存在する前哨基地を、五隻で攻略する。
最終兵器を使えば容易な事だ。
まずは様子見ということだ。
「さっき、二つの選択肢と言ったな。それについて教えよう――――まず、大戦力があるという事を敵が認識した場合、敵は同じく大戦力を差し向けるか、もしくは......戦力を小出しにしてくるだろう」
『前者であれば、王国は大戦力を動員する過程で疲弊し、後者であれば――――やはり、長引く戦争で求心力を失うのじゃな』
「ああ」
人間は恨む生き物だ。
一度でも恨みを買えば、それは永遠に連鎖していく。
「前者であれば、俺たちは障害を早期に排除する事が出来る、主力艦運用のやり方を分析すれば、敵の主力艦保有数もある程度予想できる」
『後者の場合、戦争続行派.....つまり』
「戦争の利権で私腹を肥やす者。殺すことに快楽を見出す戦争屋。国粋主義の愚か者。――――家族を、友人を殺された者。彼らは戦争をやめる気はないし、降伏する気はない。どんなに強力な国家であっても、最終的に王国は二分されるだろう」
孤立無援だったビージアイナ帝国とは違い、王国は強力な上に忠誠深い民を持ち、騎士の精神と不屈の心を持ち、胃袋と鉄の心臓を持ち。
恐らく、ホーエンティア帝国という名の同盟国までいる。
「素晴らしい事じゃないか」
おかげでこんなに回りくどく攻めなくてはいけない。
大変、大変素晴らしい事だ。
『全艦隊、配置完了』
「行動開始」
『了解』
さて。
始めよう、戦争を。
面白いと感じたら、感想を書いていってください!
出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。
レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。
どのような感想・レビューでもお待ちしております!
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




