147-ルル・ネム奪還戦(前編)
翌日。
俺たちは、太陽付近に布陣していた。
そして、アインス達は敵基地への攻撃に移った。
『作戦宙域に到達、攻撃を開始します』
「分かった、こちらも全域スキャンを開始する――――ディーヴァ」
『がってん承知!』
星系全域にスキャン波を放出し、精度を高めていく。
だが、そんな事をすれば、敵を呼び込む。
『敵が現れたぞ。数は5隻じゃ』
「油断はできない、掛かれ!」
俺はデスペラードを突撃させる。
オーロラ制御のデスペラードは、P.O.Dを華麗に回避しながら妨害を仕掛ける。
「マリス・インパルス、対シールド弾装填。ミストルティン、攻撃開始! 1番プライマリを狙え!」
マリス・インパルスが砲撃を行い、エミド艦のシールドを貫通させて破壊する。
そこにミストルティンが攻撃を加え、ダメージを蓄積させていく。
「やはりな」
『? どういう事じゃ?』
「敵はシールド防御で、装甲はそんなに固くないんだ――――っと、ディーヴァ、躱せ!」
『分かったのじゃ!』
マルクト向けてP.O.Dが放たれた。
ディーヴァはスラスターを活用し、それを回避する。
「敵の兵器はシールドをも切り裂く! 油断はするな!」
『分かっておる!』
俺は叫ぶが、マリス・インパルス数隻が薙ぎ払いに巻き込まれて轟沈する。
だが、まだ五隻いる。
「攻撃続行! こちらに狙いを引き付ける! ディーヴァ、頼んだぞ!」
『お任せあれ!』
シュッツェ・フリューゲルスを翼の形へと変形させ、ディーヴァは後方のアステロイドベルトに隠れる。
それを、二隻が追ってきた。
「オーロラ、引き続き敵の相手を頼む! こちらはこちらで、敵を引き受ける!」
『了解しました』
アステロイドベルトに逃げ込んだ俺たちを、エミド艦二隻は執拗に追跡してくる。
『くっ、何てしつこさじゃ!』
「落ち着け、空白地帯に追い込むぞ!」
『了解じゃ!』
マルクトはP.O.Dを回避しながら、アステロイドベルトの岩塊を回避していく。
エミド艦はP.O.Dで岩塊を薙ぎ払い、こちらへ向かってくる。
だが、予想通りだ。
『出たぞよ!』
「A.O.I、発射!」
以前はマルクト下部に付いていた発射台だが、現在は下部の周囲にホルダーとして搭載されている。
全部で十発、A.O.Iが搭載されているのだ。
主力艦すら屠る一撃、エミドとはいえ小型艦如きが耐えられるわけがない。
俺たちを追っていた二隻は完全に消滅した。
「よし......いや、まだか」
オーロラ側の艦隊とは別の艦隊が迫ってきている。
出しているスキャン波を嗅ぎ付けられたらしい。
「スキャンは続行、引き続きアステロイドベルトで敵を引き付けるぞ」
『了解じゃ!』
俺たちはアステロイドベルトを駆け抜け、先を目指すのであった。
『被害拡大、戦力喪失21%』
「........アーマーリペアラをオーバークロック、射程外までマリス・インパルスをショートワープさせてください」
『了解』
その頃、基地の外部では。
無頼率いるアインス艦隊が、基地に対して攻撃を仕掛けていた。
既に外部タレットの掃討は終わったものの、基地から出てきたエミド戦艦の驚異的な攻撃能力に、苦戦を強いられていた。
『敵戦艦、特異点機関に急速なエントロピーの増大を確認』
「無頼を逃がします、CJFGを!」
CompactJumpFieldGenerator.....つまり、短距離ジャンプフィールドを生成するモジュールを使い、無頼は戦艦の薙ぎ払いを回避する。
それでも、逃げ遅れたマリス・インパルス艦十二隻ほどが薙ぎ払いに巻き込まれて爆沈する。
「遠距離弾に切り替え! マリス・インパルスは敵戦艦へ攻撃開始! ドラゴンキラー、ギャラハッド、近接砲撃開始!」
『敵、光子魚雷と思われるものを射出』
「ミストルティン、対空戦闘! ラトルスネイク、砲雷撃戦用意!」
『ラトルスネイク、クルーズ、迎撃ミサイル装填完了。光子魚雷の迎撃を開始します』
戦艦がラトルスネイク艦隊を薙ぎ払うが、シールドを剝がされただけで、攻撃された箇所は高速で修復していく。
反対に、放たれた巡航ミサイルは戦艦に直撃し、既に剥がされていたシールドを無視して装甲に重大な損傷を与えた。
「いける......全艦隊、敵戦艦に対して集中攻撃!」
そして、戦艦は轟沈する。
その周囲にいる艦船は沈黙していた。
戦艦が実質的なボスを務めていたのだろう。
沈黙した艦隊に、Noa-Tun連邦艦隊の連撃が襲い掛かり、かくして基地の戦力は沈黙したのであった。
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