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【完結】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀  作者: 黴男
シーズン7-対エミド戦線

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146-反撃への準備

「これがシエラ星系の概算図だ」


俺はオーロラに指示し、会議室の上部モニターに画像を投影する。

それは、星と衛星の位置と並び順を視覚化したものであり、どこに何があるかも全て載っている。


「既に偵察は終わっているから、敵の露出している基地の場所もある程度把握している」

『流石じゃな』


だろ?

....と言いたいが、これはオーロラの提案だ。

偵察艦のデルゲントを通常空間に放出し、自動ルーチンを組んで遮蔽しながら偵察、指定の時間に指定の座標で回収するという方法で偵察を済ませた。


「更に、敵の機関部が放つ独特な次元振動波から、広域レーダーモードを作成した」

『.....いくらなんでも、進展しすぎじゃないかのう....』

「そして、悪いニュースが一つ」


俺には最大の懸念が一つある。

それは、


「ルルとネムの所在が分からないことだ」

『い....いや! そうじゃないじゃろう!? もっと、勝てるかな....とか、前提部分の悩みじゃないのかえ!?』

「いや、それは....」


それを俺に聞くな。

敵の戦力はいまだ未知数。

シミュレーションも出来ない以上、俺が今心配すべきことはシエラ星系の奪還ではなく、ルルとネムの保護。

それだけだ。


「まず、アインスは敵基地攻撃隊の指揮を頼む」

「はっ」

「無理をする必要はない、あくまで陽動だ」

「承知しました」


敵の基地は、第四アステロイドに指定された場所に建造されている。

周囲にはパーティクルオシレーションディケイ.....P.O.Dを搭載した自動迎撃タレットが無数に浮遊している。

ミストルティン、ドラゴンキラー、ギャラハッドの艦隊で一気に攻勢を仕掛ける。

奴らはワープ妨害を仕掛けてくると分かっているので、今回は全艦隊に「ワープドライブブースター」を搭載している。

瞬間的にワープ強度を高めることで、妨害を振り切るのだ。


「それから、俺たちは太陽付近に布陣し、星系全域の生命反応をサーチする。獣人特有の生体パルスの波長は記録しているので、探知の為にスキャン波をばら撒くことになり、敵軍を呼び寄せてしまうだろう」


それが目的でもあるが。

俺の艦隊はブライ、デスペラード、マリス・インパルス、ミストルティンで構成されており、マリス・インパルスで一方的に仕掛け、近づいてきたらデスペラードとミストルティンでボコボコにする作戦である。

勿論「ボコボコ」などと軽い戦闘では済まないだろうが。


『回収はどうするのじゃ?』

「指定の時間ごとに指定の場所でヨグ=ソトスが潜望鏡を出す。艦隊がそこにいたら、直ぐに回収を開始する予定だ」


つまりは、全滅したら俺の事は捨てろ――――そういう事だ。


『それはッ..........お主、死ぬ――――』

「死ぬわけないだろ」


ディーヴァが狼狽えた声を出すが、俺は死ぬつもりなど微塵もない。


「お前を助けるために命を懸けた俺が、今更この程度の事で死ぬと思うか?」

『わ、妾たちに慈悲など持ち合わせておらぬ相手じゃぞ!? 生きて帰れるとは思えぬ....』

「だったら、俺はお前たちに危険な場所で戦わせて、一人安全な場所でふんぞり返っていろとでも言うのか?」

『....それが支配者の定石じゃ、どんなに合理に合わぬともな』

「だったら、それは間違っていると言わせてもらおう」


俺は支配者ではあるが、神に成り下がるつもりは全くない。

象徴ではなく、責任者であり命令者なのだ。

よって、俺は司令官として前へ出る。


「オーロラ、もし俺が死んだなら、ルルとネムの救出を諦め、アインスを...」

『それはなりません!』

『そうじゃぞ!』


オーロラとディーヴァが同時に否定してくる。

俺は味方を求め、アインスに目を向けた。

だがアインスは、俺から目を逸らした。

どうなっている?

そんなに俺に死んで欲しくないのか?

なぜ? 自分を酷い目に遭わせたのが俺だと知っているお前が、何故?


「...恐れながら、司令官。意見具申が」

「許可する」


アインスが初めて、自主的に俺に口を挟んできた。

許可すると、アインスは真っ直ぐに俺を見つめ、


「司令官には、無頼ではなくサンダルフォンにご搭乗頂きたいのです」

「なぜだ?」

「無頼に、ノーザン・ライツを乗せ、旗艦とします。それを全力で防衛する事で、司令官の存在を完全に秘匿するのです」


なるほど、考えたな。

敵自身はまだ、Noa-Tunの指導者がノーザン・ライツだと思い込んでいる可能性が高い。

ならば、無頼からオーロラが口頭で指示を出し、サンダルフォン艦隊が少数でスキャンを開始すれば、俺たちの方には少数しか派遣されないだろう。


「だが、今度はお前を...」

「司令官、あなたは冷徹で合理的でならなければならないと、私は思っております。どうか、遠慮なく見捨ててください、それが私の存在意義なのですから」


アインスはそう言って、深く頭を下げた。

俺はその頭を上げてやり、言った


「生きて帰ってきたら、専用艦もくれてやる」

「有難き幸せです」


アインスは何故か頬を染めた。

こいつの考えはいまいち読めないが、今のはいい案だった。


「...俺の視界が狭くなっていたかもしれないな、ありがとう、アインス」


死んでは意味がない。

俺の命など吹けば飛ぶ程度の価値しかないが、しかし全ては『目的』のためにある。

それが果たされる前に俺が死んだら、全て意味がなくなる。


「は、私には過ぎた感謝でございます」

「素直に受け取れ、一生に二回もないぞ」

「はい」


アインスは目元に涙を浮かべた。

そんなに屈辱的だったか?


「...ちょっといい雰囲気になったが、敵は強い。各員、油断のないように掛かれ!」

「了解!」

『シンは妾が守る!』

『お任せください』


俺はそう命じて、退室した。

サンダルフォンで出撃するなら、マルクトの新装備の最終調整を終わらせなければならないからだ。


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