145-新鋭艦たち
さて。
旧式の武装ではエミドとやり合うには不足過ぎる。
それが判明しただけでも大きな成果である。
ヘーパイストス含め、生産ストラクチャが恐らく破壊されてしまったので、アルテミスとNoa-Tunの内部で製造するほかないのは歯痒いが、順調に高位艦船は完成し始めている。
『妾を差し置いて、また指揮艦を作ったのかえ?』
「まあ、そう言うな。無頼は本物の戦闘艦だぞ」
高度指揮型戦艦、無頼。
俺はそれを見上げ、そう言った。
真っ黒のその船体は流線型であり、暗く光るオレンジ色の線が走っている。
何物にも頼らない無頼の名の通り、この指揮型戦艦はソロでの戦闘能力も高く、何よりこれまでの指揮艦と異なる点は、アーマー防御型であるという事だ。
「シールドに最初から期待できない以上、一点モノのこいつに命を預けるほかないよな」
値段:法外 価値:超希少 性能:最高の一点ものの設計図から出来た艦艇だ。
こんなものはNoa-Tunの倉庫にはありふれたものだが、しかし理由なく製造する気にはなれないものだ。
無頼は、ゲーム中でも最強であり、電力の供給さえ受けられれば24時間非主力艦から集中攻撃を受けて居ようと沈まない硬さを持っている。
ただし攻撃・機動力はお察しである。
妨害系にも特化しているが、この面は別の艦船が補ってくれる。
俺は格納庫を奥に進み、それを見る。
「デスペラード」
デスペラード級妨害型コルベット。
ブラインドファイス級の改良型に当たるコイツは、兵器妨害に関してのエキスパートとも言える。
一隻だけならサポートに、複数隻いれば立派に害悪になるこの艦は、小型艦故に速度も速く攻撃が当たりづらく、これが出てくるだけで司令官たちが殺気立ちだすのも日常だった。
「それに、ドラゴンキラー」
ダブルエッジの上位互換に当たるドラゴンキラー。
対シールド弾頭を搭載した強力な戦闘艦だ。
射撃訓練を行ったところ、主力艦のシールドに対して貫通傷を与える事が出来た。
「そして、マリス・インパルス」
カノープス上位互換のマリス・インパルス。
その射程距離は一万kmにも及び、敵を近づけさせない戦略が可能になる。
「今回は爆撃艦隊も運用するぞ」
俺は格納庫をさらに奥へ進む。
上に吊られている艦が、紅蓮-雷華。
より上位のボムや魚雷を扱うための設備を持った爆撃艦であり、アカツキⅢの改良版である。
その下で整備中なのが、ラムダスカウター。
アルファスカウターの上位に位置する艦船であり、武装が増えている。
ガチの殴り合いに向かない非合法作戦特化型戦艦において、耐久力は変わらないが火力を大幅に増大させた艦船でもある。
ついでにアーマー防御なので、奴らに群がられても何とか耐えられる。
「そして、まあ後は普通だよな」
装甲巡洋艦ギャラハッド。
こいつはエフェクトキャンセラーという特殊なモジュールを搭載できるように作られていて、自分に掛かっている電子的悪影響――――つまり、デバフを解除できる。
次に、水雷戦艦ラトルスネイク。
魚雷を大量に装備できる特殊戦艦であり、アーマー防御型だが正直脆いので、あまり防御面では期待していない。
シールドを貫通する近接魚雷の威力に期待しているのだ。
最後に、攻城型戦艦ヴァーテックスと城塞級旗艦級戦艦アトランティス。
ヴァーテックスの方は、奴らの本拠地を叩くときに使う、対構造物のエキスパートだ。
アトランティスは、一隻だけだが城塞級の名の通り、戦艦くらいなら数隻収容できる超大型の艦船である。
外に出て、これまでの拠点が利用できないために、臨時の拠点として利用できる艦だ。
回復要員のいない奪還艦隊において、回復役を担ってもいる。
「一度は負けたとしても、最後には勝てばそれは勝利となる」
敗北は経験でしかない。
屈辱は踏み台でしかない。
『何を黙っておるのかのう』
「何でもない。....ただ、奴らの技術を奪取したら、いよいよ怖いものもなくなりそうだなと思っただけだ」
『強欲じゃのう』
俺は作戦を建てるため、格納庫を後にするのであった。
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