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【完結】SFゲームの世界に転移したけど物資も燃料もありません!艦隊司令の異世界宇宙開拓紀  作者: 黴男
シーズン5-ビージアイナ決戦編

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105-悠長な会議/内通

主力艦が撃破された。

通信が途絶する前に齎されたその通信は、帝国の上層部を大きく揺るがした。


「これは由々しき事態です」

「そんな事は分かっておるわ!!」


皇女の側近であるニフリスは、会議の最初にそう叫んだものの、軍事総括のヴィッピスにそう突っ込まれる形で会議が始まった。


「奴らはただの新興海賊では無かったという事だ...」

「アディンバドルを撃破出来る戦力を持つという事は、低く見積もっても厳しい戦いになるな...」

「既に我々の帝国領は、51%が奴らの領域ですから、もし首都に集結させている主力艦隊が敗れれば、我々は腹を見せて降伏するほかありません」


現在の帝国は、Noa-Tun領域(連絡途絶領域)が51%、辛勝星系が22%、残りが帝国領といった状態であった。

敵対している王国側にその状況を伝えるのも、リスクがあり抱え込むしかない状態である。


「だが、奴らが主力艦を打倒する程の艦船を所有しているとはいえ、所詮は一隻。我らが帝国の誇る四隻の主力艦を前にすれば、ただ震え上がり死を待つほかあるまい」


その時、高位貴族の一人が発言する。

それは軽率とも取れる発言だったが、意外にもそれは主流な考えとして受け止められた。


「そ、そうであるな。奴等の心の支えは一隻しか無い主力艦に過ぎぬ。それを打ち倒して仕舞えば、帝国に恐れをなし逃げ出すであろう」

「所詮はぽっと出の勢力、主力艦一隻動かすのに精鋭の半数をかけておろう、その喪失は無視できぬものの筈」


こうして貴族たちは、Noa-Tunの強力さから目を背けて、首都防衛に切り替える事にした。

彼らの心の支えである主力艦...

攻撃型旗艦級戦艦『ジルストリーク』

空母型旗艦級戦艦『バライエルード』

攻城型旗艦級戦艦『クロムセテラス』

突入型旗艦級戦艦『ビースミルコルド』

それらは、負け知らずの最強の船であり、これらが集まる事で王国をも牽制していた。

そして、主力艦が一堂に集うという事は、どのような船ですら轟沈させられるということもである。

貴族たちが自信を取り戻すには、十分な理由であった。


「......」


その様子を、皇女ディーヴァは物憂げに見ていた。

連邦の実力はこんなものなのだろうか、と。

自分を救ってくれた有能な男シンですらいち指揮官に過ぎない勢力が、主力艦を一隻持っているだけだろうか? と。

だが、軍事においてはディーヴァは何も知らぬ小娘に過ぎない。

下手に口出しをすれば戦局に影響を及ぼすかもしれない。

そう考えて、ディーヴァは沈黙を貫くのだった。







部屋へと戻ったディーヴァはすぐに部屋の隅の鏡台へと向かい、その上部にあしらわれた王家の紋章をずらす。

直後、壁の一部がスライドし、小さな隙間が現れた。

その隙間から、ディーヴァは小さな情報端末を取り出した。


「......確か、20:00丁度じゃったな...」


連邦との時差は丁度12時間のため、ディーヴァは事前にシンと連絡時間を設けていた。

7:00、12:00、15:00、20:00、26:00のどれかである。

このどれかの時間帯に、ディーヴァから連絡を送る。

そうすることでシンが答え、通話が成立するのだ。


『こちらNTF、こちらNTF、暗号を』

「模範者は二度眠らず...です」

『了解です。シン司令官にお繋ぎいたします』


Noa-Tun Federationの略であるNTFという中継を通し、暗号を言うことで初めて接続される。

これは帝国側からのハッキングを防ぎ、不用意な会話によりデーヴァの裏切りがバレる事を不安視したシンの安全策であった。


『久しいな、定期通信か?』

「はい...その、首都に主力艦が集結するようです、もし首都の侵攻戦に参加されるのでしたら、気をつけた方がいいかと」

『分かった。こちらも一つ情報を得た、次の戦闘の旗艦は赤いパーソナルカラーの中型艦だ。それとなく伝えてくれ』

「分かりました、それで...ええと」

『ああ、分かっている。連邦が崩壊した暁には、そちらを訪問するゆえに、騎士にでもしてくれ』

「はい!」


既にディーヴァの中には、謎の騎士シンと女帝ディーヴァのラブストーリーが完成していた。

ノーザン・ライツ連邦主席こそが真の悪だと誤解している彼女は、シンさえ救い出せればそれで良かった。

それが巨大な罠であるとも知らずに。


「が、頑張りましょう」

『ああ』


脳内麻薬で倒れそうになりながら、ディーヴァは通信を切り、素早く通信機を戻して壁を閉じた。

こうして、戦いは互いの真実と嘘が入り混じったものとなっていくのだった。


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