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服事情と朝食

 おはようございます。

 ユーカです。

 昨日は早寝したので、ちょっと早起きしました。

 まぁ、農家の朝は早いので、いつもの感じで起きちゃったんだけどね。

 体感では朝の5時くらいかな……。

 ちょっと、時計が無いから正確にはわからないけど、窓から外を見ると太陽が昇り始めたところみたいだ。

 うーん。これからどうしよう……。


 とりあえず、朝の身支度はしないとね。

 トイレや洗面所、お風呂の場所は昨日のうちに確認済みだから大丈夫。

 使い方も、水を出したりするのは、青い石に触ればいいみたいだし、自分でも使えるはず。

 問題は服よね。昨日の夜、ヘルマさんにクローゼットの中を見せてもらったが、ほとんどがロングワンピースタイプで背中をフックか紐で止めるタイプだった。

 一人では着られない……。

 パジャマのネグリジェは被るタイプなんだから、服も被るタイプにしてほしい。それか、男性みたいにパンツスタイルの方が動きやすい。

 でも、昨日の女性陣をみたら皆さんロングワンピースタイプだったから、ロングワンピースが標準なのかもしれない……。

 みんな後ろは誰かに止めてもらってるのかな……。

 

 まぁ、出来るところまでやってみよう。


 そう思い、トイレに行って顔を洗い、髪を梳かしてみた。

 洋服にもチャレンジしようと思い、クローゼットので派手じゃない黒のロングワンピースを選び挑戦する……。

 うーん。腰のあたりと首のところは止められたけど、肩甲骨のところが届かない……。

 やっぱり、無理か……。


 そんな感じで悪戦苦闘していたら、コンコンとドアを叩く音がした。

 クローゼットから出てから返事をした。

 

「はーい。どなたですか?」

「ユーカ様。ヘルマです。朝のお支度のお手伝いにまいりました。」

「どうぞー。」

 そう返事をすると、ヘルマさんが部屋に入ってきた。


「おはようございます。ユーカさま。」

 部屋に入ってすぐに挨拶をされた。

「おはようございます。ヘルマさん。あの、少し助けてもらってもいいですか?」

 そう言った私を見てヘルマさんは目を見開き驚いた顔をしていた。


「ユーカさま、ご自身でお支度をされたのですか?」

「はい。でも、さすがに服を一人では着られなくて……。あの、後ろを止めてもらってもいいですか?」

「もちろん。ですが、今日はそのお洋服ではない方がよろしかと……。」

「えっ?どういうことですか?」

「今日は、このお屋敷を見て回る予定だと伺っております。なので、もう少し動きやすいものが良いかと……。」

「確かに。あの、どれが動きやすいのかわからなくて……。選んでもらえますか?」

「もちろん。そのために来たのですから、お任せください。」

「あの、よろしくお願いします。」


 ヘルマさんはクローゼットに入って行ったので、私もついて行った。

 ついでなので、服事情も聞いてみよう。


「あの、ここにあるのはロングワンピースがほとんどですが、こちらの世界では、女性はロングワンピースを着るのが当たり前なのですか?」

「そうですね。お子様の場合だとひざ丈くらいのワンピースなのですが、成人した女性は足を全て隠すようなワンピースが主流です。」

「そうなんですね。だから、ロングワンピースが多いんだ。じゃぁ、男性みたいにパンツスタイルになることは無いんですか?」

「男性のように足の形が分かるパンツ姿などはあり得ません。たとえ、女性騎士や女性冒険者であっても完全にパンツになることはありません。ロングスカートに見えるようなパンツがあるので、そちらを身に着けることが多いです。なので、ユーカさまもパンツ姿などはなさらないようにしてください。もし、スカートが動きずらいようでしたら、別のものを用意いたしますので……。」

「そうなんですね。わかりました。気を付けます。」

「では、今日のご衣裳はこちらなどがよろしいかと。そう言って、濃いグリーンのワンピースを持ってきてくれた。裾と袖に刺繍がされていて、落ち着いた感じのロングワンピースだ。」

「こちらでしたら、ウエストの部分で裾を上げても模様がきれいに出ますから。」

 確かに、他のワンピースは全体にうっすら模様が入っている物が多い……。それに、私にとっては全てロングワンピースだから裾が長い……。

 ヘルマさんが選んでくれたものの方が絶対いいだろう……。

「それでおねがいします。」

「はい。かしこまりました。」


 そう言って、今着ている物を脱いで、着替えさせてもらった。

 ちなみに、裾上げもベルトを使いしてもらった。


「準備したお洋服は全て、ユーカさまには裾が少し長いようで申し訳ないです。奥様にはお伝えしているので、今日いらっしゃるレナードさまにも伝えて、少し裾の短めなものを用意してくださると思います。準備が出来るまではどうか我慢してくださいまし。」

「そうなんですか。私の背が低いばかりにご迷惑をおかけします。」

「いえ。こちらもアンナさまがいらっしゃると思い、アンナさまの背丈に合わせたものを準備してしまいましたから……。」

 確かにおばあちゃんは背が高かった。160cm後半くらいの高さはあったと思う……。あの年代にしては高身長だったな……。

 ちなみに、うちの家族は私とお母さん以外の身長は高かった気がする……。

 そこはお母さんに似たのか!今、気が付いた……。嫌われていたけど、似ているところもあったんだね……。

 そんなことを考えこんでいる間に、アンナさんの着付けは終わった。


「では、こちらに移動してくださいませ。」

「はい。」

 昨日使った鏡台の前に促されたので、大人しく従う。

 そして、また髪と化粧をしてもらった。

 その時に聞いたのだが、成人した女性は髪の毛をまとめて、化粧をするのが決まりみたいだ。

 化粧も決まりがあるみたいだが、よくわからなかった……。

 わかるまでは、しばらくお願いするしかない……。

 ヘルマさんも、ご自身でされずにお任せくださいと言ってくれた。

 それに、この屋敷の奥様達はご自身でされずに侍女がお手伝いをするのが普通なので、気にしないように言われてしまった。

 庶民だった私には馴染まないが、ここではわからに事が多いから、失礼にならないためにもやってもらった方が良いのかも……。

 いつか、出来るようには頑張ろう。


 そんな感じで朝の支度を終え、ヘルマさんに昨日案内してもらった食堂へ連れて行ってもらった。

 慣れるまでは、このお屋敷で迷子になりそうだ……。


 食堂に入ったがそこにはエルしかいなかった。

 とりあえず挨拶はしないと……。


「おはようございます。エル。」

 そう言ったら滅茶苦茶素敵な笑顔で答えてくれた。

「あぁ、おはよう。よく眠れたかい?」

 

 朝からとても眩しい笑顔だ……。キラキラすぎて目が痛い……。

 

「はい。疲れていたのか本当によく眠れました。」

「それは良かった。」

「もう少しすれば父上たちも来ると思うから、座って待っていてくれ。昨日と同じようにこちらの席に座るといい。」

 そう言って座っていたのにわざわざ立って、椅子を引いてくれた。

「はい。ありがとうございます。」

「どういたしまして。」


 エルは機嫌が良さそうだ……。無駄にキラキラしている笑顔をこちらに向けてくる……。

 とりあえず何か会話をしないと……。


「あの、昨日の夜に少しだけ精霊のヒューと話をしたんです。そのことを聞いてもらえますか?」

 そう話したら、真剣な顔でこちらを見てうなずいてくれた。

「もちろん。どんな話をしたんだい?」

「えっと、ヒューのことについてなんですけど……。ヒューは精霊王らしくて、全属性の魔法の補助をしてくれるのと食べられるものを教えてくれるみたいです。」

 とりあえず簡潔に話してみたが、食べられるものを教えてくれるって……なんか食いしん坊みたいな印象になってしまうな……。

 そんなことを考えていたら、エルは驚いた顔をしていた。

「精霊王だって!?」

「えっ!?はい。ヒューがそう言ってました。」

 なんか気にするところが間違っていたようだ……。

「そうか……。それは父上に報告しないとな……。より重要性が増したな。」

 うん!?重要性が増したってことは、精霊王ってなんかヤバいのかな……。

「あの、精霊王と契約するって珍しい事なんですか?」

「あぁ、今までにも精霊の契約者はいたし今も精霊と契約している者もいるが、それはそれぞれの属性に合った精霊と契約しているんだ。」

「属性?」

「そうか、魔法のことも知らないのか……。簡単に言うと、この世界では魔法を使える人がいる。その魔法には火・水・風・土・光の5つの属性があると言われている。そのすべてを使えるものもいるが、それはとても珍しく、ほとんどいない。大体が一つか二つの属性を使える。魔法を使えないものもいるしな。精霊と契約できるものは魔力が多いもがほとんどで、その属性魔法を極めると精霊と契約できるといわれている。なので、基本的に使える属性に合った精霊と契約しているんだ。まぁ、精霊の情報は少ないからすべてが分かっているわけではないのだが、精霊王と契約した人は今までにいない。それに、ユーカは全属性の魔法が使えるだろう。ということは、精霊王というものは全ての属性が使えるのではないか……?」

「はい。確か、すべての魔法を補助できると言ってました。」

「そうか、それは本当に珍しい事なんだ。」

「そうなんですね……。」

 なんか、色々と面倒くさいことになりそうだ……。

 

 そんな話しをしていたら、ヴェス伯父さんとウィル伯母さんがやってきた。そして、ルド一家も同じだったようだ。


「おはよう。ユーカ、エル。」

 二人でその場に立ち上がり挨拶を返す。

「「おはようございます。」」

 声が揃ってしまった……。


「ふふっ。ユーカ、良く寝られたかしら?」

 ウィル伯母さんが笑顔で声をかけてくれた。

「はい。それはもうぐっすりと眠れました。」

「それは良かったわ。」

 なんか、みんなが微笑ましい感じで見ている……。本当に子供じゃないですからね……。

 そう思いながら、皆さんが席に着いたので、自分も席に座った。

 そうしたら、またタイミングよく料理が運ばれてくる。

 朝は、具沢山スープとパンのみの様だ。

 スープの色も昨日の夜と違い赤い色をしている。トマトスープかな……?

 パンはハードパンを薄切りにしたもののようだ。


「では、頂こう。精霊に感謝を。」

「「精霊に感謝を」」

 私もみんなと同じように言ってみた。でも、こっそり「いただきます」とも言ってしまった。まあ、いいか。


 今日のスープは予想通りトマトみたいな味がした。

 相変わらず薄味で出汁が抜けているようだが、素材の味が良いのか薄いけれど美味しい。

 パンも硬めだが、嚙めば嚙むほど味がした。


 食事の途中でエルがヴェス伯父さんに話しかけた。


 「父上、ユーカのことなのですが……。ユーカが契約したのは精霊王の様です。」

 「そうか。昨日の時点で、ユーカが全属性の魔法を使えることはわかっていた。そのユーカが契約したのなら、全属性を扱える精霊だろうとは思ったが精霊王か……。ますます、しっかりと保護しないと危険だな……。」

 「はい。私もそう思います。」

 「私もです。」

 ルドとエルがヴェス伯父さんに答えていた。

 やっぱり、珍しいから危ないのか……。


 「ユーカ、安心していい。必ず守るから。ルドはすぐに王都に連絡を取ってくれ。私からも手紙を書くが、ルドなら早く王に伝えることが出来るだろう。それからエル、ユーカの護衛を頼む。お前が付いていれば安全だろう。それと、ユーカに魔法の使い方も教えてあげるといい。お前もすべての属性を使えるからな……。」

 「はい。すぐに連絡を取ります。」

 「はい。護衛と魔法の指導を行います。」

 「あぁ、頼む。ユーカはエルに色々と教えてもらうがいい。エルは全属性の魔法が使えるから……。」

 「はい。ありがとうございます。エル、よろしくお願いします。」

 「ああ、任せてくれ。」

 エルも全属性の魔法が使えるんだ……。じゃぁ、エルも珍しい魔法使いなのかも……。

 あとで聞いてみよう……。

今後しばらくは、毎日1話を12時の更新予定です。

しばらくはストックがあるので、大丈夫だと思いますが、変更になる際はお知らせします。

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