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見知らぬ世界

 優花は、ふと目が覚めた。


 えっ!見知らぬ天井が見える。

 なに!?どういうこと?


 そうだ!わたし、崖から落ちて、左手を怪我して、いっぱい血が出ていたけど、動けなくて意識を失ったんだ。

 そうだ、止血しないと……。


 あれ……?身体が痛くない……。

 優花は起き上がり、左手を見ると見知らぬ服になっていた。

 袖を巻くってみると傷痕すら無い……。

 

「えっ?どういうこと?」

「それに、この服はなに?こんな服持ってないけど……。」


 そんなことを思っていたら、ふと目の前に白い光が見えた。

 よく見ると、白い光は5センチくらいの小さな人が飛んでいた。


「えっ?誰?」

 思わず声が出てしまった。

 不思議に思い首をかしげていると、目の前の小人も体全体で斜めになっていた。

 ちょっとかわいい♡


「大丈夫?痛くない?」

 不思議な声が聞こえた。


 誰だろう……?

 辺りを見回してみるが、人はいない。

 今、気がついたけどなんか豪華な部屋なんだけど!!

 どういうこと?


「痛いの……?」

 また聞こえた……。


 もしかして、目の前の小人……?


「あなたが話しかけているの?」

「そうだよ。痛い?」

「えっ、あっ、痛くないです。」

「なら良かった。ずっと側に居たのに助けられなくてごめんね。」

「えっ?どういうこと……?」


 ちょっと、頭の中が混乱して固まっていたら……。


 コンコン――――ガチャ――


 優花はドアの方を向いた……めちゃくちゃイケメンがいる!!!

 えっ……????

 イケメンもこっちを見て、驚いたのか目を見開いている。


 綺麗な青い瞳だなぁ~それに、短髪だけど金色……。

 えっ?外国人?


 どういうこと?


「すまない。まだ起きていないと思って返事もないのにドアを開けてしまった。目が覚めたんだね。ひどい怪我だったが……。父上が治癒魔法を使い治したのだが、まだ痛みはあるか?」

「えっ……いえ、痛みは無いです。」

 なんか、外国人なのに話していることが分かるぞ……。どういうこと……?


「そうか、なら少し話せるだろうか?」


 なんか話が進んでいるけど、助けてもらったみたいだし、お礼言わないと……。


「はい。大丈夫です。えっと……助けていただいたみたいで……ありがとうございます。」


「いや。助けたのは父上だ。だから、お礼は父上に言ってくれ。もう少ししたら、この部屋に来るはずだから……。」

「はい。」

 この人のお父さんが助けてくれたのか……。


「それより、君の名前を教えて貰ってもいいだろうか?」


「はい。私は原島優花といいます。」

「ハーラシマ・ユーカか。変わった名前だな。」

「いえ、優花が名前です。優花・原島です。優花って呼んでください。」

「ユーカか。私はエルガードという。」

「エルガードさん……」

 聞いたこともない名前だ……。

「サンはいらないぞ。エルガードと呼んでくれ。言いにくかったらエルでもいいぞ。エルと呼ばれることの方が多いからな。」

 笑顔でそう言われた。

 さて……困った……さんが敬称では無く名前として読んだと思われてる……初対面で呼び捨てってどうなんだ……まぁ、本人良いって言ってるんだからいいか!

 

 「えっと……エルと呼ばせて貰っても良いですか?」

「ああ。もちろん。」

 笑って許してくれたが、イケメン過ぎてアラサーの心臓に悪い……。

「あの…エル、ここはどこですか?私、崖から落ちて森の中にいたと思うんですけど……。」

「ここは、クノーブバラ王国レッテフォート領にあるレッテフォート辺境伯の屋敷だ。君は、精霊の森で倒れていたんだ。父上は叔母が帰ってきたって言って、精霊の森に向かったのだが、叔母では無く君が倒れていたんだ。出血が酷かったから父上が治癒魔法を使ってユーカを助けた。いろいろと話しも聞きたかったから、家に連れてきたんだ。」

「そうなんですね……。」


 なんか、話しを聞いてもよくわからないぞ……。

 とにかく、助けてもらったのはわかった。

 ただ、治癒魔法?……クノーブバラ王国……?

 わからないことがいっぱいだぁ――。


 コンコン――

 

 疑問でいっぱいで、混乱していたらドアを叩く音が聞こえた。


「たぶん、父上だと思う。」

 そう私に言って、エルがドアを開き対応していた。


 エルが相手を連れて私の近くに戻ってきた。

 今度はイケオジがきた――!!

 顔立ちがエルによく似ているから、やっぱりお父さんだったのかな……。


「失礼するよ。目が覚めたみたいで良かった。一応、全ての傷は治したと思うのだが、傷むところはないかい?」

「えっと、大丈夫です。」

「それは良かった。」

イケオジは優しい……。って、助けてもらったんだからちゃんとお礼を言わないと……。

 慌ててベッドから立ち上がろうとしたが、慌て過ぎたのか何故か手が滑って、顔面から床に落ちそうになった……。

「うわぁ!」

「おっと、大丈夫かい?」

 イケオジに助けられた……。ありがたやー。


「すみません。滑ってしまって。」

「いや、傷は治したが体力は戻っていないのだろう。傷を治すのには体力が必要だからね。話しは後日でも良いから、まずは休んで体力を戻した方がいい。ほら、横になって……」

「いえ。あの、本当に滑ってしまっただけで、大丈夫ですから。それよりも、助けていただきありがとうございました。」

 話しを遮って立ち上がり、お礼を言った。

「いや、当然のことをしただけだ。酷い怪我だったから、元気になって良かったよ。」

 笑顔でそう言ってくれた。優しそうな人だ……。

「ありがとうございます。」


イケオジとのやり取りで、顔に出さないように気をつけながら、内心ではニヤニヤしていたら、エルが話しかけてきた。


「ユーカ、こちらは父上だ。父上、こちらはユーカです。」

「そうか。ユーカというのだね。エルガードの父のリーヴェスだ。」

「えっと、原島優花です。えっと、こっちでは優花・原島です。優花と呼んでください。」

「そうか。ユーカ、色々聞きたいことがあるのだが、まずは座って話そう。」

 そう言って、私をベッドに座らせてくれた。

 その間に、エルが部屋にあった椅子をベッドの近くに持ってきてくれた。


 二人が椅子に座って、ベッドに座っている私の方を見た。


「まず始めに聞きたいのは、なぜユーカがその指輪を持っている?その指輪は、私が妹に渡したものなのだが……。」

 指輪……?自分の手を眺めたら、左手の人差し指に指輪が嵌っている。

 これ、おばあちゃんの手紙に入ってた指輪だ。

 あの時急いでたから、とりあえず指に嵌めたんだっけ……。

「えっと、これは祖母に貰ったものなんです。」

「祖母……。では何故、君のお婆さんがその指輪を持っていたんだ?妹と関係があるのか?」


「えっと、祖母は原島 杏奈という名前なんですけど……えっとこっちでは、杏奈・原島ですね。あの、直接聞いた訳では無いんですけど、手紙には祖母がお兄さんにこの指輪を貰ったって書いてありました。この指輪は元の世界に帰ることが出来るって……。」

 あれ……?今、妹に渡したって言ってたよね……。おばあちゃんはお兄さんに貰ったって……。


「あの、もしかして祖母のお兄さんですか?」


「アンナ・ハーラシマ……。ユーカ、お婆さんの名前なんだが、以前はアンナ・レッテフォートという名前ではなかったか?」


 アンナ・レッテフォートってなんか聞いたことがあるような……。


「えぇっと…………アンナ・レッテフォート……??あっ!!その名前、手紙に書いてありました!!」


 そうだよ!!手紙の最後に書いてあったよ。

 それに、お兄さんの名前も書いてあって、違う世界に行くことがあったら頼る良いって書いてあった。

 確か、お兄さんの名前も書いてあったけど、忘れちゃったな……。

 でも本当に、おばあちゃんのお兄さんなら……若過ぎない?


「あの……私の服とか荷物って近くにありませんでしたか?カバンの中に祖母の手紙が入ってて、それを見れば名前のことも証明出来るんですが……。」


「あぁ、それならそこに……。袋の外側は汚れていたが、中身は汚れていなかった。一応、危険な物が入っていないか確認はさせてもらった。すまない……。」

 そう言って私の非常持ち出しリュックを渡してくれた。

「いえ、怪しい人の荷物はちゃんと確認しないとダメですから……。あぁ、良かった。確か手紙はリュックの中に入れたはず・・・。」


 ガサゴソ……あった!!


 やっぱり、アンナ・レッテフォートって最後に書いてある!!

 ええっと、おばあちゃんのお兄さんの名前がどこかに書いてあったはず……『リーヴェス・レッテフォート』って書いてある。

 先程名前を教えてもらった時、リーヴェスって言ってたな……。


「あの……やっぱり祖母の名前はアンナ・レッテフォートというみたいです。おじいちゃんと結婚して苗字が変わったみたいで……あの、祖母のお兄さんのリーヴェス・レッテフォートさんですか?」

 混乱しながらも、イケオジに聞いてみた。


「そうか、先程は名前だけしか名乗らなかったな……。私の名はリーヴェス・フォン・レッテフォートと言う。」

「じゃあ、本当に私の祖母のお兄さん……。大伯父さんってことになりますよね?」


「ユーカのお婆さんが妹であったなら、そうなるな……。」

 そうか、おばあちゃんの手紙をまだ見せていないや。


「あの、一応手紙をみてみますか?祖母が書いた手紙なんですけど、そこに大伯父さんのことも書いてありますので……。」

 そう言って、祖母の手紙を大伯父に渡した。


 あれ?日本語読めるのかな……。

 まぁ、なんか読めてるみたいだし、いいか。


 でも、おばあちゃんの手紙の通りなら、ここは別世界ってことだよね……。

 手紙の通りだともう日本には戻れないのか……。

 なんか、不可抗力だけど崖から落ちて、血が出て指輪に着いちゃったからこの世界に来たってことだよね……。

 まぁ、向こうの世界にそのままだったら、発見されるのに時間がかかってあのままだったら死んで可能性の方が高いし、良かったのかな……。


 そんなことを考えていたら、大伯父さんは手紙を読み終わったみたいだ。


 「やはり、ユーカのおばあさんが私の妹のようだ。そうか……無くなってしまったのが残念だが、幸せに過ごしていたのだな。良かった。」

 「そうですか……。あの、本当に祖母は幸せそうでした。祖父ともとても仲良しでしたし……。」

 「そうか……。」

 大伯父さんは、少し寂しそうだが笑ってくれた。

 

 「あの、祖母の手紙だと向こうの世界にはもう帰れないだろうと思うのですが……。本当でしょうか?」

 「あぁ。おそらくもう元の世界には帰れないと思う。アンナを別世界に送った時は私が魔法陣を構築したのだが、安全な世界と場所ということしか指定できなかったのだ。だから、同じ魔法陣を作っても同じところに戻れないと思う。」

 「そうですか。なら、この世界で生きていかないとですね。」

 「そうなる……。」


 なんか、大伯父さんの方が落ち込んでいるな……。別に私は気にしていないのに……。

 まぁ、ちょっとは家の事とかお父さんたちのことも気になるけど、今生きているだけで良かったって思っているのに……。

 てか、この世界でどうやって生きていこうって方が重大……。

 知らないことが多いから良くわからないし……。少しの間だけお世話になれないか聞いてみよう!


 「あの、私は元の世界に戻れないみたいなので、大変申し訳ないのですけど少しの間だけでもここに住まわせてもらえませんか?あと、出来たらこの世界のことを教えてもらいたいのですが……。」

 「あぁ、そのことなら心配しなくていい。アンナが帰ってきたときと同じように、ここに住まわせるつもりだった。ユーカはアンナの孫になるのだから遠慮せずここに住むといい。」

 「ありがとうございます。なるべく早く一人で生活できるように頑張りますので。」

 「そんなに急がなくていい。それに、まだ子供なのだから働くのは難しいと思うぞ。まずは勉強から始めるといい。」

 

 あれ……?まだ子供?いくつに見られているんだろう……?


 「あの、私はもう成人していて、むしろ成人してから10年くらい経っているのですけど……。私っていくつに見えてますか?」

 「えっ!?13歳くらいだろう?大人に見せたいからってそんなウソをつかなくていい。」

 「えっ!?13歳って……。それは無いでしょう。私、29歳なんですけど……。」


「えっ!?」

「えっ!?」

 

 なんか、同時に二人の声が聞こえた……。

 いやいや、日本人は若く見られるって言っても13歳は無いでしょう……。

やっと、異世界に・・・。

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