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ヴェス伯父さんの魔法教室?

 この世界に来て3日目。

 天気は晴れ。うん。朝が早いからなのか、とてもすんだ空気だ。

 まぁ、早いと言っても体内時計では朝の5時くらいかな……?

 森の近くだからかもしれないが、とても清々しい。

 

 今日はヴェス伯父さんに魔法を教わるのと、食材が届くみたいだから料理が出来るぞ~!

 この世界の食材は昨日見た限り、日本と同じような物が多かったけど、見たことのない食材もあるかな……。

 楽しみ~!

 よし、とりあえず身支度だ~。


 顔を洗ったりは出来るけど、相変わらず服が後ろボタンだから自分でできないよ~(T_T)

 服に悪戦苦闘してから約1時間くらい……昨日みたいにヘルマさんが来てくれた。

 なんか、私が選んだ服じゃない方が良いみたい……。

 基本は後ろボタンのワンピースじゃないとダメなのかと思ったら、そうじゃなかったみたい……。

 ヘルマさんに身支度は自分が来るまで待っていて欲しいと言われてしまった……。

 うん。

 こっちの常識も知らないから、こういうのはお任せした方がいいよね。

 もう、服選びと着替えはお任せします。

 

 今日の服装は、ワンピースじゃなくて薄手の7分袖くらいのトップスと長めのキュロットスカートだった。

 うん。動きやすい。

 そういえば、日本では夏だったけど、こっちは春っぽい陽気だった。

 ヘルマさんに季節について聞いてみると、この世界でも四季はあるらしい。

 ただし、冬の季節は短くて、1ヶ月くらいしか無いみたい。その代わり、夏が一番長くて、今のような気温が続くみたい。

 私の感覚では春みたいだと感じたけど、今は夏なんだって。

 日本より暑くないと思っていたが、これから暑くなっていくみたい。

 今は初夏ってところらしい。


 ヘルマさんには、着替えだけでなく化粧もお願いしてしまった。

 うん。こっちの世界の化粧品はどれが何なのかわからないからしょうがない。


 身支度が済んだら私は食堂へと向かった。

 食堂へ入ると皆さん揃っていた。

 みんな、起きるのが早いな。

 話を聞いていると、他の貴族の家ではもっと朝は遅いらしい。

 レッテフォート家では、ヴェス伯父さんは魔法使いだがウィル伯母さんとエルは騎士なので、朝練とかをするためにみんな早起きらしい。

 長男のルドさんと次男のレナードさんも騎士ではないが、貴族のたしなみとして剣を握るので朝練には出来る限り参加しているらしい。

 リズさんは嫁いできたときは驚いたけど、今では早起きしてカティちゃんの魔法の練習を見てあげているみたい。

 ちなみに、皆さんはすでに朝練済みらしい……。

 私が一番遅かったみたいだ……。

 すみません……起きてはいたんですけど、服が着られなくて……選んだ服も間違っていたみたいだし……。

 そんな話しを食事をしながら話したら、みんなに笑われたのと同時にヴェス伯父さんに謝られてしまった。

 私に用意してくれた服は、おばあちゃんが戻ってくると思って用意したものだから、貴族女性が着る後ろボタンのワンピースしか用意しなかっただとか……。

 この国では、基本的に女性はワンピースを着ることが多く、特に貴族の女性は手伝いが必要な後ろボタンのワンピースやドレスを普段から着るんだって。

 ただ、ウィル伯母さんみたいに騎士の人は、身軽に動く必要があるので、今日私が来ているみたいな恰好でいいらしい。

 ウィル伯母さんいわく、男性陣みたいにパンツスタイルの方が本当はいいのだが、女性の体の線(特に足元)が分かるような恰好は良いとされていないんだって。

 昨日の買い物で、私に合ったキュロットスカートタイプの服を多く注文したから、出来上がるまでもう少し我慢して欲しいと言われちゃった。

 ちなみに、今日の服は子供用の服をこの家の侍女さんが私に合わせて直してくれたものらしい。

 侍女さん、ありがとう♡

 昨日の私の様子や話を聞いて、動きやすい服が良いだろうとヘルマさんが頼んでくれたみたい。

 ヘルマさんもありがとう。

 今日は、ヴェス伯父さんとの魔法の練習や厨房での料理で動き回りたかったから助かります。

 今日みたいな恰好でいいなら自分で身支度出来ると喜んでいたら、貴族女性の身支度には侍女が必要なので、私にも専属の侍女を付けるので、その人に身支を任せるといいとヴェス伯父さんに言われてしまった。

 私は貴族女性ではないと言ったのだが、昨日の夜遅くに王宮から知らせが届いて、無事に魔法使いの登録ができたらしい。

 そして、全属性の魔法が使える事やその他の情報から、ヴェス伯父さんの姪にあたり、親族としても登録したんだとか……。

 なので、私はレッテフォート家の一員になり、貴族の仲間入り!!

 なので、貴族女性であるため、専属侍女を付けるとのこと。今は、誰が専属侍女になるのか決めているところらしい……。

 なんか、すみません。

 ちなみに、ヘルマさんはこの家の侍女長さんなので、専属には付けられないと言われた。

 午後には魔獣騒動後に帰宅していた使用人さんたちも全員戻ってくるらしいので、それから決めるみたい。

 まぁ、侍女さんが決まったら、明日からの身支度とか色々話し合おう!

 

 今日の朝食のスープは昨日の夜と同じで鶏がらの具沢山スープだったので、美味しかった。

 とりあえず、午前中はヴェス伯父さんに魔法を教えてもらえるみたい。

 がんばるぞ~!


 朝食を終えて、昨日魔法を使ってみた騎士団の練習場へヴェス伯父さんとエルの3人で移動した。

「まずは、ユーカの魔法を見せてもらおうかな。昨日使った魔法でいいからやってみてくれるかい?」

「はい。じゃぁ、ヒュー出てきてくれる?」

「なぁに?」

「これから魔法を使うんだけど、ちょっと不安だから側に居てくれる?」

「いいよ!」

「じゃぁ、昨日やった魔法をやってみるね。」

 そう言って掌に炎を出したり水の玉を出したりしてみた。

 そして、最後に土人形づくりと陶器へ変化させるように青い炎を出して焼く作業までを一通りヴェス伯父さんに見せた。

 今回の土人形はミニチュアサイズのヴェス伯父さんだ!

 

「ユーカ、見事だな。魔法を始めて間もないのにここまで使えるとは……」

「そうですか?魔法はイメージと聞いたので、使う前にどういう魔法を使いたいか考えればいいから難しくないと思ったんです。」

「そうか。やはり、我々とは考え方が違って自由なんだな。そういうことなら、私でも青い炎を出せるかもしれないな……」

「できると思いますよ。青い炎は赤い炎よりも熱いとイメージするといいと思います。」

「やってみるか。」

 そう言ってヴェス伯父さんは魔法を使い始めた。

 うん。さすがだよね。すぐに青い炎を出せてる。そして、土人形も作って、私が作ったヴェス伯父さんの人形の横にウィル伯母さんのミニチュア土人形を作り、陶器に変えていた。

 あれ?これだと私が魔法を教えてないか??

 今日は、ヴェス伯父さんに魔法を教えてもらう予定だよね?


 ヴェス伯父さんは楽しそうに魔法を使っていた。

 ウィル伯母さんの陶器人形の次は、孫のカティちゃんの陶器人形に挑戦していた。

 その様子を見ていた私にヒューが「つまらないから指輪に戻るね。指輪に居ても外の様子は見えるから必要そうになったら力を貸しすよ」と言って指輪に戻って行った。


 カティちゃんの陶器人形が完成してから声をかけてみた。

「ヴェス伯父さん、今日は私に魔法を教えてくれるんじゃないの?」

「あぁ、そうだった。ただ、ユーカに教えることがあるだろうか?」

「父上、治癒魔法を教えてみてはいかかです?」

 ヴェス伯父さんと一緒に陶器人形作りに挑戦していたエルがそう言ってくれた。

「そうだな。治癒魔法は単純に傷が治るイメージをしただけでは使えないからな。」

「そうなんですか?」

「ああ。ただ、治癒魔法の練習には怪我をしたものが必要だな……診療所へ移動するか。ちょうど本日も行く予定ではあったからな。」

「そうですね。あそこならケガ人や病気の人が集まりますから……父上が共に行けば問題は無いでしょう。」

「では、移動するか。エルはどうする?私が付いているから別の仕事をしてもいいぞ。」

「一緒に行きます。急ぎの仕事もありませんし。」


 こんな感じで診療所へ移動することになった。

 治癒魔法か……ただ怪我が治るイメージだとできないってことは、身体の細胞とかをイメージしないといけないってことかな?

 一応、看護師だったから体の構造と機能は勉強したけど、忘れてることも多いから思い出せるかな……。


 診療所は騎士団の訓練場からすぐのところにあった。

 ここは、騎士団の診療所らしいが誰でも利用できるらしい。

 ヴェス伯父さんは治癒魔法の使い手であり医者でもあるらしい。

 だから、1日の内に数時間だが必ず毎日診療所を訪れて、治療が必要な人を助けているんだとか。

 領主としての仕事もしているが、ルドさんが領主の仕事を担ってくれているから出来るようになったとは言っていたが……。

 この国では、治癒魔法の使い手はヴェス伯父さんしかいないが、医療も他国よりは進んでいて他国からも勉強に留学してくる人が多いらしい。

 病気の研究なども進んでいるとのことだ。

 

 

 ヴェス伯父さんの治癒魔法も万能では無いらしく、出来ないこともあるらしい。

 ①ケガは治せるが、病気は治せない。

 ②切断してしまった手足などを元に戻せるが、失った身体(手や足)は元に戻せない。

 


 説明された最後に「ユーカだったらこの制限もなくなるかもしれないな……」と小声でつぶやいていた。

 うーん。魔法がイメージで何とかなるなら病気の原因とかを想像して治療すれば治療できるようになるのかな……。

 やってみるしかないけど……。

 こっちの医療についても勉強しないと何とも言えないな。


 診療所は広くて多くの人が居た。

 みんながヴェス伯父さんを見てみんなが会釈していた。

 すごい人なんだな。


 まず最初に診療所の所長のところへ行き、ヴェス伯父さんが事情を説明してくれた。

 私へ治癒魔法を教えるために怪我している人を治療させてほしいとお願いをしたら快く許可を出してくれた。

 診察室へヴェス伯父さんとエルと一緒に移動した。

 診察室は6部屋ほどあって、5つの部屋が埋まっていて、それぞれの部屋で医師が診察をしていた。

 私たちは医療者しか入れないすべての部屋へと行ける裏の通路に居るのだが、4つの部屋では病気の人が居るみたいだ。

 残りの一部屋では騎士の人がいて剣の練習中に腕を剣で切ってしまい縫合を受けるところみたいだった。

 その部屋にヴェス伯父さんが声をかけた。


「診察中にすまない。そのケガなんだが、治癒魔法で治させてもらえないだろうか?」

「えっ!?辺境伯様。そんな、これは練習中のケガなので治癒魔法を使っていただくほどのケガではありませんよ。」

 騎士の人が驚いて治療を遠慮していたが、私へ治癒魔法を教えるためにも協力して欲しいということをケガをした騎士の人と医師に説明した。

「そういうことでしたら、お願いしてもいいのでしょうか?」

 騎士の人が私の方をちらちら見ながら聞いてきた。

 「もちろんだ。」

 ヴェス伯父さんが返事をする。

「あの、私、ユーカと申します。怪我をして大変なところ申し訳ないのですが、私に治療させてください。お願いします。」

 なんか、私の練習の為なのにヴェス伯父さんに説明を任せきりなのも気が引けたので、自分からお願いしてみた。

 そうしたら、騎士の人は覚悟を決めたのか「よろしく頼む」と言ってくれた。

 医師が場所を譲ってくれた。

 それにお礼を言ってから、患者さんの前に座る。


 傷をよく見ると、出血はまだ止まっていないのか、押さえているガーゼが赤く染まっていた。

 ガーゼを外しても血が出ていたが、勢いのある出血ではないので動脈は傷ついて無いのかもしれない。


「ユーカ、いいかい。説明するのが難しいのだが、治癒魔法は単純に傷がくっ付くイメージではなく、傷が内側から少しずつくっついていくイメージで行うんだ。」

「少しずつくっつく……」

「そして、血が出ている場所があるだろう。それは、血管と言ってそれが切れている状態だから、それをつないで指先の方まで血液が流れるようなイメージもするんだ。そして、魔力は同じ量の全ての属性の魔力を流すイメージで。」

「やってみます。」

「できなければ、すぐに私が治療するからやってごらん。」

「はい。」

 ちょっと集中する。

 ヴェス伯父さんの言ってたことを参考に身体の細胞同士がくっ付くようなイメージで、血管だけでなく神経もつながるように……全属性の魔力を流す……。

 よし。なんかできそう!

 そう思って傷に両手をかざした。


 目の前が虹色に光って見えた。

 眩しい!!

 それに、ヒューがいる指輪が少し熱くなったが、その熱さは一瞬で収まった。

 虹色の光もすぐに収まった。

 

 すぐに傷の状態をみると、傷は塞がっていた。

 むしろ、傷痕すら無くて、怪我などしていないかのようだ。


 目の前の騎士の人は傷の状態を見て驚いた顔をしていた。


「ユーカ、よくやったね。君、痛みはどうかな?傷はちゃんと塞がっていて治ったように見えるが……」

「は……はい。大丈夫です。痛みもありません。」

「そうか。成功のようだね。この世界で2人目の治癒魔法の使い手が誕生したようだ。」

 部屋にいた医師とエルは、はじめは驚いてはいたが、すぐに「おめでとう」と声をかけてくれた。

 

 治癒魔法、成功して良かった。

 まぁ、この後が大変だったんだけど……。

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