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鶏がらスープは美味しい

 食堂に移動するとヴェス伯父さんとルドさんがすでに来ていたみたいだ。

 みんなが席に着くとすぐに夕食が運ばれてきた。

 昨日と変わらずに具沢山スープとパンと肉だった。

 見た目はあまり変わらないので、私の料理が楽しみだと言っていたレナードさんとカティちゃんは少しガッカリしたような表情をしていた。


 「精霊に感謝を」

 ヴェス伯父さんが食前のあいさつをして夕食が始まった。

 

 私は、スープをひと口食べてみる。

 うん。ロルフさんたち料理人さんが頑張ってくれたんだろう……うん。めっちゃ美味しい。やっぱり、出汁は重要だ!

 お肉はどうかな……うん。血抜きをしたから臭みが無くなっていて昨日よりは美味しい。

 

 自分の食事に集中してしまったが、周りを見てみると、みんなも料理を見た目は優雅だがすごい速さで口に運んでいた。

 昨日よりも、食べるスピーが早いけど綺麗に食べるな……すごい……。

 

 部屋の隅にいた料理長のロルフさんは緊張している顔でみんなの様子をうかがっていた。

 ロルフさんは顔色も悪くなっていてかわいそうな感じだったので、私から声をかけた。

 「ロルフさん、とてもおいしいです。」

 「あ……ありがとうございます。自分でも味見をしたが、ユーカに教えられた通りしただけで味が変わったんだ。肉だけでなくスープの方も骨を煮込むだけでこんなに味が違うとは思わなかった。」

 「うん。これから復興が進んだら材料ももっと入ってくるんでしょ。そうしたら、出来るかわからないけど食べたいものがあるから、また厨房で料理させてね。」

 「それはもちろん構わないが、俺にもユーカの他の料理を教えてくれ。」

 「もちろん。むしろ、手伝ってもらわないと困るからよろしくね。」

 「おう。」

 

 そんな私とロルフさんの会話が聞こえたのか、料理へ夢中になっていたみんながそれぞれに料理の感想を言っていた。

「ロルフ、今までの料理もおいしかったが、今日の料理はとてもおいしい。特にこのスープは気に入った。」

「ありがとうございます。旦那様。このスープはユーカのいうとおりに作っただけですので。」

「そうか。ユーカ、とても美味しかったよ。」

「ヴェス伯父さん、ありがとう。でも、作ってくれたのはロルフさんたち料理人さんだから……でも、わたし、料理が得意だからこれからも料理はやらせてね。」

「もちろん。好きなことをするといい。ただ、魔法の練習もしないといけないからそれだけは忘れないでな。」

「はい。でも、魔法は今日エルに教えてもらって少し使ってみました。魔法ってとても面白いですね。」

「そうか。」

「父上、ユーカの魔法のことなのですが、食事が終わったら少しお話を下にですが。」

「あぁ。では食事が終わったら話をしよう。」

「はい。ということで、ロルフ、スープのおかわりを頼む。」

「はい。エルバードさま。」

 なんか、話のついでにおかわりを要求してたな……。フフっ。


 その後は、皆さんスープのおかわりをしていた。お肉のおかわりもしたかったみたいなんだけどなかったみたい……。

 やっぱり出汁のきいたスープは美味しいよね。今回は鶏だしだったけど、やっぱりかつおだしが一番好きだから、この世界にあるか探さないとな。

 みなさん、スープのおかわりをしたことで満足したのか、口々にほめてくれた。

 やったね!


 食後は、お茶を出してもらって、ヴェス伯父さんとルドさんを含めてのお話タイムだ!

「それで、エル、ユーカの魔法のことで話があるとのことだが……。」

「はい。父上、今日は騎士団の訓練場にある魔法練習部屋にて、まずは魔力を感じることから始めたのですが、魔力視と精霊のアドバイスのおかげですぐにできました。そして、魔法の使い方はイメージすることだと伝えました。」

「そうか、すぐに魔力感知は出来たのだな。それで?」

「それから、イメージするだけだと伝えただけで、すぐに水や炎などを掌に出して魔法を使ったのです。」

「そうか。それはすごいな……。」

「父上、もっとすごいことがあったのです。ユーカは土魔法を使い土人形を作ったのですが、最初は我々と同じような感じだったのです……。その土人形を火魔法を使い焼き始めたのです。それも、炎の色が青くなっていました。青い炎を見たのは初めてです。」

「青い炎だと!?」

「はい。」

「ユーカ、どういうことかな?」

 みんなが驚いたように私に注目してきた。

「ええっと、精霊のヒューの形の土人形を作ったのですが、思ったよりも上手くできて……ヒューが気に入って部屋に飾りたいって言ったんです。でも、ちょっとドロドロで部屋に運んだらお部屋が汚れてしまいそうだったので、焼いて陶器みたいにすれば大丈夫って思ったんです。だから、火魔法で炎を出して焼きました。」

「でも、火魔法の炎の色は赤だろう?なぜ、青い炎を出したんだい?」

「それは……魔法はイメージって聞いたので、何となくなんですけど高温で焼かないと陶器にならない気がして、火の温度を上げないとって思ったんです。そして、高温の炎と言ったら『青い炎だ!』、と思ったので青い炎にしたんです。」

「それは……なぜ、高温の炎は青色だと思ったんだい?」

「それは、もうあまり覚えていないんですが、昔、学校でそんなようなことを習った気がして……」

「そうか、それは日本での知識なんだね。」

「はい。でも、合っているかわかりませんよ。昔の記憶なので。」

「そうか……。」

 ヴェス伯父さんが何かを考えこんでしまい、黙ってしまった。


 「ユーカはすごいのね。言われたことがすぐにできるようになるなんて。私が魔法の使い方を習い始めた時なんてお母様に何回も魔法を見せてもらって何日もかけてやっと1つ魔法が使えるようになったのよ。」

「そうなの?カティちゃん。」

「うん。そうよ。1つずつ魔法を見せてもらって、それを覚えて、やっと今は水と風の魔法が10個ほど魔法が使えるわ。」

「そうなんだ……。でも、魔法はイメージって言ってたから、難しく考えないでこうなったらいいなって思ったら出来るんじゃないの?」

「うーん。そうなのかしら?」

「違うのかな……?」

 カティちゃんと二人で悩んでいたらリズさんが話しかけてきた。

「ユーカの考え方は面白いわね。魔法はそもそも使える人が少ないわ。大体は親や保護者から使い方を習うのだけれど、教えてくれる人の魔法を見て、それをイメージすることで魔法が使えるようになっていくの。だから、カティは私の魔法を見てマネすることで魔法を使えるようになったのよ。」

「そうなんですね。でも、私も最初はエルが魔法を使っているのをみてマネしてみただけなんですけど……。」

「確かに一番初めは私の火魔法をマネしていたが、教えても無いのに水魔法や土魔法、風魔法を使っていたではないか。」

「エル……だって、最初に魔法は火・水・風・土の4種類だって言ってたから、同じようにすればいいのかと思って……。それに、私にはヒューがいたから出来るかなって思たの……。」

「そうか、ユーカは考え方が自由なんだな。そのように考えたら皆も今までとは違う魔法が使えるようになるかもな……。」

「ヴェス伯父さん……。」

「ただ、使い方を間違えると大変なことになりそうだ……。ユーカ、明日は私が魔法の練習を見よう。その時に、ユーカの魔法の使い方を見せておくれ。」

「はい。」

「それから、カティは今まで通り、リズに教えてもらったやり方で魔法を使うのだよ。」

「はい。おじい様。」

 

 その後は、魔法の話ではなく、料理の話になった。

 皆さん、料理を気に入ってくれたみたいで、口々にほめてくれた。

 そして、明日も楽しみにしていると言われてしまった……。あんまり明日のことは考えてなかった……。

 レナードさんからも、明日には食料が届くからそれを使って料理をしてほしいと言われてしまった。

 ほかに必要な材料があったら取り寄せるとまで言っている……。

 まぁ、材料を見てから考えよう!

 とりあえず、ロルフさんと相談しておこうかな……。

 

 食後に1時間ほど話をして、解散になった。

 解散後は、ちょっとだけ厨房に寄って、明日の朝ごはんの予定を確認した。

 スープはロルフさんが今日の復習の為にすでに鶏がらから出汁を取っているのでそれを使うらしい……。

 うん。明日の朝もスープは美味しくなりそうだ。でも、毎回鶏がらスープだと飽きてしまうので、明日の材料を見て他のスープも考えよう。

 明日は材料が増えるし、魔法もヴェス伯父さんから習えるし、楽しみだな。


 厨房から自分の部屋までの道順をまだ覚えていなかったので、ヘルマさんに部屋まで付き添ってもらって、お風呂や着替えを手伝ってもらって、その日は早めに眠ってしまった。

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