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ティータイム

 皆みんなが席に着き、揃ったところでヘルマさんが戻って来てお茶を用意してくれた。

 

 こっちのお茶はコーヒーみたいに黒い色だけど、紅茶の香りがするし味も紅茶だった。

 不思議な感じがするけど、味がおいしいので気に入った。

 

「ところで、さっき少し話をしたけど、ユーカは料理をするのね。」

「はい。向こうの世界では祖父母と暮らしていて、祖母から色々教わりました。」

「祖母って言うとアンナのことよね。」

「はい。そうです。祖母のアンナは元々料理が出来なかったみたいなんですが、曾祖母、祖父の母親から教わったそうです。」

「そうなのね。アンナのことは少ししか知らないのだけれど、この世界では料理をしたことが無いと思うわ。アンナは貴族の令嬢だったから料理は使用人がやってくれるもの。」

「そうですね。祖母が家に来たときは大変だったって祖父が言ってました。最初の方は肉や魚を毎回焦がしていたし、ご飯や野菜も生煮えだったりしたって。でも、一生懸命料理を覚えてくれたって。」

「そう。アンナも頑張ったのね。」

「そうみたいです。私がものごころつくときにはもう料理上手な祖母だったので、料理が出来ない祖母のことは知らないんですけど……。」

「そう。」

「はい。祖母の料理はとっても美味しかったですよ。それに、一緒に住んでいたので私にも料理を教えてくれましたし、二人で流行の料理を試してみたりしました。」

「そうなのね。」


「ねぇ。ユーカ、向こうの世界の料理ってどんなものがあるの?」

 今まであまり話さなかったカティちゃんが、珍しく話しかけてくれた。

「うーん。そうね……色々あったから何って言えないんだけど、こんな風にお茶をする時にはクッキーとかケーキとか甘いお菓子があったよ。」

「甘いお菓子?クッキー?」

「そう。クッキーはサクサクしたものとかホロホロと口の中で溶けるような食感のものもがあったの。それに、クッキー以外にもケーキといってクリームが付いた柔らかいおやつがあったの。」

「そうなんだ。食べてみたいなぁ……。」

「うーん。レシピは何となく覚えているから作れるとは思うんだけど、材料があるかなぁ……。」

 カティちゃんがしょんぼりしているから何とか作ってあげたいけど、先ほどの厨房の様子を見ると食材は少なめだったから嗜好品を作るのはちょっと難しい気がする……。


「材料なら僕の商会で揃えようか?」

「えっ?出来るんですか?」

「まあ。必要な物が全て揃うかはわからないけどね。」

「あの、この世界って砂糖って手に入りますか?」

「砂糖か……手に入らなくはないが、砂糖はなかなかの高級品だから……すぐには難しいかもしれない。」

「そうですか……。魔獣被害もありましたしね。」

「そうだな。まぁ、食料事情は今日の納品と明日には大きな商隊がここに到着するからそれで解決すると思う。少し時間がかかるかもしれないが、用意してみよう。」

「おじ様、お願いします。」

 カティちゃんが先に返事をしていた。よっぽど食べてみたいらしい……。


「はは。私もぜひ食べてみたいからなるべく早めに仕入れることにするよ。新商品になるかもしれないしね。」

「わかりました。でも、いいんですかね……。もし、私の料理がまずかったら砂糖が無駄になってしまうのですが……。」

「はは。先ほどエルに聞いたが、ユーカが処理した肉は美味しかったと聞いたから大丈夫だと思ったんだ。それに、今日の夕食はユーカが作ったスープが出るんだろう。それを食べてから判断するから大丈夫だよ。」

「いやいや、実際に肉の処理やスープを作ったのは料理長のロルフさんですよ。」

「でも、君がやり方を教えたんだろう。」

「まぁそうですけど……。」

「夕飯が楽しみだ。」

「私も楽しみだわ」

 ウィル伯母さんまで楽しみにしているらしい……。

「わたしも楽しみ」

 カティちゃんまで……。


「ユーカ、そんなに心配そうな顔しないで大丈夫よ。ここへ来る前に厨房へ少し用があったから行ったのだけれど、料理人達が美味しいって騒いでいたわ。」

「えっ」

「料理人達が騒ぐくらいには美味しいってことだから大丈夫。」

「そうですか。」

 なんか、ちょっと不安になったけど、リズさんが慰めてくれた。

 まぁ、最後はプロの料理人が仕上げるんだから大丈夫でしょう。

 

 その後は、いろいろと話をしたが特に日本での生活について聞かれることが多かった。

 日本では、魔法を使うことが出来ず、魔法使いという職業はなかったこと。

 肉食の動物はいたが魔獣はいない事、自分の職業は看護師だったことなどいろいろなことを話した。

 

 私自身もこちらの世界のことを知りたかったので、いっぱい質問をしてしまったがみんながやさしく教えてくれた。

 この世界では魔法が使える人は少なく一部の人しか使えないらしい。

 魔法使いは貴重な人材なので、国で管理されていて、王家や貴族の保護を受けて魔法の使い方を学ばないといけないらしい。

 暴走したら危険だからみたい……。

 

 魔法は火・水・風・土の4属性の魔法があり、魔法使いは基本的に1~2種類の魔法しか使えないらしい。

 全種類の魔法を使える魔法使いは、今のところ王家とレッテフォート家の2つの家にしかいないとか……。

 レッテフォート家でも全属性の魔法を使えるのはヴェス伯父さんとエルガードだけで、ウィル伯母さんとお兄さん達は魔法が使えないらしい。

 嫁いできたリズさんは水と風の魔法が使えて、カティちゃんもリズさんと同じらしい。

 ちなみに、ヴェス伯父さんは魔法使いの中でも規格外らしく、4属性の魔法以外に自分で考えた魔法陣や治癒魔法などのヴェス伯父さんにしか使えない魔法があるらしい。

 エルも全属性の魔法は使えるが、治癒魔法や魔法陣は教えてもらったけど使えないらしい。

 

 ヴェス伯父さん、すごい……。

 自分が看護師をしていたと話したときは、私も全属性の魔法が使えるから治癒魔法も教えてもらえば使えるのではないかと言われた。

 うーん。向こうの医療知識が少しはあるけど使えるかな……?

 まぁ、「魔法を使ってみたのは今日が初めてなので、出来るかわかりません」とだけ言っておいた。


 その言葉を聞いたエルが、先ほど作ったヒューの人形を作った話をみんなにしていた。

 夕食の後、ヴェス伯父さんに見てもらうらしい。

 ちなみに、ヒューの人形は騎士団からここへ来るときにヘルマさんへ預けておいた。

 夕食の後に持ってきてもらうように言っておかないと……。

 

 ヒューは買い物の途中で飽きてしまったのか、指輪に入っていた……指輪の中って狭くないのかな……?

 まあ、いいか。

 

 いろいろな話をしていたら、時間が経つのはあっという間で夕食の時間になってしまった。

 そのまま、みんなで一緒に食堂まで移動した。

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