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お買い物

 魔法の練習部屋を出て、ルディともその場で分かれた。

 エルに案内されて、騎士団の詰め所の前を通り、食堂の方にある応接間へ向かった。


 騎士団の詰め所を通り過ぎて、玄関に出たら、玄関が荷物ですごいことになっていた。

 荷物の間をエルと一緒にすり抜け、応接間の扉の前に着いた。

 荷物が多かったのは玄関のところだけだったな。

 

 エルが応接間の扉をノックすると男性が一人出てきた。

「これはエルガード、久しぶりですね。」

「オティリオ、久しぶりだな。今回の騒動での物資集めは大変だっただろう。ありがとう。」

「いいえ。私よりもレナードさまの方が大変そうでしたので。今回、この場に呼ばれたことで少しはお休みになれればいいのですが……。」

「そうか。レナード兄上はしばらくお休みできるのか?」

「少なくとも本日の予定は入っていませんので……。」

「そうか。」

「失礼しました。この場で立ち話とは……。どうぞ、お入りください。準備は出来ておりますので。」

「あぁ。こちらは後で紹介するな。」

「ええ。楽しみにしています。」

「ユーカ、行こう。」

「はい」


 エルと一緒に部屋へ入ると、広い部屋の中心に豪華な応接セットがあり、そこにはウィル伯母さんとリズさん・カティちゃんと男性が一人座っていた。

 そして、部屋の隅の一部は色々なものが置いてあった。

「すみません。遅くなりました。」

「大丈夫よエル。時間通りだわ。」とウィル伯母さんが返してくれた。

 魔法に夢中になり過ぎて遅れたかと思ったけど良かった。

 

「レナード兄上、お久しぶりです。」

 エルが男性に向かって声をかけた。

「あぁ、エル久しぶりだな。」

「えぇ兄上、お元気そうでなによりです。」

「お前も元気そうで良かった。家族の皆が怪我はないとは聞いていたが心配していた。」

「騎士の中には怪我をしたものもいましたが、父上がいたので死者を出すことなく騒動は収まりましたよ。」

「そうか……。それより、そちらの方を紹介してくれないか?」

「そうですね。兄上、こちらはユーカです。ユーカ、こちらは私の2番目の兄のレナード兄上だ。兄上はエルドラード商会という商会を経営している。」

「そうなんですね。初めましてレナードさま。ユーカ・ハラシマと申します。」

「初めまして。レナード・フォン・レッテフォートだ。母上からも聞いたが伯母上の孫にあたるとか。親戚になるのだから気軽にレナードと呼んでくれ。」

「はい。私のこともユーカと呼んでください。よろしくお願いします。」

「こちらこそよろしく。ちなみに、ここに立っているのは私の侍従をしてくれているオティリオだ。」

「オティリオと申します。ユーカさま、よろしくお願いいたします。」

「オティリオさん、ユーカと呼び捨てで大丈夫ですよ。」

「いえ。私は仕える立場なので、ユーカさまと呼ばせていただきますね。」

「はい……。」

 オティリオさんが笑顔でそう言うので断れなかった……。

 レナードさんとオティリオさんのどちらも顔がいい。

 アラサーには刺激が……。


「ユーカ、早速だけど必要な物を揃えましょう。ここには必要だと思うものを揃えてもらったけど、ここにはない物もレナードに言えば揃えてくれるわ。」

 ウィル伯母さんがそう言って場の雰囲気を変えた。

「まずは、ユーカが使う日用品を揃えないとね。石鹸や化粧品、お洋服、装飾品、ドレスもいるわね。」

「えっ!?あの、私は最初に準備してくださったもので十分なんですけど……。」

「何を言っているの。急いで準備したものだから、あなたには合わないものも多かったでしょう。特にお洋服なんてサイズが合っていなかったじゃない。この際だから、あなにあった物を買いましょう。」

「でも……私、何も持っていないので買うにもお金が……。」

「気にしないでいいわ。ヴェスはあなたのおばあさんがいつ戻ってきてもいいように、用意していた資金があるからそれを使う予定よ。」

「えっ!?」

「アンナの為のお金を孫のあなたのために使うならだれも文句が言えないわ。」

「でも……。」

「気になるようなら、あなたがこの世界で働いてお金が入った時に返してくれてもいいし。今は、この世界に来たばかりで何も持っていないのだから、甘えてしまいなさい。」

「……はい。ちゃんと働いて返しますね。いつまでかかるかわからないけど……。」

「よし。それじゃぁ、買い物しましょう。」

「はい。」


 服やドレス、装飾品はいらないけど、昨日はお風呂上りに肌がパサパサだったから化粧水は欲しい。

 アラサーの肌の乾燥具合は本当にヤバいからね。


「まずは採寸からね。」

「えっ!」

「ユーカのサイズだと既成のものは子供用しかないからデザインが微妙なのよ。だから、大人用の服をサイズ直ししてもらったほうが早いわ。お直しにもサイズを測らないとね。」

「はい……。」

「あっ、安心して。採寸は隣のお部屋でやるから。それに、サイズを測るのはヘルマがやってくれるわ。」

「はい。良かったです。」

「ではこちらへどうぞ。」

 いつの間にかこの部屋へ居たヘルマさんに驚いたが、案内されたので素直に従う。


 応接間から出て隣の部屋へ案内されると、扉を入ってすぐに衝立があった。

 そして、中にはヘルマさんと同じ服を着た女性が2人と落ち着いた色のワンピースを着た女性が1人いた。

 ヘルマさんと同じ服の2人はこの家の侍女さんらしい。そして、もう一人はエルドラード商会の方らしく、採寸が終わったらここで下着類を選べるように来てくれたらしい。

 たしかに、エルとか男性陣がいるところでは選びたくないからとても助かった。


 とりあえず、ヘルマさんに手伝ってもらって服を脱ぎ、侍女さんたちに採寸をしてもらう。

 おじいちゃんとおばあちゃんが亡くなってから、畑仕事や森の見回りとかもしていなかったので、身体がちょっとポチャリしてきた気がする。

 体重は標準くらいを維持してたけど、気を抜いたら太っていきそうだから運動しないとな……。


 採寸は隅々まで測られた。

 うん。なぜか頭のサイズまで……なぜ?

 まぁ、いいか。


 そして採寸が終わった後は、下着を選ぶ。

 この世界の下着は、キャミソールにパットが付いたブラトップみたいなものとパンツはかぼちゃパンツみたいな形が一般的だった。

 うん。まぁ、楽だけど色々と重力に負けそうな感じだったので、いつか自分で改造しようと思いました。


 下着も選び終わったので、また隣の応接間に移動した。

 部屋に入ると、部屋の隅にさっきは無かった椅子とテーブルがあり、そこでレナードとエルが話をしているようだった。

 ウィル伯母さんたち女性陣はソファのところでオティリオさんに商品を出してもらい選んでいたみたい。

 この部屋には商会の人もおらず、使用人のひともお茶を出したら下がってしまったのかいなかった。

 

「ユーカ、いいタイミングで来たわね。ちょうど今選び終わったところよ。私たちが選んだもの以外にも欲しいものがあったら言ってちょうだい。」

「えっ?」

「なんだか、ユーカは遠慮しちゃうみたいだから、こちらの世界で最低限必要な物はみんなで選んでおいたわ。」

「そうですか。ありがとうございます。」

 満面の笑みで返事をしてしまった。

 なんだか、こちらの世界で必要な物は女性陣が選んでくれたらしい……。正直、助かった。元々、田舎暮らしだから買い物とかもあまりしなかったし、服とかよりも食べ物のほうが重要だったから、買い物は苦手だったんだよな……。


「あそこに選んだものが置いてあるのだけど確認してくれる?もし、他にも必要な物があったらオティリオに言うといいわ。」

「はい。」

 そう言われたので、ウィル伯母さんが示す方へ移動すると、普段着だと思われるワンピースやブーツ、パジャマなどの他にドレス、ネックレス、髪飾りなどの装飾品が見えた。

 いや、日常生活でドレスはいらないでしょ。それに装飾品も高そうな宝石とかがいっぱいついている……。

「あのウィル伯母さん、このドレスや装飾品は必要ないのでは……。」

「何言っているのユーカ、あなたのお披露目パーティがあるから必要になるわよ。」

「えっ!私のお披露目パーティですか?」

「そうよ。だって、あなたはこの家の一員になるんだから当たり前でしょう。」

「この家の一員ですか……?」

「えぇ、だってヴェスがあなたの後見人になるってことは、この家に連なる者として見られるのよ。それに、あなたの場合はヴェスが後見人にならなくても精霊との契約があるから国に保護されて披露目が必要になってくるわ。」

「えぇ!?」

「ヴェスが後見人ならこの地で披露目だけど、国の保護を受けるなら王宮で披露目になるわ。」

「おうきゅう……絶対ヴェス伯父さんに後見人になってもらいます!」

 王宮でのお披露目は絶対に無理なので、ついつい叫んでしまった。

「フフッ。ヴェスが喜ぶわね。ということで、ウチでお披露目するならドレスは必要よ。」

「はい……。」

 なんか、いいように丸め込まれたような気もしなくもないが、まぁ、大人としてはちゃんとした服も持っていないとまずいこともあるので受け入れよう。

 

「それで、そこにあるもの以外で必要な物はあるかしら?」

「えっと、この世界では普段着はワンピースとは聞いたんですけど、ちょっと運動したいの動きやすい服ってないですか?あと、出来たら私に合う包丁かナイフが欲しいんですけど……。」

 採寸の時に筋力の衰えを感じたので、出来たら運動したい。本当はジャージみたいにパンツタイプの服が欲しいが、この世界では普通じゃないみたいだから、出来たら動きやすい服が欲しい。

 それに、料理もしたいし解体とかするかもしれないから、刃物を1つは買いたい。

 

 

「動きやすい服ってキュロットタイプの服かしら。」

「それなら、購入予定の品に入っていますよ。」

 ウィル伯母さんとオティリオさんが教えてくれた。


「キュロットなら動きやすいですね。それに、用意していただけるなら動きやすい服は大丈夫です。」

「そう。なら包丁かナイフね……なんで必要なの?」

「あの、私は料理が得意なのでやりたいなと思って……。それに先ほど厨房に行ってみて包丁を触らせてもらったんですけど、使えない訳ではなかったんですけど、ちょっと大きくて扱いにくかったので、自分に合った包丁があればなと思ったんです。」

「ユーカは料理が得意なの?」

「母上、ユーカが料理得意というのは本当だと思いますよ。午前中は厨房にいたのですが、ロルフも知らない肉の臭いの取り方を教えて、実際にやってみたら今までの肉とは違い臭みの無い美味しい肉になりましたから。」

 料理のことはエルがウィル伯母さんに話してくれた。


「そうなのね。」

「はい。今夜の夕飯にその肉を出すと思います。それに、今夜のスープはユーカが教えた方法で作られていて、とてもいい匂いだったので楽しみにしているんです。」

「そう、まぁ、食べてみないと分からないけど、ユーカは料理がしたいのね。」

「はい。したいです。」

「なら、手に合った包丁の方がいいものね。」

「はい。」

「オティリオ、包丁はあるかしら?」

「包丁はここには持ってきていなくて……。明日でよろしければ準備してまいりますが……。」

「明日でいいわよ。ユーカもいいかしら?」

「はい。用意していただけるだけで大丈夫です。」

「では、明日必ずお持ちいたします。サイズも様々なものを用意するので、実際に持ってみてからお選びくださいね。」

「はい。」

 包丁は明日になったけど手に入るみたい。やったー!

 

「ユーカ、他に欲しいものは無いの?」

「うーん……今のところ特にないです。」

「そう。じゃぁ、お買い物はおわりね。じゃぁ、みんなでゆっくりお茶でもしましょうか。ヘルマ、準備をお願いね。」

「かしこまりました。少々お待ちください。」

 そう言ってヘルマさんが準備のために退出していった。

 私は、まだ立ったままだったので、ウィル伯母さんが手招きしてくれたので、ソファに座った。

 エルとレナードさんも話が終わったのか、ソファの方へやってきた。

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