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お屋敷探検 騎士団編その1

 エルの家族の話を聞きながら食事をしていたら、あっという間に食べ終わってしまった。

 この後は、お屋敷探検の続きだ。


 今回はちゃんと食堂を出て一度玄関に向かった。

 食堂は玄関を入ってすぐの左手の廊下をまっすぐ進むとある。

 何部屋目かは覚えられなかったが、慣れたらわかるはず……たぶん……。


 玄関の正面には2階に続く階段があり、2階には大小それぞれの広間があるらしい。この広間はパーティー用としているけど、有事の際は騎士や冒険者が拠点として寝泊りできるようになっているらしい。

 冒険者とは騎士と違って、各地を回って旅をして魔獣の素材などを売ったりして生活している人のことらしい。

 魔獣は精霊の森から出現することが多いが、時折り街道とかにも出てくることもあるとか……。

 今回の魔獣騒動の時には騎士団と協力して魔獣退治を行うが、普段は個別で活動しているそうだ。

 なんか、日本でやっていたアニメみたいな感じらしい。私は田舎に住んでいたし、テレビはニュースとかを見ることが多かったので、アニメはあまりわからないけど、病院で働いていた時に入院していた子供に教えてもらったことがある。

 冒険者たちをまとめる組合、冒険者ギルドもあるとエルが教えてくれた。

 

 ちなみに、このお屋敷がある場所は精霊の森のすぐ近くで、この街を囲む城壁にもつながっているそうだ。

 この街の住民も結構な人数がいるが、有事の際の避難場所は、このお屋敷とは真逆の高台の方にあって、精霊の森とは離れたところに用意しているとか……。

 なんで、領主の屋敷が最前線になるように建てられているのか不思議に思ったが、この領地はヴェス伯父さん初代の領主さんで、ヴェス伯父さんは領主として住民の安全を守るために最前線で戦うのが役目だと考えこのような造りにしたらしい。

 それに、ヴェス伯父さんは優秀な魔法使いなので、城壁やこのお屋敷に守りの魔法陣を付けているから、このお屋敷もよっぽどのことが無い限り安全だとか。

 今回の魔獣騒動でも魔法陣のおかげで街には被害はなかったそうだ。

 街の被害はなかったが、魔獣が出没した影響でこの街から他の町や領地に移動ができなかったので、食料なども限られているらしい。

 今は状況も落ち着いて、他の領地からの支援物資とかが入ってくるけど、いつ騒動が収まるかわからなかったため日持ちする食べ物などしか入ってこなかったそうだ。


 2階は広間と客間、そして城壁につながる道があるだけなので、後回しにするみたいだ。

 そして、階段の奥がヴェス伯父さんたち家族の部屋があって、衝動と反対の右側の廊下を進むと騎士団の詰め所と訓練場があると説明された。


 自分は客間に泊まらせてもらったので、2階にいたのか……。

 客間を占領しちゃっていいのかな……。

 そんなことを考えてしまい、ポツリと声に出ていたみたいで、エルが安心させるように教えてくれたが、ここは領地自体が端の方の辺境にあって魔獣が出て危険なところでもあるので滅多にお客さんは来ないらしい。

 エルいわく、ここは観光地もない危険なところだから、私に見せるところも騎士団か城壁くらいしか無いと言っていた。

 

 そうなんだ……てか、私は意外と危険なところにいたのか……まぁ、ヒューがいてくれたから魔獣も寄ってこなかったみたいだから安全ではあったんだけど……。


 そんな感じで説明を受けた。


「見せるところも少ないけど、騎士団を案内するよ。訓練場も庭にあるし、牧場というか非常時に食べるように飼育している場所があるんだ。そこも案内するよ。」

「はい。向こうの世界には騎士団ってなかったので、どんなことをしているのか気になっていたんです。それに牧場も楽しみです。」

「そうか。騎士団が無かったって、魔獣が出たらどうしていたんだ?」

「そもそも、日本には魔獣がいませんでした。基本的には安全だったんですけど、凶暴で人を襲う動物もいて、猟銃と言って長距離から攻撃できる武器があったので、それを使って狩りをして退治していました。」

「そうか。」

「それに、私が住んでいたのが田舎の方だったので、自然が豊かで動物に襲われることもあったけど、基本は共存を目指していて食用以外には狩りもしなかったです。むしろ、自然の脅威が少ないので、人間同士で争うことが多くて、街の方が危険が多かったように感じます。」

「そうなのか。まぁ、こちらでも過去には人間同士の争いごともあったが、先王の時代には人間同士で争うことは少なくなった。先々代の王の時代は他国との争いが多く、人間同士での殺し合いもあったみたいだしな。」

「そうなんですか?そういえば、おばあちゃんも争いごとに巻き込まれそうになったから、ヴェス伯父さんが逃がしてくれたって言っていました。」

「そうか。そういえば父上も先々代の王と対立して、先代の王に力を貸したと言っていたな……。」

「へぇー。でも、ヴェス伯父さんって60代ですよね。三世代の王のことを知っているって、本当はもっと年齢が行っているのでは……。」

「はは。父上は本当に63歳だよ。先代の王が病で倒れたから御代が短いんだよ。」

「そういうことですか。」

「そうそう。現王も兄さんと年は変わらないけど、成人してすぐに王になったからね。」

「なるほど。そういうことでしたか。」

「うん。ほら、騎士団の詰め所についたよ。」

「はい。」

 

 エルと話していたら騎士団の詰め所に着いたようだ。

 もっと、むさ苦しい場所なのかと思っていたが、すごく綺麗で清潔な場所だった。

 

 普段はエルもここにある団長室で書類仕事をしたり、訓練場で訓練しているらしい。

 今は、魔物騒動があったからここの詰め所に居る人は少なくて、倒した魔獣の処理や城壁からの見回り、交代で訓練を行っているらしい。

 

 そう説明されて、今度は訓練場へ案内された。

 訓練場へは、玄関を通らずに直接訓練場へ行ける入口があって、そこから訓練場へ向かった。

 


 訓練場は城壁と屋敷の間にあった。

 うーん。説明しずらいけど、屋敷と城壁は2階の通路で繋がっているってい説明したけど、その通路の下には広場があって、そこが訓練場になっているって感じ。

 訓練場にもヴェス伯父さんの魔法陣があって、魔法攻撃の訓練をしても、城壁や屋敷が壊れないように守る魔法陣があるんだって。

 そのおかげで、城壁の近くで訓練出来て、何かあってもすぐに精霊の森へ行けるようになっているんだって。


 訓練場……めっちゃ広い……走ったら何キロあるんだろう……。


 訓練場では、訓練中の騎士の方が10人ほどいて、服の上からでもわかるくらいムキムキマッチョの人が指示を出して訓練をしていた。

 騎士の人は剣に魔法を纏わせて戦うみたいだ。

 なぜか剣から水が出たり、火が出たりしている……。すごい……。

 

 訓練の様子に気を取られていたら、指示を出していたムキムキマッチョの人が近づいてきて、エルに声をかけた。


 「おう。団長、お疲れさん。」

 「あぁ、ルディ。お前が指導とは珍しいな。」

 「あぁ、本当は他の奴が指導係だったんだが、急遽別の仕事を頼むことになったから、代わったんだよ。」

 「そうか。」

 「それより、その人が護衛対象か?」

 「あぁ、紹介するよ。ルディ、こちらはユーカだ。ユーカ、こいつはルディガーと言って騎士団の副団長をしている。」

 「そうなんですね。初めまして、ユーカと言います。よろしくお願いします。」

 「はじめまして、お嬢さん。ルディガーという。皆にルディと呼ばれているから、気楽にルディと呼んでくれ。」

 「はい。ルディさん。」

 「おう。」

 

 見た目はムキムキマッチョで、顔も厳つい感じだが優しそうだ……。


「それにしても、護衛対象が子供とは思わなかったぜ。昨日の話の感じでは大人の女性だと思ったんだが……」

「ルディ!」

「なんだよ。挨拶だけだけど、話した感じは大人っぽいが、子供だろう。」

「いえ。私はもう成人しているし、もうすぐ30歳です。」

「はぁ?嘘だろう……。いやいや、そんなわけない。カティと同じくらいの年にしか見えないし……嘘だよな……?」

「年齢で嘘をつく必要性が無いんですけど……。むしろ、なんで年上にサバを読まないといけないんですか……。あとこれでも年齢がもうすぐ30歳になるってことは気にしているんですからね。」

「それはそうだが……いや、すまない。もう言わない。」


 私とルディがそんなやり取りをしている間、エルは笑っていただけだった。

 くそぅ……。


「それより、訓練をもっと近くでみるか?」

「はい。さっきから気になっていたので見てみたいです。」

「おう。危ないから俺かエルの側にいろよ。」

「はい。」


 騎士たちが訓練しているところに行ってみた。

 うんうん。遠くから見たら剣に魔法を纏わせて戦っていたように見えたが、よく見ると水を纏わせていた人は服がビシャビシャだし、炎を纏わせていた人は服が焦げているように見える。

 結構失敗してる……。

 

「うん。やっぱりまだまだ訓練が必要だな。このままだと味方の方が危ない。」

「そうだな。まだ、実践では使えないな。」

 エルとルディがそんな会話をしているのが聞こえた。


「そういえば、エル。私も魔法を使ってみたいんですけど、ここでなら訓練できますか?」

「ああ。そうだな。私も父上にユーカがどれだけ魔法を使えるのか見てほしいと言われていたんだ。ちょうどいいからやってみるか。ただ、この訓練場の奥にある部屋を使おう。」

「はい。おねがいします。」


「おっ、ユーカは魔法が使えるのか?」

「あぁ、ルディ。お前には言っておくが他言無用で頼む。いずれ広まるだろうが、まだ内密にしたいからな。」

「わかった。この訓練場を使うのか?」

「いや、魔法部屋を使うよ。あそこなら暴走しても大丈夫だし、使用中は誰も中に入れないだろう。」

「そうだな。なら、俺も一緒に行こうかな。面白そうだし。」

「おい。お前は指導中だろ。」

「いいんだよ。あれは自分で加減を覚えないといけないものだろう。俺は付き添いなだけで、見ていただけだしな。なんかあった時の救護要因はいるし大丈夫だろう。」

「そうか。まあ、女性と二人きりになるのも問題だから、お前がいてくれると助かるよ。」

「だろう。じゃあ、少し離れる事をあいつらに伝えてくるよ。ちょっと待っていてくれ。」

「おう。」


 エルとルディは小声でそんな会話して、それぞれ移動していく。


「ユーカ、こっちで魔法の練習をしよう。」

 そう言って、私を訓練場の奥にある部屋へと案内した。

 ルディも訓練中の人に声をかけてから、こっちに向かってきた。

 三人で訓練場の奥にある部屋へと入った。


 部屋に入ってみたら、驚いた。

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