はじまり
初投稿作品なのでつたない文章ですが、よろしくお願いします。
痛い……。
いたい……。
体が痛い……。
なんでこんなことに……独りで頑張って生きていこうと思ったのに……。
でも、これでおばあちゃんたちのところに行けるから寂しくないか……。
そう思って意識を手放す寸前、まばゆい光が優花の全身を包み込んでいた。
~遡ること3日前~
夏の暑い日……東京の田舎の方にある実家(祖父母の家)の和室には多くの人が集まっていた。
「優花ちゃん、気をしっかり持ってね。ずっと落ち込んだままじゃ、おばあちゃんも心配で成仏できないから……。」
「はい。ありがとうございます。」
優花は真顔で答え、お辞儀をした。
そう、今日は自分(原島 優花)の祖母のお葬式だ。
数日前に祖母は亡くなった。祖父は先月亡くなっており、そのすぐ後を追うように祖母も亡くなってしまった。
突然の出来事であまり理解が追い付いていないが、祖父母のどちらも老衰で、祖母に至っては、ちょっとお昼寝してくると言って、そのまま眠るように亡くなっていた。
突然のことで動揺はしたが、ちゃんと見送ってあげようと思い、父に連絡し、近所の人と協力してお葬式を行っていた。
なぜ孫の私がやっているのかと思うかもしれないが、祖父母は両親(特に母)とあまり関わらないようにしていたからだ。
田舎の葬式は盛大で、ご近所さんと協力しないとできないが、父は祖父母が関わらないようにしていたため、ご近所さんとの仲は微妙だ。なので、私が協力している。
祖父母と両親があまり関わらないようにしていた理由は私の為でもあった……。
私は昔から、人には見えないものが見えるからだ。
幽霊みたいに人の姿が見えるわけではなく、人の体に色が見えるのだ。
おじいちゃんは赤色と黄色。おばあちゃんは虹色。ほとんどの人は、色が無いか単色で見えることが多い。
そして、時々いろいろな色の光がいろんな所に飛んでいるのが見える。
今まで見たことがある色は、赤・青・黄・緑・白・虹色だ。
小さいときは自分以外にも同じ景色が見えると思っていたが、そうではなかったらしい。
自分では記憶に無いが、私が話し始めた頃に「あの人は黄色!あっちは緑!お兄ちゃんは白いけど、ママは色が無いね。」などと話しており、さらに、人が居ないところも見ながら話しかけていることもあったらしい。このことに母親が気味悪がったそうだ。
私には兄が2人いて、母親待望の女の子が私なのだが、このように変わっていたことと兄2人の子育ても大変だったため、ノイローゼになり、私は育児放棄されていたそうだ。
祖父母が兄2人の時は季節になると孫の写真や手紙を送ってきていた母が、私が生まれてからはそれが無く、送ってきたとしても兄達しか写真に写ってないことを不審に思って、訪ねてきてくれた。
そこで、母に育児放棄されてグッタリしている私を発見し、祖父母が引き取ってくれたらしい。
祖父母が気付いてくれなければ、私は危なかったみたい。
ちなみに父は単身赴任中で自宅に居なかったみたい。
まぁ、これは祖父母から聞いた話で、自分は全然覚えてないけどね!!
父は単身赴任から戻れず、母は兄たちの世話はちゃんとやっていたので、私だけが祖父母に引き取られた。
祖父母との生活はとっても楽しかった。
祖父母の家は、東京でも田舎の方にあり、自然豊かで、祖父所有の畑や田んぼ・山があってのびのびと生活させてもらった。
夏休みや冬休みの時期になると、兄達も祖父母の家に来て一緒に遊んだし、父も1年に1回くらいは会っていたので全然寂しくはなかった。
兄達や父とは今でも連絡は取っている。
まぁ、母は物心つく前に離れていたので、初めから存在をあまり知らず、母親って何?な感じだった。
田舎は人が少ないこともあり、顔なじみしかいないので、人の色はあまり気にならないし、色々な色の光は多かったが場所が限られていたのであまり気にしないで生活ができた。
ちなみに、こっそりと教えてもらったが、祖母にも同じ能力があったらしく、その光は怖いものじゃないから気にしなくていいと言われた。
そんな感じで暮らしていたが、成長するにつれて光にも慣れてきたのか、気にならなくなり、普通に生活していた。
祖母の勧めで、看護師資格を取り、しばらくは都内で働いていたが、人が多いところはいろんな色に溢れていて、見え過ぎてしまい疲れ果て2年ほどで看護師も辞めて、祖父母の家に戻ってきた。
祖父母と生活しながら、田舎の診療所の手伝いや農業の手伝いをして生活していた。
そんな私ももうすぐ30歳。このままでいいのか悩んではいる……。
祖父母は言わないが、ご近所さんや周りからは「早く結婚しないと!」と言われている。
仕事・結婚・子供と今後の事を考えないといけないお年頃だ……(-_-)
そんなことを色々考えながら生活をしていたが、今から1ヶ月ほど前に突然祖父が亡くなった。
特に介護とかもすることはなく、いつもなら早起きなのに、なかなか起きてこないから祖母が見に行ったら亡くなっていた。
そして、祖父の葬式などが落ち着いてひと段落したころ、祖父を追うように祖母も亡くなった。
今が祖母の葬式が終わったところだ。
そして、さっき手伝ってくれたご近所さんが帰っていった。
祖母の遺影の前で呆然としていたら、一番上の兄が声をかけてきた。
「優花、大丈夫か?こっちでちょっと休もう。父さんも話があるみたいだし。奥さんがお茶入れてくれているから。」
「うん……」
居間に行くと両親と長兄と次兄が揃っていた。
長兄のところには2人甥っ子がいたはずだが、別の部屋で次兄の奥さんと一緒にいるみたいだ。
「優花、お疲れさま。今日は色々とありがとう。父さんの知らない人もいたから助かったよ。」
父がそう言いながら席を勧めてくれた。
「うん。」
「お茶どうぞ」
義姉がそう声をかけて、お茶を出してくれ、そっと別の部屋へ行ってしまった。
ひと口お茶を飲み、自分の体が思ったより冷えているのを自覚した。
「それで、今後の話だが……おやじが公正証書で遺書を残していた。それを貰ってきたのだが、この家と土地・前の畑・現金の半分はお前に相続させて、その他の土地と残りの現金の半分を俺に渡すということらしい。」と父が突然話し出した。
「えっ……なんでおばあちゃんの相続分が無いの?あと、なんで私がおじいちゃんの財産の半分を貰えることになっているの?全部お父さんが相続するのが普通じゃないの?」
なんで、私が相続できるのかわからん……???困ったような表情で父を見ていたら…。
なんてこともないような表情で、「さぁ?でも、じーさんは自分が死んだ後もお前がここに住んで、ばーさんの面倒を見てくれると思ったからじゃないか?まぁ、本当のところはわからないが…」と父が言う。
「でも、もう……面倒を見るおばあちゃんもいなくなっちゃったよ…」
父の言葉を聞いてちょっと悲しくなって、うつむいていたら…
「そうだな……でも、じーさんの望みだから、その通りに相続しようと思うんだが、それでいいか?」
「お父さんはそれでいいの?」
「おう。もうずっとこっちには住んでないし、別のところに家もあるし、ちゃんと働いているからお金にも困って無いし。それに、半分の資産でもそれなりに貰えるから大丈夫だ。」
もう、こっちとしては困惑しかない……。ちょっと戸惑っていたら……。
「良くないわよ!!!なんでこの気持ち悪い子だけ相続するのよ!!息子たちだって同じ孫でしょ!!」
と甲高い叫び声で母が言った。
ちらっと母の方を見たら、鬼の形相でこっちを睨んでいた。
怖くてすぐに目をそらしたが、マジで怖かった…。
「おい!本来だったら血縁関係である俺と子供たち3人とで話す場なんだぞ!!話に口を出さないから同席したいといったから、黙っているならいいかと思って同席を許したのに何てこと叫ぶんだ。優花だって俺たちの娘だぞ!!」
「そんな子、私の娘なんかじゃないわ。その目で見られるだけで気持ち悪いんだから…!!娘として見てないのに図々しく息子たちの結婚式にまで来て、挙句の果てに祖父母の財産まで持っていこうなんて、許せない!!」
「うるさい!!お前は関係ないだろう。出ていけ!!」
「いやよ!!そんな子に財産を渡すなんて!!あの人たちの子供はあなた一人なんだから、あなたが全部相続するのが筋でしょう!!それに、あの人たちの孫はこの子達なんだから、この子達も相続するはずでしょう!!」
叫ぶ母は怖かったが、自分でも自分が相続するなら、お兄ちゃん達にも相続させないとおかしいとは思ったので勇気を出して言ってみた。
「も…もし…もし私が貰うなら、お兄ちゃん達にも渡さないとおかしいと私も思う…」
ちょっとビビり過ぎてどもってしまった…。
長兄「あぁ、それなら大丈夫だ。母さんは知らなかったかもしれないけど、じーさん達は俺が結婚した時に生前贈与って形で結構な額を貰っているからいいんだよ。」
次兄「そうそう。お前は結婚してないから、じーさん達もそんな話をしなかったと思うけど、俺たち二人はもう貰っているから、貰ってないのはお前だけ。」
長兄「それに、実質ジジババの面倒を見ているのはお前だろう。世話するのにも金はかかるし、じーさん達も実の息子であるおやじよりも頼りにしていたから、少しでも残したかったんだろう。」
父「そうそう。俺も年取った両親の介護とかで仕事休んでこっちに来なくてよかったし、お前がいたから、高齢の両親が田舎暮らしでも安心だったしな。それのお礼もある。それに、おやじが良く言っていたんだ。優花がいるから安心してばーさんを残して死ねるってな。」
ちょっと涙が出そうになってしまった…。
母も自分の夫と息子たちの話で少し落ち着いたみたいだったが…なんか、ブツブツと「そんなの聞いてない…」と言っている…。
お兄ちゃん達ってば母に贈与のこととか話してなかったんだ…。
まぁ、言ったらうるさそうだもんね…。
「まぁ、そういうことだから、優花には遺言通り相続させるな。ただ、結構資産があるから、税理士さんを入れて、手続きをしないとな。そういう手続きは俺がやるから、優花には書類の確認とかそういうので色々連絡とると思う。」と父が話をまとめだした。
「わかった。お願いします。」
「とりあえず、今日は帰るな。これ以上ここに居たら、また騒ぎそうだから…。準備が整ったらまた来るから。」
まだ、ブツブツ言っている母を見ながら父がそう言ってきた。
「うん。」
そうして、父は母を連れて帰っていった。
「優花、大丈夫か?あんまりあの人が言ったことを気にするなよ。」と次兄が言ってくれた。
「そうだぞ。気にするな。それより、まだ光は見えるのか?」
「ううん。もう、見えないよ。」
ちょっとだけ、噓をついた。
本当は光が見える。
そして、お兄ちゃん達は淡く光っているし、自分のすぐ側には白い光が飛んでいる。
でも、心配かけたくなかったから…。
「そうか。じゃぁ、母さんにもそう言えばあんなこと言われなくなるんじゃないか…。」
「それは…もう、あの人とは距離を置きたいかな…。だって、会うたびに気持ち悪いって嫌われているから…。生んでくれたことは感謝しているけど、もう、会いたくないかな…。もし、会うとしても冠婚葬祭くらいじゃない…。」
「そうか…。まあ、攻撃的な感じで来られたら離れたくなるよな…。
「そろそろ俺たちも帰るな。また連絡するから。もし、こっちのほうに来るときは連絡くれ。ご飯でも一緒に食べよう。」
「じゃあな。」
「うん。気を付けて帰ってね。」
お兄ちゃん達は、別室に居た家族と共にそれぞれ帰って行った。
やっと一人になれた。
もう、疲れた…。
ちょっと休もう。
そう思い、戸締りだけ確認して、食事も取らずに遺影のある部屋で寝ることにした。
目が覚めたらおばあちゃん達が死んだのも夢だったらいいのに…。
そう思いがら意識を手放した。
翌朝…
あぁ、夢じゃなかった…。いつも朝起きたら、おばあちゃんが作るみそ汁の香りがしたのに…。
もう、独りぼっちなんだ…。
そう思ったら涙が出てきた…。この先、一人で生きていけるかな…。
おばあちゃんが良く言っていたな…。どんなに悲しくても、ご飯を食べて前を向いて進まないとダメよって…。
とりあえず、ご飯を作ろう!!
ご飯を食べたら、色々片付けないとね。
そう思ったらお腹が減ってきた!!
ご飯を食べて、遺品整理をやり始めました。
残りの休みはあと4日しかない!!めっちゃ荷物が多いから、ある程度は休みの日に片付けられるように頑張るぞ!!
ここからは全部書くと長いので要約するとこんな感じ!!
1日目…とりあえず、おじいちゃんとおばあちゃんの部屋からやります!!着物がすごくいっぱい出てきた。着物ってどうしたらいいんだ?あっ、これおばあちゃんのお気に入りの着物。なんか、私の浴衣とかまで出てきたんだけど!!とりあえず、季節とかで分類してみるか!!悪戦苦闘していたら、近所のおばちゃんが夕方になっておかずを持って来てくれて、自分がお昼ご飯を食べずに作業していたことに気が付き、おばちゃんに怒られました。
2日目…近所のおばちゃんが声をかけてくれたのか、おばあちゃんの友達やおじいちゃんの知り合いの人たちが来てくれて、一緒に片付けを手伝ってくれました。ついでに、形見分けもしたよ。
3日目…今日は、大雨。夏なのに雨降りで、湿気がすごく蒸し暑い。この辺一帯に、大雨洪水警報が出ている。まあ、雨でも関係なく、家の中の物を整理し始める。
おばあちゃんがよく使っていた机の引き出しから、『優花へ』という手紙を発見した。
↑ここの手紙が重要ポイント!!
その手紙には、信じられないことが書いてあった…。
いつもは、読むのが専門だったのですが、自分でも書いてみたいと思い、思い切って投稿してみました。
初めてなので、とりあえず完結できることを目標に頑張ります。よろしくお願いします。