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3話 エビチリ

「中華が食べたい」


「…麻婆豆腐とか?」


今日も朝から勉学に勤しみ帰宅してすぐにうちに潜入してきた清水がそうぽつりとこぼした。中華ってこないだラーメン食ったばかりじゃんと思ったが、それは口にはしない、それはそれこれはこれって言われるに決まってるから


「そう、エビチリとかも食べたい」


エビチリかぁ、そういえば作ったことねぇな、エビを使って料理することもそんなにないしな、エビフライ食べたいときとかは冷凍されたエビフライ買ってきてそれ揚げるだけだし、いやちょっと待てこいつ確か


「お前辛い物苦手じゃなかった?」


「そうだけど、急に食べたくなった」


ほーん、ならしょうがない急に食べたくなる気持ちはわかる。けどなぁエビチリはマジで作り方から調べないといけないんだよなぁ、作るにしても明日かな


「おけ、明日作ってみる」


「神」


「しってる」


というわけで今からエビチリの作り方を勉強していこうと思う、さーてスマホを取り出していろいろレシピを見て回る。というかエビの下処理から勉強しないといけない気がする。ほー、殻付きエビの殻と背わたってこうやってとるんだ。ほむほむほむ…んーまぁ大体わかった。明日学校帰りににんにくと豆板醤とエビ買ってこないとな、そうだ昔作ったことあるきゅうりを豆板醤につけた和え物でも作るか、清水は絶対エビチリだけじゃ足らないだろうし、あと麻婆豆腐も、これは俺が食べたいだけ、あっそういえばうちのトイレットペーパー切れかけてたな…ついでに生活用品の補充もしておくか、箱ティッシュもあと1週間くらいでなくなりそうだしお風呂場用洗剤もあと残り3分の1くらいだった気がするし


「なぁ明日荷物持ちしてくんない?」


「ん?いいけど何買いに行くの?」


「トイレットペーパーと洗剤とエビ」


「あー、いいよバイク出そうか?」


バイク、うーんバイク出すほどの買い物でもないしなぁ、あそこのショッピングセンター自転車で6分くらいの距離にあるしただ単純に一人で色々買って持って帰ってくるのがめんどくさいから清水のこと誘ってるだけだし


「普通に自転車で行こう、バイク出すほどのことでもないしな」


「おけー私もシャンプー類買いたかったしちょうどいいや、ナイスタイミング」


「神?」


「神」










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


というわけで買い物に来た。家の近くにあるショッピングセンターに自転車で来たのだがすげぇな清水、自転車乗ってる時の違和感がやばい、普通のママチャリに美人が乗ると浮くんだなぁと改めて実感した。おしゃれ自転車ってやっぱり必要なんだな…こういう人のためにも


「じゃ、30分後ココ集合で」


「了解、なんかあったら連絡する」


はいというわけで清水とはついてすぐ解散しました。清水も俺もなるべく買い物はだらだらせずにパパっと終わらせたい性分なのでこうやって一緒に買い物に来たとしても二人別行動してできる限る速く終わらせるということがいつものパターンになってきているのだ。

というわけで俺はドラッグストアにトイレットペーパーと洗剤を買いに出発した。ハイ到着、パパっといつも買ってるやつを購入、ハイ次っ!!!


とこんな感じで買い物終了、ちょうど30分くらいで終わったので清水との待ち合わせ場所に来たのだが…わぁ、清水さんまたナンパされてるよ…今月で何回目だよあれ、たぶん3~4回目くらいだろ、頻度がやべぇ、あーめんどくさいけど早く助けないとなぁ、ナンパ慣れしすぎててナンパ中の人の話完全スルー&顔すら見てないけどどんどん不機嫌になってるのがわかる、さぁ今回はどうやって助けるか…確かこないだは俺もナンパ男になってナンパされてる清水に話しかけて連れ出した気がする。じゃあ今回は弟の振りでもしようか!清水と俺顔全然似てないけど!よし行こう!


「ねぇちゃんまたナンパされてるのか…?」


「ねぇちゃん?」


「ングッ」


おい清水笑うなよ


「今月で何回目だよねぇちゃん…ごめんねお兄さん今家族で来てるからまた今度にしてくれない?」


「あ、あーそうだったの?ごめんねー弟君、お姉さんが一人で来てるのかと思ってた。じゃあ俺はこれで…」


おっ結構早く帰っていったな、あの人はまだましだな、稀にまじで終わってるナンパ野郎とかもいるし、まぁこんな家族連れも大勢いるショッピングセンターでナンパするやつに良いも悪いもなくひとまとめに終わってるけど、


「ありがと、弟君」


「どういたしましてねぇちゃん」


「ングッ…やめて…危なかった。ほんとに吹き出しそうになった」


いやもうほとんど吹き出してたようなもんだろ


「もうさ、二人別行動で買い物するのやめとくか?」


今までも清水がナンパされる度に二人行動やめた方がいいんじゃないって聞いていたけど毎回「別に平気」って言ってんだよなぁ、でもやっぱりさすがに頻度がなぁ、the平凡な俺でも一緒にいるだけでナンパ除けにはなるだろうし


「確かにもう別行動はやめといたほうがいいかもねー、毎回君が助けてくれるから別にいいかなーって思ってたけどそろそろ本格的にめんどくさくなってきたや」


でしょうね、確か俺がいないときは清水の友達がにらみを利かせてるから何とかなってるみたいだけどほんとに一人になるとすぐナンパされるもんな、そりゃめんどくさくもなるわ、あとたぶん見ず知らずの男に急に声かけられるとか普通に怖いと思うし


「なら今度から二人行動ってことで」


「異議ナーシ」


よし決定、次回から買い物に時間とられることになるけどこればっかりはしょうがない、というかもっと前から無理やりにでも二人で行動するようにしておけばよかった反省だ、今度から二人でぺちゃくちゃしゃべりながら買い物するとしよう、それも楽しそうだしな


「んじゃ、買い物も終わったことだしかえってエビチリ作るか」


「いえーい」






―――――――――――――――――――――――――――――



「できたぞー」


「すっご、めちゃくちゃおいしそう」


いやー我ながら今回初見のわりにうまくできたと思う、さて今回作ったものは昨日考えた通りエビチリ、麻婆豆腐、キュウリを豆板醬であえた物である。ちなみにキュウリはもうすでにすべてなくなった。作ってすぐに味見をしたのだが思ったよりおいしくて清水と二人してつまんでいると速攻なくなってしまった。いやぁおいしかった。


「じゃ、いただきます」


「いただきまーす」


さーてまずはエビチリをパクリ、おっピリ辛でうまい!全然苦みもないしちゃんとした処理成功してるな、いやーよかったよかった。今回は辛い物が苦手な清水のために辛みを少し抑えてみたけどもうちょっと辛みがあってもよかったかな?これはこれでおいしいけど、うーんプリップリのピリ辛のエビでご飯が進むぜ…

次は麻婆豆腐だ、スプーンですくって食べる、うん辛い、完全に俺の好みで辛く作ってみたけどやっぱり麻婆豆腐は辛いのが一番だ。汗かくくらいが一番いい、後かなりとろとろ気味に作ってみたのだが白ご飯にかけて食べるとものすごくおいしい、麻婆丼にしてもよかったかな?さてここで清水の反応を見てみよう、あっものすごい勢いで水飲んでる。あーこれは麻婆豆腐食べたなこいつ、かなり辛めにしてるからたぶん合わないぞって言ったのに…


「大丈夫かー?」


「だいひょばなひ」


どうやら大丈夫じゃないようだ。少しかわいそうなので水を追加でコップに注いであげた。

おーすっごい汗かいてるな


「冷房つけようか?」


「おねはい…」


お願い?かな舌出してはーはー行ってるせいでなんて言ってるかわかんねぇ、犬みてぇだ、とりあえず冷房入れるか…


「かはいけどおいひい」


「うん、水のめ」


おいしいならよかった。もうすでにエビチリなくなってるしよっぽどおいしかったようだ。よかったよかった。作った甲斐があるってもんだ。

ただ今度作るときはもう少し辛みを押さえて作ってあげよう

ゴキュッゴキュッっとすごい勢いで水飲んでる清水を見ながらそう思った。


清水が二人行動を拒んでた理由は毎回毎回手を変え品を変え必死でナンパから助けようとする主人公を見るのが楽しかったからが理由だったりする。

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