Act for
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「あ、二人とも戻ったんだ……て、あれ?クレハさんも一緒?」
首を傾げるユリィを見るなり、彼女はあたかも当然のようにお約束の言葉を掛ける。
「あはは。いやー、迷子になっちゃてねー。それはそうと……。うん!ユリィちゃんは今日もブレない可愛いさだ!どう?いい加減、私んとこに来ない?」
品定めをするような見方は、端から見れば卑猥なオジサンのそれだ。
「まーたそういう事言って。誰にでも言ってるじゃないですか」
「えー、そんな事ないよー。エリカには一度も言った事ないし」
頭をポリポリ掻きながら、クレハは口を尖らせていた。
そして一部始終やり取りを聞いていた他のメンバーも、それぞれ思うところがあった。
(ユリィが可愛いやて……?アカン、何度聞いても理解できんわ……)
とレオ。
(……クレハさん、ほんと懲りないよなぁ。全くブレない)
とシン。
そしてエリカはいつも通りのため息で終えた。
エリカとクレハは現在27歳。
同じ歳でも人それぞれ、性格の差は当然あるのだが……。
「やあ、レオも大人びてきたねー。どう?年上のお姉さんも中々いいもんだよ?ちなみに、私の方がエリカよりも断然いいと、私なら思うねー!はっはっはー!」
社交辞令であるナンパを一頻り言ってのける。
故に彼女達とでは、社交辞令の概念が異なっていた。
「ちょっとクレハ、その辺にしなさい。今は敵地にいるも同然なのよ?」
「ハイハイ。エリカは相変わらず固いなー」
やれやれといった素振りのクレハ。
収集が着かなくなる前に切り上げさせたエリカは先ほど起きた、そして知り得た内容を皆に語り始める──。
「つまり、ヒイロは悪魔だけど目覚めれば味方になる。って事、なのかな?」
ユリィの出した見解に、皆もはっきりとした答えは出せなかった。
「でもさー、その、カレンちゃん?はこっちとの協力を拒否したんでしょ?だったら少なくとも、そのやるべき事って悪魔退治よりも優先度が高いってことだよね?気になるところじゃない?味方うんぬんは分からないけどねー」
わりと真面目な考察をするクレハに続き、レオが自身の経緯を端的につけ足す。
「オレは悪魔やけど、敵側になったんには理由があんねん。目的なんかは知らんけど、それでヒイロの自我が戻るんやったら、こっちにつく可能性はじゅーぶんあると思うで」
皆の意見を聞いていたシンは、自分の見たものを話すべきか迷っていた。
(ヒイロさん、か。うーん……、そう見えただけかもしれないしなぁ。今そんな話をしちゃったら余計に混乱するよなぁ)
シンが思案していたタイミングで、エリカは別の形で会話を進めた。
「ここで考えても答えは出なそうね。情報の足りていない現状では、全て憶測にしかならないわ。何にしてもわたくし達は当初の予定通り、作戦を決行するだけよ。……そもそも、あの男は何か知らなかったのかしら?」
「ロディーさんっすか?そう言えばあの人、どこ行ったんだろ?」
シンの疑問に、皆は同じ回答を出した。
「まあ、酔っ払ってどっかで寝ちゃってるかもしれないっすけど……」
「あはは!あの人らしいやー!」
クレハが笑い声を上げる中で、最も深刻に受け止めたのがユリィだった。
「……でもそれ、良く良く考えたら結構不味いよね?もし悪魔に見つかったら、あの人の秘密がバレちゃうかもしれないし。やっぱり、置いて来たのは失敗だったかな……」
「……そうね。でも向こうにはまだリーナがいるもの。きっと大丈夫よ」
思案が続く中でそれは最重要事項と言えるだろう。
彼は普通の人間でありながらも悪魔の天敵となる、『神の遣い』なのだから──。




