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LOST HEAVEN  作者: 宵空希
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所変わって──。

ロディーと別れた四人は現在、ロレイヌ国近辺に生い茂る林道を進んでいた。

「それじゃ、こっからは暫くお別れだな!」

シンの言葉を皮切りに、他の三人が口を開く。

「いいこと?シンは特に、無茶はしないようにしなさい。貴方が一番の気掛かりだわ」

「……シン、これはどーゆー事や?ジャンケンはオレが勝ったよな?」

「え?レオは私と一緒じゃ嫌なの??」

四人は一度、ここで三手に別れて行動する。

現在ライル達や生存者の多くはロレイヌに集中しており、対して敵はルベールを根城にしている。

なので予め用意していた作戦通り人々の安全を優先し、ここでしっかりと守りを固めるのだ。

その為、先ずは悪魔の襲撃に備えて予防線を張る。

ルベールからロレイヌへはルートが三つあり、その全てが必ず森を抜けなければならない。

そこでそれぞれの担当を振り分けた。

シンとエリカが分担して森周辺を見張り、後方ではレオとユリィがリベリオンと協力して防衛ラインを確立する。

その後で敵地に乗り込むのだ。

強大な力を持つ、恐ろしき悪魔を狩りに──。

「……シン。おまえ、聞いとるんか?」

元はその悪魔の一角を担っていたレオが、恨めししいような視線を向けてシンに言った。

けれど当の本人は合掌していた。

「……おいコラ──」

「はいはい。ほら、行くよ?」

そうしてレオはユリィにズルズルと引き摺られながら、シンの視界から遠ざかって行った。

「さらば、友よ……」

「はぁ、まったく。余裕があるのもいいけれど、貴方が一番危険なルートなのよ?それだけは頭に入れておきなさい」

エリカの忠告は最もであり、シンの監視するポイントは悪魔達との遭遇率が最も高い。

何故かと言うと三つのルートの内二つのルートの距離が近い為、シン一人でそれらの中間地点を見張るからだ。

「大丈夫っすよ!俺だって伊達にメンバーやってないっすから!それじゃ、行ってきます!」

そんな言葉を残してシンも担当場所へと向かって行った。

「……心配だわ」

そう独り言を呟いてエリカもまた移動するのだった──。




ロレイヌ国が治めていた領地内の村にて。

早速リベリオンと合流したレオとユリィは、そのリーダーであるライルと会合していた。

「わかった。では我々が責任を持って、人民の守護を担おう」

丸く小さめのテーブルを囲んでいた三人は一通りの話を終え、それぞれ席から立ち上がる。

まだ散り散りとなっている人々に出来る限り近隣へと纏まってもらい、そしてリベリオンの面々とその内現れるであろうもう一人のメンバーが防衛を担うのだ。

レオとユリィは早速人々がひっそりと生活しているであろう各地の廃村へと向かおうとした。

それをライルが呼び留める。

「ああ、それと。ついさっきだがヨハンがここを訪ねて来たぞ」

そう告げたライルだが、二人からはやや険しい視線が向けられた。

「……やはり奴は、信用ならない男か?」

神妙な面持ちで言ったライルに、ユリィは賛成の意を示し首を縦に振った。

「ちなみに何を話したの?」

「ふっ、謝られたよ。前回は騙して悪かったと、飄々と言ってのけやがったな。まあ立ち話で終える程度の話だ。……ただ一つ、奴は気掛かりな事も言っていた」

「……何?」

嫌な予感を隠し切れずにユリィが言葉の先を促した。

「“悪魔達の探し物”がどうとか。あまり聞き取れなかったのだが」

「探し物?」

「ああ、恐らく。もちろん気になって問い質そうとしたのだが、直ぐにいなくなってしまってな。……すまん」

そう謝罪の言葉を述べたライルをユリィが宥める。

「ライルさんが謝る事じゃないって。悪いのはどう考えても、あのエゴ男でしょ?」

「……ああ。そう、だな」


ライルはずっと罪の意識を感じ、報いる為の方法を求めていた。

その答えが今の組織、リベリオンだ。

単純な話ではないのを重々承知の上で彼は傷付けた人達の分、今度は救いの手を差し伸べようと全力を尽くしている。

力量の少ない自分に出来るのは敵を討つ事ではなく、命懸けで人々を守る事だと自身を戒めながら。


「元気だしーや。リーダーがシャキッとせんと、仲間は心配なるで」

レオもまた心境を察したのか、ライルを激励する。

「……そうだな。君の言う通りだ、レオ。俺もまだまだ若い者には負けてられん」

「そういえばライルさんていくつなの?」

ユリィの素朴な疑問にライルは不思議そうな顔で答える。

「歳か?25だが?」

「……えっ!?私と二つしか変わらないじゃん!」

見た目は軽く30以上に見える程、ライルの顔は中々に厳ついのだ。

そして中々の衝撃を受けたユリィに、レオが心中を察したような言葉を送る。

「まー気にせんほーがえーて。ユリィやて23には見えへんのやか……ら……。ちゃう!ちゃうんや!良い意味でや!」

彼女の歪みきった微笑みは最早、何処か芸術性すら思わせる程の純粋な狂気の体現であった。

「なーに、レオ?それは歳よりも子供っぽく見えるって事?それとも逆……なのかなぁ……?」

「……どっちも……アカンやつや……」

威嚇された悪魔はガクガクと震えながら、逃げるに逃げられなくなっていた。

そんな状況を横から見ていたライルもまた、顔を青褪めさせながら動くに動けなくなってしまったのだった──。

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