【97話目】 盗賊団捜索
任務が言い渡され数日、俺たちアグン隊は再びパゼーレ近くの森に潜伏していた。
今度は前回よりも森の奥地にまで来ていた。
どうやらこの付近に盗賊団の本元がいるらしいが、それらしい人はおらず俺たちは困っていた。
「隊を２つに分けよう」
そんな中、アグン隊長から提案がされた。
5人いるアグン隊を２つに分けて捜索しようといった提案だった。
隊を２つに分けて盗賊団と接敵した時の人数が少なくなってるデメリットもあったが、このまま闇雲に探しても時間の無駄という事でその案が可決された。
そして２つに分けた結果……
アグン隊長とイーリシャさん、そしてカムエルさんで1組
そして俺とシノンさんの2人で1組だった……
最初は文句を言っていたシノンさんだったが、アグン隊長に説得されて嫌々俺と組むことになった。
いやまぁ……新人の方を3人にするのがセオリーでは？と思いながらも二手に分かれて盗賊団の捜索を行った。
俺たちは崖の方を捜索していた、下に川が流れているのは見えているがそれでも落ちたらひとたまりもないだろう。
「……ったく、なんで俺がこんなガキと……」
前の方でぶつぶつと俺に対して嫌味を言ってくるシノンさんに俺は気分を害していた。
「あの……なんでそんなに俺を目の敵にするんですか？」
俺はシノンさんの後ろについて行きながらそう尋ねた。
「別に……なんでもねぇよ」
しかしシノンさんは答えてくれる様子はなかった。
「なんでもってことはないでしょ！？初めて会った時からずっとその態度、俺のなにが気に入らないんですか！？」
ついカッとなってしまいシノンさんに詰め寄る。
「いい加減にしやがれ！お前みたいなガキが目の前で死ぬなんてもう見たくないんだよ！！」
シノンさんが強く怒鳴る、その激怒した表情とシノンさんの言葉で俺は体を硬らせた。
シノンさんの言ってる意味って……
「おい！テメェらここでなにしてやがる！」
言い争いをしていた俺たちに知らない声が聞こえた。
その声の方を振り返ると、この前の盗賊団と同じ格好をした男たちが立っていたのだ。
「コイツらきっと俺たちのこと嗅ぎ回ってる騎士団の連中だ！この前も支部の連中が全滅させられていた！！ここで殺せ！！」
その言葉が俺たちに聞こえた時にはもう既に盗賊団達は俺たちに魔力の弾を撃ってきていたのだ。
「危ない！！」
俺の体は咄嗟に動いてシノンさんを庇っていた。
そして魔力の弾は俺に直撃し、俺とシノンさんは吹き飛ばされて崖に落ちて行ったのだ。
