【69話目】 ゴルディン壊滅
パゼーレより遥か北東に位置する都市ゴルディン
そこでは貴族至上であり、平民が貴族から虐げられているのが日常の都市だ。
更に領主はギャンブル好きであり、今開催されているマジックフェスティバルの1年の部の試合を賭け事にしており、自分が賭けに勝つならどんな非道な事でもするという外道である。
そんなゴルディンは今現在、たった1人に攻め入られて壊滅寸前の状態であった。
自分達の故郷を守ろうと勇敢にも立ち向かってきた兵士達は皆殺しされて、そこら中に死体が転がっていた。
一般人は脅威が去るのを建物の中で身を潜めながら願っていた。
そして、ゴルディンを襲っている襲撃者は城の番兵を殺害し、領主の住む豪華な城内部まで到達していた。
その男、黒い髪を後ろに纏めており黒いコートを羽織った全身黒色が印象的で、利き腕である右腕には人器であるクロスボウを装備していた。
城内部には傲慢で酒に溺れていた地位の高そうなゴミ共がうじゃうじゃ沸いていた。
そのゴミ共はさっき立ち向かって来た兵士達の上官にあたる連中で、侵入者の事など下の兵士達に任せて昼間から騒いでいたのだ。
その後、そのゴミ共を赤い絨毯にしてその男は領主がいる上階に上がっていた。
途中見張りの兵士達が出て来たが、足止めにもならずに死んでいった。
そして城にいる兵士達を1人残らず殺して、ついに男は最上階までたどり着いていた。
そこにいたのは中太りの小柄で豪華な衣装を見に纏い、恐怖で体を震わせている領主と2人のガタイの良い男達がいた。
「ヒィィィィ!!!き、きたぁぁぁ!!!!し、下の連中は何しておったのだ!!!」
怯えながら領主は兵士達に怒りをぶつけていた。
「お下がりくださいませ、主人殿。」
「ここは、我らが!!」
領主を守るように出てきた2人の男、こいつらはここで殺した奴らと比べては強い方だろう。
だが
「気を付けろ。そこはもう"射抜いて"あるぞ。」
そう侵入者が言った瞬間、男達から見て正面の壁から何かが2つ突き抜けてきて男達の頭部を貫いた。
2人揃って倒れて動かなくなり、この空間には侵入者と領主だけになった。
「い、射った矢のスピードを自在に操れる"クイックアロー"……やはり貴様なのか?」
「十戒士に入ったと聞いておったが、本当だったとは……」
どうやら領主は侵入者に面識があったらしい。
侵入者……十戒士のブラッドハンドはその領主の言葉を無視しながら近づいた。
「ま、待ってくれ!!あの時の事か!?あの時の事を恨んでおるのか!!??済まなかった!本当にすまなかった!!」
領主は命欲しさに敵である十戒士に命乞いをし始める。けれどもブラッドハンドは止まらない。
「いくら欲しい?私が出せるならいくらでも出そう!!……そうだ!!お主にこのゴルディンの領主の座をやろう!!
これは大変名誉な事だぞ!!」
ブラッドハンドはまだ歩みを止めない
「……そうだ!!この都市1番の美人をお前にくれてやってもいい!!その女を嫁にして前のあの女と子供より幸せな家庭を築くと….」
ブラッドハンドは領主の首根っこを締めて人器のボウガンを領主の頭に付けた。
最後の交渉だったのだろう、しかしブラッドハンドには……
「俺が言えた義理じゃないが、お前……本当にクズだよ。」
次の瞬間にはクロスボウから矢が放たれ、領主の頭部を貫いた。
領主の頭部から噴き出た血飛沫がブラッドハンドにかかる。
「これで……任務完了。」
ブラッドハンドは凶震戒のボスから受けた命令を遂行した。
「これで……仇は撃てたな……」
静かに1人になった空間で、ブラッドハンドは自分の血に汚れた手を見ていた。
憎むべき仇を撃てたというのにブラッドハンドの心には喜びはなく、あるのは……
「虚しいな」
ゴルディンが壊滅したという知らせはすぐに他の都市にも伝わった。




