【6話目】マホウツカイノタビダチ
辺りは少し夕暮れになっていた。
俺達は魔性輪を買う為の店へと向かっていた。
俺は魔法を使えるなんて少し驚きながら周りの建物を見ながら歩いていた。
周りの建物はレンガ造りが多く元いた世界とは違う雰囲気がして興味を引いた。
すると周りとは違う感じの建物が遠くに見えた外観は白を基調とした感じて建物の上には十字架が飾ってありさながら神聖な教会、みたいな感じだった、この世界も神を信仰するといった習慣があるのだろうか?
「あの建物は教会ですか?この世界にも神を信仰とかしたりしているんですか?」
ちょっと無神経に質問をした。
するとディーオンはゆっくりとこっちを見た。
「あぁそうだ。この世界には一応神がいやがる……ついでにドラゴンもいるぞ。」
少し苦い顔をしてディーオンは答えてくれた。
そんな非現実的なそう思ったがディーオンの顔を見るに恐らく本当の事なのだろう。
まぁこの世界に来てから魔法とか色々とあったしいてもおかしくはないのかな?
それにしてもまさか神どころかドラゴンもいるなんてこの世界はやっぱり元の世界より多くの要素を持っているんだなと思い、神やドラゴンの詳細を聞こうとした。
しかしディーオンの険しそうな顔をしているのを見て聞いてはいけない物だと思い聞くをやめた。
「そんなことより魔法の説明をしてやる。」
ディーオンは話題を切り替えて魔法の説明をし始めた。
「魔法っても人それぞれで使える魔法は違げぇ。フィゲル……さっきお前さんのの足を治した奴のような回復魔法。セリティアの記憶系の魔法といった感じだ。
同じ様な物はあっても完全に一致している魔法は無ねぇ。
部分的にな違いやら個人個人の魔力量の違いなどで変わったりしやがる。
あと、それから人器といって魔性輪によって魔法と一緒に使える人それぞれ違う武器なんだがーーー」
といった感じで俺は魔法の説明を受けた。
それにしてもさっき俺を治してくれた人はフィゲルという名前だったのか覚えておこう。
それにしても魔法は人によって違うのか……俺がどういう魔法が使える様になるのか少し気になる所だな。
「そろそろ着くぞ。この先を曲がった先にある。」
そろそろかと自然に緊張しだした。
しばらく進んでそして言われていた角に到達して曲がった。
魔法が使えるようになる指輪を扱っている店か……きっと凄いところなんだろうな。
明るくて綺麗で新しい感じの店をイメージいた。
そして角を曲がった先にあったのは……
凄く寂れて今にも潰れそうな感じの店がそこにはあった。
『マホウツカイノタビダチ』と書かれているボロボロの看板が店前に飾ってあった。
俺は思っていたのとは違って俺は驚きを隠せていはなかった。
「思っていたのと違ったか?」
そんな俺の顔を見て思った事を察したか少しにやけながら俺にそう言った。
「まぁここは相当昔からある店で一回も改築していない店だ。そんなことより早く入るぞ。」
どうやらこの店の店主は代々、魔性輪を作る事に長けている魔法の使い手のようだ。
店の説明を少し聞いたところで俺はディーオンに急かされて店に入った。
店の中に入った少し寂れているが広く、目の前にカウンターがあり、向こう側には多くの天井まで届きそうなくらい高い棚が立ち並んでいた。
「いらっしゃいなにか用かい?」
店の奥から少ししわくちゃなお爺さんが出てきてカウンターに着いてそして……。
「おや……騎士長の旦那じゃないか。今日はどんなご様子かい?」
しわくちゃなお爺さんはディーオンを見て聞いた。
そしてディーオンは前に出て話し出した。
「よぉ、ロートンの爺さん。実は今日はこいつの用事でな、今日異世界から来た優斗だ。こいつの魔性輪を貰いたいんだが。」
またディーオンは俺の事を異世界人と紹介する。そしてロートンさんはその言葉を聞いて俺をジロジロと見て来た。
「ほぅ……わかったじゃあ君、こっちへ付いてきなさい。」
そういってロートンさんは店の奥へと行く。
俺はどうしたらいいか困惑してあたふたしだす。
「ほらロートン爺さんに着いて行ってこい。」
ディーオンにそう言われ俺はフゥさんに着いて行く。
ロートンさんに着いて行って奥へ奥へと棚の間を通って進む。
しばらく棚の間を通ってそして棚のコーナーが終わって少し開けた場所に出る。
そこにあったのは1つの複数の色を放っている不思議な感じの大きな岩が置いてあった。
「それじゃあここに手を付いてくれ。」
ロートンさんは俺にそう勧めた。
俺は少し戸惑いながらその不思議な岩に手をゆっくりと付いた。
なぜこんな事をするんだろう?そう思っているとその不思議な岩は光だした。
「ほらもう手を離してもいいぞ。ゆっくりと離すんだぞ。」
そうロートンさんに言われて俺は岩から手をゆっくりと離した。
離していく最中、俺の手の中に何かある感触がした俺はそのまま手を離しても手の中の物を掴んだ。
そして俺は手を開いて手の中にある物を見たそれはセリティアさん達がしてた魔性輪に付いていた似た物で、透き通った綺麗なエメラルド色の宝石が俺の手の中にあった。
「ほぅ君のは綺麗な色をしているね、それじゃあひとまず預からせて貰うよ。」
そう言ってロートンさんは手を差し出して宝石を受け取ろうとした。俺は素直に従いロートンさんに宝石を渡した。
「それじゃあこれを指輪にするからちょっとカウンター前に行って待っててね。」
俺はロートンさんに言われた通りディーオンの元へと戻った。
俺が戻った時にはディーオンは入り口付近の椅子に座って待っていた。
「よう、早かったな。で、どうだった?お前の宝石どんな色だった?」
帰ってきた俺に気楽そうに問いかけてきた。
俺はその隣の椅子に座って話を始めた。
「どうだったって言われても何か特別な事は感じませんでしたよ。あと、宝石の色は緑色でした。」
感想と結果を簡潔に述べる。
……そういえばセリティアさんや他の人にも宝石があって魔法が使えるのだとしたらこの人はどんな魔法が使えるのだろう?
この人とずっと一緒にいたが指には魔性輪はしてなく、どういった物かは未だに分かってはいない。
「そう言うあなたはどんな色で魔法が使えるんですか?」
まだロートンさんはこなさそうだし、ちょっとした雑談感覚で質問してみた。
「んー?いや教えられねぇな。一応手前の魔法は他人に広めたくはないからな。」
どうやら話してはくれないみたいだ。
それより、さっきまで他の人の魔法を俺に教えといて何言ってるんだ……
まぁ面倒だからそれは胸の内に秘めとこう。
そしてロートンさんが店の奥から出で来た。手には四角い箱を持って俺の前まで来るみたいなので椅子から立ち上がりロートンさんに近づいた。
「はい。出来たよこれが君の魔性輪だよ。」
そう言いロートンさんは俺に箱を渡した。
俺は箱を開けて中の物を確認した。
あったのは銀色の指輪に四角く、エメラルド色に輝いている宝石が付いていた。
俺は箱から指輪を取り眺めた。
すると後ろから見ていたディーオンが
「とりあえず付けてみろよ。お前がどんな魔法が使えるか見てやるから。」
そう提案して来た。
自分の魔法も明かさない癖にこの人は……
とは言ったもののまぁ俺も気になるのでそこはスルーして指輪を他の人と同じ様に右の人差し指につける。
付けた感じ特には何も変化はない。
「ほらつけたら力を込めて何か出す様な感じでやりやがれ。」
ちょっと雑にアドバイスされるがそれに従ってやってみる。
指輪のある所に力を入れてみた。
すると不思議な力を指輪から感じ始めて指輪から光が出てきて何か出て来そうだ。
ドシーン!と大きな音を立てて何かが床に落ちてそのまま床に刺さった。その落ちてきた物は……
錆だらけでボロボロで俺の肩くらいの大きさの剣の様な物だった。
それ以外はこれといって変わった事はなく本当に魔法が使える様になったのか疑問に思った。
他の2人も不思議そうな顔で俺を見ていた。
「何か使えるようになったとかわからねぇか?魔法ってのは自然と自分がどんな魔法が使えるかってわかるんだが?」
とディーオンに言われるが何か使えるようになったかなんて全然わからない。
何か出そうと力むが何も出てはこない。
「いえ……何か使えるなんて全然感じません……。」
その俺の言葉にますます疑問の顔を浮かべる2人。これは何かまずい事なのだろうかと俺も段々と不安になってくる……。
「それじゃあその古臭い人器には何かないのか?持ってみてみろ。」
そうだ魔法がなくても今出てきた人器という武器がある。
俺は床に刺さっている武器を掴んで持ち上げようとした……が持てない、やっぱり金属製の物なのだろうか重たくて持ち上げるのがギリギリだった。
まぁ金属製だし重たくて仕方ないか……とそう思ったがディーオンの様子がおかしい。
「重てぇのか、人器が……?」
?何かおかしいのだろうか金属製でこんなに大きな物なら重たくてそんなに不思議じゃないだろ。
俺は訳が分からずに頭を傾けた。そんな不思議そうにしている俺を見てディーオンが説明を続ける。
「普通、自分の人器ってのは自分の体の一部みたいなもんで重さは感じずに普通に振り回せる筈だ。
だから自分の人器が重たいってのはおかしな話なんだ。」
人器ってそんな仕組みだったんだ。
でもなんで俺の人器は他の人達とは違って重たく感じるのだろうか?
俺の人器だというとに俺を除いた2人がどうしてかを話し合っている。
「えっっと、これはどういう事なんしょうか?」
少し不安そうに俺は2人に聞いた。
すると2人は少し唸り、考えて、そして俺に伝える。
「もしかしたらだが、まだ魔法の才能が覚醒していないのかもしれねぇ。ごく稀にいるんだそういう奴は。」
割とショッキングな事を知らされる。
流石に魔法の上手い、下手はあると思っていたがまさか使うのでさえ才能を要求されるとは思っていなかったからだ。
「それじゃあ他に使えるようになったりするとか無いんですか?」
ちょっとした可能性をかけて他の方法を聞いてみようと思った。
流石に魔法も武器も使えるないんじゃ少し嫌だな……と思う。
「何かして使える様になるとかはない。そういう奴等は大抵いきなり使える様になるか、使えないままだからお前さんが使えるかどうかはまだ分からないな。」
マジか……と少し複雑な気分になる。
魔法がいつ使えるかわからないもしくは使えないままなんて……
いつか使えると言われても俺は一年もしたら元の世界に帰る予定なのでそれまでに使えなければ結局使えないのと同じだからだ。
でもそんなマイナスな事ばかりではない、いつ使えるかわからないという事はつまりすぐに使える様になる可能性だってある。
使えないと思うよりすぐ使えるかもしれない俺はその期待を胸に『魔法使いの旅立ち』を出た。
店を出た俺達は何も言わずに街を歩く。
恐らくディーオンは俺に気を使ってか何も言わない聞こえるのは街にいる人達の賑わう声ばかりだった。
そしてしばらく歩いていると木造の大きな建物にたどり着いた。
「ここが試験を受ける奴等が泊まる寮だ。ただ普通は試験の前日に来るんだが、その試験まであと一週間もあるから数日は貸し切り状態だからな。」
ここが学園の試験を受ける人達が集まる寮かどんな人が来るのだろうか?
数日間も1人と言われるとどうすればいいかわからなくなるが、とりあえず勉強とかをして過ごそうかと考える。
「俺が一緒に行けるのはここまでだ後は1人でやれよ。寮の中にいる婆さんに名前を言えば通してくれるからな。後、金貨も渡しておく。」
親切に教えてくれた後ディーオンは俺に多分この世界の金を10枚も渡してくれた。
「とりあえずで、その金貨は銀貨10枚分、銀貨は銅貨10枚分の価値がある。そう覚えればいい。」
元の世界だとどんな価値に相当するのだろうか?
そう少し考えたが別にこの金貨を元の世界に持っていく事とかないののだろうし、あまり考えなくてもいいかと思って考えるのをやめた。
俺に金貨を渡してくれた後ディーオンは帰るようで俺はそれを見送って、寮へと入った。
扉を開け、寮には入ると受付が真っ先にありそこにはディーオンも言っていた通りお婆さんがいた。
俺はお婆さんの元へ行き、自分の言った。
「おや……そうかい、君が言われてた……ユウコン君かい?」
そう受付のお婆さんは聞いてきた。
いや……名前が微妙に違う!
何か受付の時に不備でもあったのだろうか、俺は名前の間違えを指摘する。
「いいえ違いますよ俺の名前はユウト シンドウです!」
と俺は相手に届くようにしっかりと大きな声でかえした。
「あぁ……すまないねぇ。最近忘れっぽくてじゃあユウト君これが君の部屋の鍵だよ。」
そう言って婆さんは俺に半透明の薄い四角い板を渡してきた。薄い板の中には何か数字で【113】と書かれており恐らく部屋の番号だろうそう思い受付の傍にあるこの寮の案内図を確認してお婆さんに一礼して部屋へと向う。
そして歩き出した時に……
「あれ?何か忘れているような……?」
と後ろから少し不吉な事が聞こえたが何も聞こえてないふりをして部屋に行った。
そして113と書かれた扉を見つけそのまま部屋へと入った。
部屋は薄暗く見にくいがゆっくりと部屋の奥へと入り込んだ。
しばらく進んでいると紐が上から垂れていのに気が付いた。
もしかして……と思いその紐を下へグイッと引っ張った、やっぱり紐の先にあった天井に付いている水晶みたいな物から光が放たれ部屋に光が灯った。
恐らく元の世界の電球の電気の代わりに魔力を使っていると思われる……ま、詳しくはわからないが。
一応部屋には小さい風呂があるが、さっき案内図を確認した際に大浴場がある事を確認していた為ほぼ貸し切りという事を聞いていたのでひとまず今日の疲れを取る為に荷物を置いてその大浴場へと向かう事にした。
先程街で買った服と鍵を持ち大浴場へと向かう、早く今日の疲れを取りたいからか少し早足気味に歩いた。
えっとその角を曲がれば目的である大浴場に着く。俺がその角を曲がろうとした時に目の前に何か飛び出して来た。
なんと、誰もいないと聞かされていたのに角を曲がった先には美少女が目の前に現れたのだ。
何故!?と一瞬思ったがその美少女の容姿を見て俺は固まった。
その美少女の髪は透き通った銀色の長髪ストレートで、身長はさっき俺が出した剣より少し大きいくらいでスラっとした体の綺麗な碧い眼をしたとても可愛らしくも、綺麗な女の子だった。
何故だろう……俺は少しも動けずにその娘を見ている事に夢中になってしまっていたのだ
そしてその娘を見るのに夢中になっていた俺は気付かなかったのだ。
その娘が悲鳴をあげながら魔性輪を白く光らせて、その娘の体くらい大きな雪の結晶の様な物を俺に振り下ろしている事に……。
そしてそれは見事に俺の頭に直撃し、俺はその場に倒れ込み本日2度目の気絶をしてしまう。




