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やさしい異世界転移   作者: みなと
マジックフェスティバル!!
53/275

【52話目】コンフュージョン

『……一向に来ませんね、ユウト選手。』


 実況のニャリスが不安げに言ってる。

 優斗達がレイナを探している頃には優斗の対戦相手であるゲドウはグラウンドについており、優斗を待っていた。


 このまま優斗が来なければ棄権とみなして優斗が失格になる。

 会場にいる人達は優斗が早く来ないかと心配の表情で見守っていた。


 だった1人、ゲドウ・カロオを除いては。


 来る訳がねぇだろ。

 ゲドウは滑稽な観客達を笑うのを我慢して心の中で彼らを嘲笑っていた。


 彼はユウトがこの試合に来る筈が無いと確信していた。それは何故かって?


 だってレイナを誘拐して今も監禁しているのはゲドウなのだからだ。


 レイナとユウトが親しい関係である事は昨日会場から帰る彼らを後方から見ていたら明白だ、ゲドウはそれを利用して同じ学園の仲間を使い、レイナを誘拐したのだ。


 作戦は成功、無事にユウトはレイナを探す為に試合を放棄している。まぁあんな人間だそうする事は簡単に予想出来る。


 まぁこれで監禁しているのは2人、レイナとそしてドウだ。

 ドウにはどうやらユウトのレイナのような人はいなかったから、1回戦の前日に呼びつけて僕の魔法【コンヒュージョン(錯乱魔法)】を使って捕らえている。


 レイナは僕の仲間の魔法を使って朝、会場まで誘き出して今はこの会場内の誰にも見つからない場所に監禁しており、仲間達が監視している。


 2人にはこの大会が終わった後、僕の魔法で証言が取れない程意識をめちゃくちゃにしてやればいい。

 たとえ僕が誘拐したとバレても僕は貴族家系の長男、いくらでも父親が守ってくれるだろう。


 とそんな事を考えてる間に時間のようだ。

 審判がそろそろ僕の不戦勝を告げる頃だろう、それにしてもこの大会は案外簡単だったな〜。

 この調子で優勝まで頑張ろう〜!!


「ユウト選手棄権!よって勝者……」


 と審判が僕の勝利を宣言する時だった。


「ちょっと待ってください!!」


 反対側から1人の男が慌てて走ってくる。

 僕はその人物を見て目を丸くした。


 ユウトがこのグラウンドにやってきたのだ。


 何故ユウトがここに!?

 まさかレイナを見捨てて来たというのか、こいつはそんな人間だったのか!?

 いや落ち着け、もう審判もユウトの不戦勝と宣言している。

 まさか審判が宣言を覆す訳……


「試合をする気はあるか?」


 審判がユウトに向かってそう尋ねた。


「あぁ!もちろんだとも!!」


 奴は清々しい程に強気に言った。


「わかった、それでは2回戦第1試合を始める!!」


 審判はふざけた事をぬかしやがった!

 おいおい待てよ!そんなのあんまりじゃねぇか!!

 僕の苦労が無駄になるじゃねぇかよ!!


 ……まぁいい、試合中に揺さぶりでもかけて棄権させるようにするか。

 僕、結構弱いから戦うの嫌なんだけどな。


『ユウト間に合いましたニャ!時間もギリギリセーフな為、試合を始めるニャ!!』


 可愛さを作った気持ちの悪い声が実況席から聞こえてきやがる。

 事が上手く運ばずにイライラしてくる。


「それでは魔性輪の用意を!」


 審判が魔性輪をつけろと言ってくる。

 むかつきながらも僕は魔性輪を指にはめて人器である、ナックルを装備する。僕には錯乱魔法だってある、魔法を使いながらレイナの事で揺さぶりをかければ奴の精神はぐちゃぐちゃになるだろう。

 その間にこのストレスを奴をボコボコにする事でおさめよう。

 僕は人器を取り出しているユウトを見ながらそう計画をたてた。


「それでは試合開始!!」


 試合開始の合図がされた。

 ユウトは開始早々僕へ突撃してくる。

 僕はなんとか奴の突撃をナックルで受けて押し合いになった。

 今がチャンスだ。


「ねぇ君、友達が行方不明だってのに試合に出てもいいの?」


 僕はすぐさま声をかけた。

 案の定奴は驚いた顔をした。


「なんでお前がそれを……?」


 驚いた様子で奴は尋ねてくる。

 まぁ僕は賢いからその質問に対する対応もバッチリ考えてきてある。


「いやぁ、会場で君たちが友達を探しているのを見かけてそれで知っていたのさ。それよりいいの、こんなところにいて?

もしかしたらその子人攫いに遭ってるかもよ?売られたり酷い目に遭ったりしているかもだよ?助けにいかなくていいの??」


 さて奴が不安になりそうな事は言ってやった。これで少しは動揺するだろう。

 ……と思ったが奴は。


 奴は僕の言葉を聞いて笑ったのだ。


 何故笑うんだ?奴にとってあの女はそれ程の価値しかないのか!?


「お気遣い感謝する。だけどもう大丈夫だ。俺の後ろの方の観客席を見てみな。」


 奴は余裕ぶった表情で僕にそう言った。

 僕は慌てて奴が言った方の観客席を見て、そして目を丸くした。


 そこにいたのは捕まえて監禁してあるはずのレイナがいたのだ。


 

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