【45話目】マジックフェスティバル 開会式前日
クラックと名乗った男が去っていった。
そして俺達は助けてくれた女性の方へと歩いた。
「ありがとうございます。」
その女性に向かって感謝の言葉を伝える。
「ううん、大事にならなくてよかった。それと久しぶりだね。」
女性は俺の感謝の言葉を返した。そして彼女は久しぶりと俺に向かって言った。
確かに見覚えのある人だったがどこで見たか思い出せない。
「えっと、どこかでお会いしましたか?」
失礼ながらも女性にそう聞いた。
「あぁ覚えていないかぁ。襲撃の時とかでも会ってるんだけどなぁ。」
女性は少し残念そうな顔でこちらを見ていた。
襲撃の時、その時にあった先輩って確か。
──よく、頑張ったね。もう大丈夫だよ──
……ってああ!!
「あの時の!!あの時はありがとうございました!」
この女性は学園襲撃の時、倒れかけた俺を助けてくれた3年の先輩だ。
「まぁ、あの時はバリオンに頼まれただけだからね。気にしなくていいよ。」
先輩は笑いかけながら言った。
あの時バリオンさんもいたのか、意識がはっきりしてなかったからわからなかった。
「わたし、3年のナシリーよろしくね。それじゃあ行くよ。」
先輩はナシリーと名乗ってどこかへ行こうと提案する。
「行くって……どこへ?」
俺の隣にいたデイはナシリーさんに聞いた。
「君たち大会に参加する選手達が泊まる選手寮にだよ!!」
ナシリーさんにそう言われて俺達は寮へと向かったのだった。
そして都市で迷子になって帰りが遅くなった事をルコードに叱られて俺達は翌日のマジックフェスティバルの開会式を迎えた。




