【42話目】激励会の合間に
マジックフェスティバルの予選を突破してなんやかんやあり、大会を行う都市へ行く前日にまでなった。
今はマジックフェスティバルに出場する生徒達を激励する会が講堂で行われている。
普段の講堂とはうって変わり、派手な飾り付け色んな料理が乗せられているテーブル等がこの時の為に出されていた。
俺やデイといった大会に参加する奴らはその他の生徒達に囲まれて応援されたり、何か質問とかをされていた。
応援してくれるのはありがたいけど、ここまで人に囲まれるとかえって調子が狂ってしまう。
俺は激励会がひと段落して、自由に動けるようになったタイミングで講堂から離れた。
目立たない場所を見つけて座り込み、少し気分を落ち着かせる。とそこに来客が来た。
「となりいいかな、ユート。」
銀の髪が月明かりに照らされていつも以上に綺麗に見えているその人はレイナだった。
「どうぞ、ご自由に。」
手を隣の方に差し出して、座ってくださいという意思を見せる。
レイナもそれに応じて俺の隣に座った。
「講堂から出て行く姿が見えたからつい。」
レイナはいつものように明るい笑顔をこちらに向けてきた。
正直に言うと、今物凄い緊張しているのだ。
なんせ、俺がレイナに好意を寄せてから初めて2人っきりになるのだから。
まぁ近くで色んな人が騒いでいるこの状況を2人っきりと呼べるのかはさて置いて。
「大会に出るんだね。おめでとう。」
まずは一言、レイナはお祝いの言葉を俺に告げた。
「ありがとな。まぁ……なんだ、ちょっと俺が今どれだけ強いのかを知りたくなった。」
照れながらもレイナのお祝いの言葉を返して、大会に参加する理由を話す。
「やっぱり、強くなりたいの?」
参加理由を聞いたレイナはそう聞いてくる。恐らく、俺が襲撃事件後に語った夢についてなのだろう。
「まぁな、強くなってみんなを守りたい。だから今俺がどこまでやれるか、そしてこの大会でさらに強くなりたいんだ。」
明るく、純粋な気持ちでこの大会への意気込みを語る。
その表情に偽りはなく、ただ楽しみにしてそうな表情だった。
「そっか、じゃあ優勝するつもりなの?」
レイナの問いかけに、俺は笑顔で振り向いて言う。
「あぁ、参加するには優勝を目指す。そのくらいの意気込みで参加するよ!」
しばらくレイナと話をして頃合いの時間になったら2人で講堂へ戻りそのまま激励会を楽しんで明日を待った。




