【2話目】大空そして落下
落ちる落ちる落ちる!!
ただ落ちていくだけの状況に俺の脳は混乱を極め持ってたバッグを抱き枕みたいにギューっと抱きしめてる。
なんで!?さっきまで路地裏にいたのにこんな大空にいるんだ!!?
こんなところからパラシュートも無しに地上に激突したらどうなると思う?
そう間違いなく、人が見たらトラウマ確定なミンチの完成だ!
いや待て待て?こんな事おかしいだろ!!
俺は裏路地にいたのになんでいきなり大空のど真ん中に??
普通に考えてこんな非現実的な事起こるわけない!!
この場所移動だけの話じゃない。
空を落ちている筈が下からくる強風による苦しさがない……呼吸も安定しており、特にバランスも崩さずにゆっくりと落ちて行けてるのも普通ではおかしい筈だ。
もしかしてこれは夢なのでは?
そうだ!これは夢なんだ!!
俺はそう結論に至り気分が楽になった。
死ぬ心配がなくなったからだ。
どうせ夢だっていうんだったら、辺りを見回してこの景色でも楽しもうか。
空は普段とは変わらず綺麗な青空が広がっている。
俺は恐怖で見ていなかった地上の方を見る。
まず印象に残ったのは巨大な何かを丸く囲っている様な壁。
そしてその壁の上からオレンジ色の球場のドームの様な物が出ていた。
アレはなんだろ?
真下のドーム以外の周りを見回すとその近辺に森や離れているが他に同じようなドーム状なのが薄らと確認できた。
うーんどうしよう、このまま落ちたらあのドームに見事激突してしまう……
しかし今俺に出来ることはバランスも崩さない様に落ちて行く事だけだこれ以上何しろっていうんだ?
そんな事を考えていると遂にドームが間近まで落ちていた。
夢だと思ってるけどこの高さから落下してドームにぶつかるのは怖い。
ドームへ激突する時に少し怖がってしまい強く目を瞑る。
ん?あれ、衝撃が来ない?
しばらく目を瞑っていたが何かにぶつかる様子はなくゆっくりと俺は目を開けた。
どうやらドームはすり抜けられる物の様で俺が目を瞑っている間にすり抜けてドームの中に入っていたようだ。
ドームの中に入ってまず俺の目に映ったのは壁に囲まれている大きな都市だった。
その壁の中央には大きな城があった。城の周りには様々な建物が多く立ち並んでいた。
綺麗な街並みだ……
俺は都市の景色に見惚れている。
それにより都市の中央にある城の裏へ落ちていくのに気付くのに遅れた。
気付いた時にはもう既に地面に激突するまであともう少しの距離だった。
さっきすり抜けたドームとは違い、地面をする抜けるのは流石に無理だろ……とは思ってもこのままでは地面と激突しする。
夢と思っていても恐怖を強く感じる。
そして地面が間近にまで迫ってきた……
怖い 怖い めっちゃ怖い!むっちゃ怖い!!
強い恐怖感のせいか、意識が遠のき視界もぼんやりとなってしまい……
仕舞いには恐怖のあまり失神してしまったのだ。
気絶する瞬間、俺はふわっと何か柔らかい物……なのか?
柔らかいものに包まれたのを感じたのだ。
なんだ?カビ臭い。
重っ苦しい空気も感じる。
俺は意識を取り戻し目を開ける。目の前がぼやけて周りの状況が理解出来ない。
さっきの明るい空とは違い、ここは暗い場所で目がぼやけているのもあるのか周りがあまり見えない。
……光がある、なんだろう?
目の前にひとつの光が見える。俺はそれに近づく為に立ち上がろうとしたが、動いた瞬間、体が引っ張られるのを感じて転んでしまう。
「いたっ!!」
足首からの痛みを感じていると視界が正常になり周りがちゃんと見えるようになった俺は自分の体を見て驚く。
両手を縄でガッツリ縛られ足首には足枷と鎖が床に繋がれていて身動きが取れなくなっていた。
持っていたガバンがなくなっていた。
なんで?そう思って周りを見る。
ここは石畳をギッシリ敷き詰めた壁で囲まれておりそして俺の正面には鉄格子で外に出られないようにされていた。
さっき見えた光の正体はこの鉄格子の向こう側の壁に設置してある松明だったらしい。
「マジかよ……」
いきなり空に放り出さたと思ったら今度はどうやら俺は牢屋に閉じ込められていたのだ。