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やさしい異世界転移   作者: みなと
沈没都市 グラナドザンラ
250/263

【249話目】 ドラゴンライダー

「ヒラコラパス!!」


 突如として現れ黒い竜を少し離れた場所に飛ばした白き竜に向かって叫ぶ。

 ディハンジョンに来る前に出会った友好的な竜……!!

 

『久しぶりです、我が友ユウト』


 彼女は優しい口調で俺を友と呼び語りかける。


「なんで来て……くれたの?」


 確か彼女はどこかへと飛び立った……それなのに彼女は今目の前で俺達の敵である黒い竜と対峙している。


『邪悪な気配を感じて来たのです。それにしても黒邪竜とは……貴方は本当に数奇な運命を背負ってますね』


 彼女はそう答える、黒邪竜……それがヴェイオンの正体。

 俺の数奇な運命……だなんて今はどうでもいい、今やるべきなのは!!


「俺達と一緒に戦ってくれるのか?」


『正直、私だけであの邪悪には勝てません。単純に竜としての格が違うのです。

しかしアレは放置していいものではありません。

竜である私が人である貴方に言うのはおかしいですが……

私と共に戦ってください、ユウト』


 ヒラコラパスの問いに俺は……


「あぁ、もちろんだ!!」


 俺はすぐに承諾した。


「なんだあの竜は……」「また増えたのか……?」「なんでユウトと話してるんだ?」「ってか言葉を喋ってる……?」


 ざわざわと周りの動揺の声が聞こえてくる。

 そりゃそうだ、だって俺達が今まで戦ってきた竜が2匹に増えたんだ……

 俺はヒラコラパスの事を知ってるからいいけど、他の人達は彼女のことを知らない。


「みんな……この竜は……」


『いえ、ここは行動で示します』


 ──オォォォォオォォォォ〜!


 ヒラコラパスが叫ぶ。

 それはヴェイオンの叫びとは違い、なめらかでやさしく俺達を包み込むような心地のいい音色。

 その音色を聞くだけで心と体が癒され……いや、違う。


 本当に体の痛みが消えていく、ボロボロだったはずの体がヒラコラパスの叫びを聞いた瞬間から治っていく。


「俺……動くぞ!」「この音色……気持ちいい」「体が治っていく!?」「スゲェ!あの竜に傷付けられた体が何事もなかったように動かせるぜ!」


 それは俺だけじゃなくてその場にいてヴェイオンにより傷付けられた多くの人達の体を癒す。


『私の声は傷付くものを癒す力があります、ですが癒せるのにも限度があります。

なのでみなさん無茶はしないように……』


 既に全員が立ち上がり、再び武器を持つ。

 ヒラコラパスからの忠告、体は治ってもあまり無茶は出来ないって事か。

 それと体は治っても魔力は回復はしていない、依然としてあの竜を倒すほど魔力はない。


 空中に浮くための魔力の消費さえなければまだいけるだが、それをしてしまうとアイツに攻撃が入れられなくなる……


 いや、その問題解決出来る。


「ヒラコラパス!頼む──」




 黒邪竜ヴェノミロンダークはヒラコラパスの突進により少し飛ばされるもすぐに復帰する。

 下では傷が治った者たちがそれで戦意を取り戻してまたこちらへ戦いを挑んでくるようだ。

 そんなものは無駄だ。

 人であった自身を倒した男はもう既に自分と戦う力は残ってはいない、新しく来た竜共々がかかってこようとも返り討ちに出来る。


 そして新しく現れた竜が飛び立ちこちらと同じ高さにまで上がってくる。


 ヴェノミロンダークは目を見張る。


 自身に立ち向かってくるヒラコラパスに対してではない、その背に人間を乗せてる事とその人間についてだ。


「さぁ、続きといこうか!!」


 その背に乗ってる人間はユウトだったのだ。

 竜の背に乗り戦う……[ドラゴンライダー]その光景を見た者が後に語った言葉だ。


『ですが……それだけでは黒邪竜には……』


 ヒラコラパスはユウトに対して心配そうに語りかける、そうだたとえ体を浮かせる魔力を温存できてもそれだけじゃヴェノミロンダークは倒せない。


「大丈夫……あとは……」


「代償を支払う」


 ユウトの白金の瞳がヴェノミロンダークを捉える。

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