【232話目】 最後の四大守護騎士
「……どうする?」
俺達は階段に登りきらないところで待機して部屋の中央に突っ立っている鎧騎士を注意しながら見ていた。
幸い鎧騎士はこちらに攻撃を仕掛けてこない……それどころか俺達に気付いてすらおらず真っ直ぐ壁を見て立っているだけだった。
「うーん……やっちゃう?」
俺の問いかけにフレリアは無邪気に答える。
このまま部屋の奥の階段まで突っ切るのが1番得策ではあるのだろうが、それを鎧騎士が素直に通してくれるとは考えにくい……なので。
「やっちゃうか!」
フレリアの無邪気さに乗っかるように俺もその策に賛成する、2人で強襲をかけて速攻で潰す。
階段を登りきり、鎧騎士へと突っ走る。
「先手必勝!!」
攻撃を仕掛けようとするも、ある程度近付いた瞬間に動き出す。
どうやらこちらに気付いたようだ。
『脅威 感知』
気が付いた鎧騎士の魔力が戦闘態勢をとるように魔力が跳ね上がる。
その瞬間に鎧騎士の向こう側の階段に岩が集まり塞がる、どうやら突っ切るのは無理だったらしい。
ならば、このまま鎧騎士を倒して防がれた階段を解放させる。
狙いは決まった!なら2人で攻撃を仕掛ける。
『排除します』
鎧騎士がそう発した瞬間に鎧騎士から無数の細かい魔力が部屋を埋め尽くすように縦横無尽に発射される。
細かすぎる……神眼で見切っても回避は無理、そのまま魔力は俺達に迫る。
回避が無理ならば……
こちらは迎撃あるのみ!!
俺とフレリアの2人は魔力そして人器を駆使して鎧騎士の魔力を当たる直前で全て撃ち落として鎧騎士へと接近する。
このままなら……
『脅威の優先度 理解』
──マジックキャンセル
鎧騎士から魔力の波動が部屋全体に行き渡る、その波動を避けきれずに全身に浴びる。
ダメージはない……いったいこれは……?
ダランッ
体の一部が垂れるのを感じその感覚がした魔力で支えていた右腕を見てぶらりと下がってるのが見え、それを見て何をされたのかわかった。
魔法を解除させられた。
でも魔法を解除されただけだ、魔法は使える……
けれどその一瞬の思考が隙を生んだ。
その瞬間に鎧騎士が放っていた魔力が直撃する。
「ぐっ……」
本来ならそこまでのダメージはない、だけどここに至るまでの戦闘で疲弊している体にはかなりの重症だ。
「お兄ちゃん!?」
フレリアはなんとか人器で鎧騎士の魔法を防いでいた。
よかった……
『個別 排除』
そんな時でも鎧騎士は手を緩めない、さっきの細かい魔法とは違う1つの塊となった大きな魔力が俺へと発射される。
なんとか防げ……!
──ズキッ!
右腕が強い痛みが走る。
魔力で補強しとかないと骨の砕けた腕は使い物にならないどころかお荷物になりやがる!!
痛みにより反応が遅れる。
鎧騎士の放った魔力が俺に直撃してそのまま壁へ押し付けられる。
ピキッピキピキッ!!
背後の壁がひび割れる音が聞こえそして……古い建物で老朽化していた影響だったのだろう壁が壊れ外へと放り出される。
「お兄ちゃん!」
「クソっ!フレリア!!」
戻ろうとするが鎧騎士から魔力が放出され壊されたはずの壁が修復して戻れなくなってしまう。
なら壁を壊すしか……
しかし俺へ飛翔してくるものが見える、プテラノドンのような姿をした魔獣が直進して俺を襲う。
このまま空中は危険だ、そう思い地上へと降りる。
そこで俺という餌を待っていたのか魔獣の大群に囲まれる。
戻らなきゃ……フレリアの元に
あの子を助けなきゃ……
「どけ」
低く重たい俺のとは思えない声が俺から聞こえていた。
「邪魔だ」
一方その頃、フレリアは鎧騎士との1対1の戦いへとなる。
「大丈夫かなお兄ちゃん」
ユウトが飛ばされたところを見た後、フレリアは鎧騎士を睨みつける。
右腕の負傷……その事は私は気が付かなった、おそらく私が起きる前にはあぁなってて私を心配させないように隠していたんだ。
ほんと……やさしいな。
ユウトお兄ちゃんは死なない、絶対生きて戻ってくる。
だから私がコイツを……倒す。
「──結界 魔法」




