【198話目】 私の信念よみなを護れ
「デイ！俺、何すればいい？」
デイの宣言に反応し真っ先に指示を仰いだのはダイヤだった。
彼はデイの変化をすぐに察知しデイの判断に従いに行ったのだ。
「地中から大きめの岩の柱を等間隔で生やせるか？」
「もちろん！できる！！」
「大きめの魔獣が通れないくらいの感覚でやってくれ！！」
「承知！まかせろ！！」
2人がそう話し合った瞬間、ダイヤは彼の人器である籠手を地面に撃ち込み前方の地面から岩の塊が等間隔で突き出す。
魔獣達はそれでも攻めてくる……が岩の塊を通ってこちらまでくるのは小さい魔獣のみで一定の大きさの魔獣は岩の間の隙間に入っては来れなくなっている。
「今だ！入ってきた魔獣達から倒せ！！」
「わかった！！」
全員揃って入ってきた魔獣へと攻撃を行う。
魔獣達は入ってくる場所が限られデイ達は魔獣達が入ってくる場所に待ち構えて入ってきた魔獣を1匹1匹倒してその数を減らしていく。
しかしその戦法は数分しか続かなかった。
中層の魔獣達はそこまで馬鹿ではない。
自分達のいく先を塞ぐ岩の柱へ攻撃を仕掛けそして……
「まずい！壊れる！」
ダイヤがそう言い放った瞬間、破壊される。
再び岩の塊を生やそうとするダイヤだったが魔獣達の進行は早く間に合わない。
「全員引け！また俺が一掃する！！」
デイが全員に引き下がるように指示を出し、魔法を放つ準備を行う。
デイのグロムインパクトは魔力消費が激しいそんなに連発出来る代物ではない。
「俺が全員を！助ける！！」
それでもやるしかない！！
「よく言ったでござる！！」
そんな時だった、目の前から迫る1匹の魔獣が1人の人間へと変化しその周辺にいた魔獣達を剣撃にて一掃する。
彼の見た目……というより口調には覚えがあった。
「あなた達は……」
「いや何、たまたま魔獣の行進を見つけたので仲間と共に後ろから襲撃していたでござるが……何やら意気の良い言葉が聞こえてきたので魔法で拙者だけそなたらに加勢しに来たでござる」
「さて……ゲン・ドゥ助太刀いたす！！」
───
援軍が1人だけだが来たことにより私達はまた勢いを取り戻そうとしていた。
けれどそれもすぐ無くなる、みんな戦闘能力は高い……けれど一気に魔獣を倒せる殲滅能力を持ってる人は少ない。
デイだってさっきやってた魔法の連発は多分出来ないだろう。
だから私がやるんだ。
ここでみんなを終わらせるわけにはいかない。
「……デイ！これから魔獣達と一緒に消える」
「レイナ？」
「だからこれからみんなに防御魔法を掛けるからその後……私が魔獣達の中心に行けるよう援護して！」
「何か、手があるのか？」
「うん！！」
「わかった……ダイヤ、頼めるか？」
「任せろ！！」
デイから許可は貰った、多分魔獣達の中心に行くのも大丈夫。
だから私は私の出来ることをやろう！
「今からみんなに防御魔法を掛けます！！動きは遅くなるけれど、魔獣達の攻撃からきっと守ってくれるはずです！！」
私の説明にみんな、何も言わずこちらを見ずに首を縦に振る。
それに私は少し笑顔になる。
「私の信念よみなを護れ……──スノウガーディアン！！」
みんなの体を周りに白い魔力が包む。
その効果を見た瞬間に私は駆け出す。
「お願い！！」
「了解！！」
私の言葉にダイヤは反応する。私の目の前に岩の足場が上がってくる。
駆ける、駆ける、駆ける。
岩の足場を飛び駆け魔獣の……深層の魔獣がいる場所の上を跳ぶ。
──ここだ
「──結界魔法」
そして私は結界魔法を使いその周辺の魔獣達を結界内へと閉じ込めた。
「あれが……レイナの結界魔法！？」
「魔法の一つの極地でござるか……確かに凄いでござる、あんなに大勢いた魔獣のかなりの数を結界に飲み込むとは」
魔獣達が集まっている中心とも呼ぶべき場所で結界魔法を展開したレイナは大多数の魔獣を引き込むことに成功していた。
彼女の本来の目的であれば深層の魔獣も結界内に取り込みたかったが……
「やっぱり動きが速い……！」
「あの距離からの発動に対応して一気に後方へ下がるとは……敵ながら天晴れと言うべきか」
深層の魔獣……この魔獣だけはやはり別格であった。
レイナが結界魔法を発動した時の巨大な魔力の発生に反応して後ろへと下がり結界魔法発動の範囲から離れていたのだ。
「でも大勢の魔獣を引き受けてくれた！俺はそれに応える！！」
デイは意気揚々と戦闘体制をとる。
さぁこの戦いも佳境へと至る。
