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やさしい異世界転移   作者: みなと
ディハンジョン
183/244

【182話目】 ディハンジョン攻略 開始

 俺達がディハンジョン攻略の仮拠点についてからしばらく経ち全員集合の命令が出される。

 場所はディハンジョン入口の目の前に位置するテントの前、そこで今回の指揮官からの指示が出されるらしい。


 俺達も例に漏れずに隊全員固まってその場に集合していた。

 ガヤガヤと集まってきている他都市の騎士団の人間の声がそこら中から聞こえ少しばかり煩さを感じる。


「おい見ろよユート」


 そんな中デイは俺に耳打ちするように話しかけとある方向に指を差した。


「あの人達は連携のラッテン三兄弟!あっちは流星のハールンだ!他にも凄い人達が来てる!!」


「有名なのか?」


「あぁ!その都市でも指折りの実力者達だ、それがこんな1箇所に集まるなんて!!」


 デイは目輝かせながら感服していた。


 彼の反応からしてかなりの大物達が集まっているらしい。

 そんな中テント前に1人の男が立つ。


「みな、待たせたな!我は今回の任務における責任者となるアーデン・ヴォイドだ!」


 頬に何か魔獣の爪痕のようなものが付いてる角刈りの巨体の男はデカデカな声でこの場にいる全員に行き渡るような声で叫ぶ。


「本日は上層の掃討だ!みなの成果を楽しみにしている!ディハンジョン序層内にキャンプ地を建てるので利用するように!以上!!」


 それだけ言うとアーデンはすぐに俺達の前から退いた。


「えっ……これだけ?」


「「「〜「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」〜」」」


 そう俺が呟くのと同時にその場にいた人混みが一斉に叫び出して動き出した。


「な、なんだ!?みんな大丈夫!?」


 そんな人混みに押し流されそうになりながら俺はレイナ達の居場所を辺りを見渡して確認する。


「うん!」


「だだだ、大丈夫です〜!」


「問題ないですわ!!」


「クソっどうなってんだ?」


 とりあえず全員がいることが確認できて俺達はひとまず1箇所に固まれた。


「なんでみんな急いでディハンジョンに!?」


 次々とディハンジョンへと向かう人達を見ながら俺は疑問を口に出した。


「何って手柄がほしいからだよ!!」


 そんな俺の疑問に答えたのは顔に幾つものキズをつけた厳つい見た目の男だった。


「手柄?」


「ディハンジョンで魔獣を倒せば倒すほど功績が認められてそれが都市の力の証にもなるからだよ!

お前みたいな十戒士マグレ(個人の推測)で倒したような奴には負けねぇよ!!」


 男はそれだけ言い残して仲間達とディハンジョンへと向かっていった……

 なんか色々と言われた気がするが、諸々教えてくれて優しいおじさんだったな……


「そういうことか……ユートのことを好き放題言いやがって!俺達も準備を整えて行くぞ!!」


 それはそれとして俺達の隊長はやる気らしい。


「あぁ!行くぞ!!」


 そうして俺達も準備を整えディハンジョンへと向かったのだった。


 彼らはディハンジョンで起こっている異変のことなんて知る由もなかった。


 ───


 優斗達がディハンジョンへと挑みに行くそのそこそこ前、某都市の静寂漂う冷ややかな裏路地にて人知れずワープゲートが開かれ1人の熱くも賑やかな桜色の髪の少女が姿を現す。


「う〜ん、パゼーレが良かったけどしょうがないよね」


 やってきた場所は彼女にとっては最善ではない、がそれは仕方ない事ではあった。

 彼女の目的にであるパゼーレは現在、十戒士襲撃の影響で都市内全域が厳戒態勢であり忍び込むのは至難の業となっていたからだ。


 ましてはワープゲートは前にも使った方法である為その対策を取られてると考慮したシルドはパゼーレにワープゲートを開く事を控えている。


 その為彼女は目的地ではないパゼーレ以外の都市に降り立ったのだ。


「まっ!とりあえずは話聞きに行こ!!」


 彼女は笑顔で裏路地を走る、ただ無邪気な子供のように。




「あっいたいた、ねぇ〜!」


 人通りの多い大通りの傍にある細い通路、少女はそこで壁に寄りかかる帽子を深々と被った青年に声をかけたのだ。


「なんだぁ?ここはガキのくる場所じゃ……ってあなた様は!!?」


 声をかけられた瞬間の彼は威圧的な態度をとりながら声をかけてきた少女を睨みつけようと彼女を見た……その瞬間に少女の正体に気が付きすぐさま態度をかしこまらせる。


 一瞬で態度を変える……それほど少女と青年の立場は違っていた。


「あっそういうのいいから、ユウトって人の情報は何か知ってない?」


 少女は改まった青年の態度を軽く流しながらすぐさま本題へと移る。

 この都市に潜入し、情報を集めているただの下っ端である青年なら、現在十戒士を倒した事で一躍有名になった彼の事についての情報を多少なりとは知っていると思ったのだ。


「えっ……ユウトですか?あのクラディさんを倒した?」


 いきなりの問いかけに青年は少女に震えながら聞き返す。


「うんそうだけど?何か知ってないの?」


 青年の問いかけに少女は短く返す。

 情報の出が遅い為少しばかりむす〜っと少しばかり機嫌が悪くなってた。


「は、はい!知っています!!ユウトはディハンジョンでの掃討作戦に参加するとの噂が様々なところから出ております!!」


 機嫌が悪くなったのを理解して背筋をピーンッと伸ばし、早い口調にて今持ち合わせている少女が望んでいるユウトについての情報を語った。


「ディハンジョン……ふ〜ん!そうか!そうなんだ!!」


 ディハンジョン、その単語を聞いた瞬間に少女の感情が昂る。


「私の故郷だったところの近く、そんなところで戦えるなんて何かの運命かな〜!

楽しみだな!楽しみだな〜!!

ユウトお兄ちゃんと戦えるなんて本当に楽しみだな〜!!」


 ニコニコと笑いながらも少女は思いを馳せる。

 その光景を見ている青年は少女の昂りに気押される、それと同時に敵であるがユウトへの同情も芽生える。


「あっ!ありがとうね〜!ディハンジョンならここから近いし私は行くね!じゃあね〜!!」


 感情が昂ったまま少女は青年に感謝の言葉と別れの言葉を述べてそのまま走り去っていった。


「ふー怖かったぜ……にしてもユウトって奴は終わったな」


 キョロキョロと辺りを見渡して少女がいなくなったのを確認すると安心したかのように息を吐いてその場に腰を下ろす。

 少女への恐怖心と同時に敵であるがユウトへの同情する。


 何故なら彼女の名はフレリア・リーラ、十戒士が1人にして潜在的な強さならば十戒士最強であるアーサーに匹敵、いやそれすら超えるほどの強者に目をつけられたからだった。

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