表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やさしい異世界転移   作者: みなと
星降る都市
157/242

【156話目】ヒナリの戦い

 ユウト達とは別ルートで城へと向かったヒナリとトウガンの2人は特に接敵する事なく城への潜入に成功していた。


 2人の目的は城の地下……そこにも牢屋がありそこに囚われてるであろうこの都市を管理人……そしてヒョオナの救出。


 その目的の為、城の地下へとやってきた2人の前に1人の男が立つ。

 ヒナリとトウガンはその姿を見てすぐ強敵と判断し、構える。


 彼らの前に立つ男の名はサリエチ、クラディに仕える4人の十戒士候補の1人である。


「さーてと、そこそこ強そうな2人が来たじゃねぇか。

まぁここに巫女がいると思って来たんだろうけどここには管理人のおいぼれと奪った魔性輪が何個かあるってだけだ。

残念だったな」


 ニヤリと笑う男、その姿に隙はなく俺達は後退りして距離を取る。


「……ここは俺がなんとかする、お前は奥にいって管理人と魔性輪を取ってこい」


 男から距離を離した状態でヒナリがトウガンに呟く。

 それに対してトウガンは少し悩むような表情をしながらも状況を考えたのか頷き作戦が決定される。


 さて……まずはどうやってトウガンを行かせるかだな。

 俺が攻撃して注意を引かせるのはもちろんだが、相手の魔法がわからない以上深追いはあまりできない。

 ここは慎重に攻める。


 人器を開放する。

 

「そんな、なよっしい刀で俺を斬れると?」


 人器を開放した俺を見ておかしいく思い煽る男、それもそうだ。

 それは細長くも、刀とは思えない布の様にしなやかな刀身。

 何も知らなければ人を斬れるとは到底思えないのだから。


 そんな男に対して人器を振る。

 刀身は男の顔面に直撃するだろうに男は避ける気配すら無い、舐めているのだ。


「硬度:1」


 男に人器が直撃する寸前に唱える。

 次の瞬間、鋭く風を切る音が鳴り響き男の顔面を強い衝撃が襲った。


「ガハッ……何をした?」


 男は一瞬怯んだものの、すぐに何事もなかった様な顔へ変化する。


 男が怯んだ瞬間、トウガンは駆け出す。

 当然それに気がついた男もトウガンを通さまいと動こうとするが。


「させるかっ」


 俺は再び人器を振る、男は人器を避けようと動くが布の様にしなやかに動く刀身は男の手首に巻き付いた。


「捕えた、硬度:2」


 男の手に巻き付いた刀身は硬直し、男の手を拘束する。


「なっ!?こんなもの……」


 すぐに男は外そうとするがそんなことは俺がさせない。


「はぁぁっ!!」


 刀身を思いっきり俺へ引き寄せるように全力で引き抜き男が刀に引っ張られこっちにやってくる。

 その隙を狙ってトウガンは奥へと向かっていった。


「硬度:3!!」


 トウガンを見届けながら、俺は足を高く蹴り上げながら叫ぶ。

 その瞬間、固くなっていた刀身が元の布のような質感に戻り、そのままの勢いで男は腹部から俺の足に突っ込んだ。


「ぐうっ!!」


 強い一撃が入りうろたえるも、男は魔力を込めた右手の一撃でこちらに殴りかかる。

 その拳に合わせるように腕を前に出す。


「硬度:3!」


 男の拳と俺の腕がぶつかり合った。


 ガキンッ!と金属を叩くような音が俺の腕から発せられ、男の拳を受け止めきる。


「硬ぇぇ!!」


 男は俺の腕に拳を直撃させた後、すぐにで引っ込めて拳を押さえながら痛がるように叫ぶ。


 このチャンスを逃さない。


「……硬度:4!」


 再び刀身を硬化させる。

 しかしこれは最初の男への一撃と男の腕を拘束した時よりも硬さを増している。

 布のような刀は鋼鉄よりも硬い刀へと変化を遂げる。


「はぁぁぁぁ!!」


 そして今も痛がる男に向かって硬化させた刀で斬りかかる。

 男は避けようとするがもう遅い!

 完全には避けきれずに男の右腕を刀が捉えた!


 ──斬撃一刀!


 刀が男の右腕を斬り落とす。

 そのままならいける!男はまだ自身の魔力を出していない!!

 ならば魔力を出す前に決着を付ける!!


 刀を高く振り上げる!!


 ……違和感


 男を見て何か心に不信感が現れる。

 しかしこの一撃が決まればそんな心配は杞憂に終わる!!


 勝てる!


 硬化させた刀がそのまま男のへと振り下ろされようとしていた。


「ガッ……」


 男へ振り下ろされた刀は途中で減速し男はそのまま俺の斬撃を避ける。


 何故斬撃が遅れたか?その理由は背中に感じる鋭く熱い感触にあった。


 俺の背中にはさっき斬り落としたはずの男の腕が持っている短刀が深く突き刺さっていたからだ。


 倒れる瞬間、男を見て違和感に気付く……

 普通斬られたら出るはずの血が出ていない、つまり男は"腕を斬られるフリ"をしたのだ。


 そんな事に気付かないなんて……そんな事を気にしないほど俺は周りが見えていなかったのだ。


「残念だったな、奥の手はちゃ〜んとかくしておくもんだぜ?」


 男はこちらを馬鹿にするような笑みを浮かべ、斬れたはずのを自身の右腕を持っている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ