【145話目】 サンスイン監獄侵入
夜が明けて間もない頃に俺達は住民達が囚われているであろう監獄2つへ同時に侵入する作戦を開始した。
編成はリバルン監獄にヒナリとレイナそして戦力として残ってたリシアという男。
そして凶震戒達が現在アジトにしてるであろう城のひざ下サンスイン監獄には俺、チャーチスそしてこちらも同じくサンスインに残ってた戦力のリューンという女。
以上3名づつでの作戦となったのだ。
俺達はリバルン監獄に行くチームと別れ、凶震戒の連中に見つからない様に静かにけれども素早くサンスインの街を駆ける。
数分程駆けたところで。
「止まってください。そこの角を左に曲がったところに監獄があります」
リューンがそう告げ、俺達は曲がり角で止まりゆっくりと監獄があるという方を覗くように見る。
実際に監獄を見た事がないからわからないがそこには監獄らしき大きな建物とそこに入るための大きな門があった。
しかし普通こういう重要な場所ならば門番とかがついてるはずなのに門の前には誰もいなかった。
「誰もいない……?」
「まぁ誰もいないならそれに越した事はない、慎重に行くぞ」
門番がいない事に驚きながらも俺達は進むしかない状況、チャーチスの指示に従い周りへの警戒をしながら門へと近づいた。
「誰もいなさそうですね!このまま行きましょう!!」
そう言ってリューンは門に手を掛けようとしたその時だった。
「待てっ!!」
チャーチスが音量を抑えながらも力強い口調でリューンを静止させた。
「ど、どうしたんですか?」
不思議がるリューンをよそにチャーチスは自分の人器である槍を取り出した。
「そことそこと……ここか」
ブツブツと独り言を言ったと思ったら急に門の至る所を槍で刺し始めたのだ。
「な、何してるんですか!?」
チャーチスのいきなりの行動に動揺して声を掛けるがチャーチスは俺が声を掛けてから少しの間は行為を止めなかった。
そして一通り終わったのかチャーチスが槍を門から離して地面に突き立てて俺とリューンの方を向きながら。
「この門には魔法で侵入者対策がされていた。それを解除しただけだ。行くぞ」
チャーチスは淡々と説明しながら門を開けた。
それにしてもよく門に仕掛けられてた魔法がわかったな……チャーチスの魔法か?
チャーチスの魔法いまいちわからないんだよなぁ多分聞いても教えてくれないだろうな……
そんな事を思いながら俺達は監獄内に侵入した。
よほど門の魔法に自信があったのか入り口付近では見張りらしき人物は見当たらずそのまま俺達はしばらく進んで曲がり角を曲がろうとした時だった。
「あ〜マジかったり〜なんで俺が感知魔法の様子見てこなきゃいけないんだよ」
いきなり曲がり角から男が出てきたのだ。
その男の名はラーテル、十戒士候補の1人だった。
男と俺達が曲がり角でエンカウントした瞬間、ラーテルとチャーチスはすぐに魔性輪をハメて戦闘に移ろうとしていた。
本来であればこの戦闘は長引きその戦闘音を聞いた凶震戒の下っ端達が駆け付けてこの作戦は失敗してただろう。
しかしそうはならなかった。
ラーテルが魔法を使い戦闘を行おうとした瞬間だった。
優斗が真っ先にラーテルとの距離を詰めそのままラーテルの顔面を殴打したのだ。
まだ戦闘体制も整えていないラーテルは優斗の一撃をくらいその場に倒れる。
「……早く行きましょう」
ラーテルが気絶してるのを確認した優斗はチャーチス達にそう告げて監獄の奥へと向かったのだった。