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やさしい異世界転移   作者: みなと
星降る都市
138/243

【137話目】 動き出す者

 凶震戒に襲われている人達を助けようと飛び出した俺だが、思っていた以上に苦戦することはなくその場にいた凶震戒達の制圧に成功した。

 風の魔法で駆け抜けすれ違い様に一撃を与えるだけで奴等は倒れていった。

 コイツらが弱いのか……それとも俺が強くなっているのかいまいちわからない。


 周りを見渡しても奴等が潜んでいる気配は無くどうやらここにいる凶震戒はコイツらで全員のようだ。

 襲われていた人達も何が起こったのか……その事を理解出来ないで俺を見てきていた。


 その時、俺は後ろにいた少女に目をやった。

 水色の髪に桃の瞳、歳は大体8〜9といったところ……。

 その少女はこの状況でも平気そうな表情をしておりこの状況でも平気そうにしているこの子の事を何処か不思議に感じた。


「大丈夫か?」


 俺はその少女に手を差し伸べる。

 少女は差し伸べられた手を少しの間見つめた後手を伸ばして掴んでくれた。

 その少女の手を握ると少女の手が震えていることに気が付いた。

 この子は……


「──ユート!!」


 その時俺は彼女の方に意識をやっていて、レイナが声をかけるまで後ろで立ち上がって攻撃を仕掛けようとしている男に気が付かなかった。


 振り返り対処しようとしたがもう時既に遅し、男が振り上げし銀に光し刃が俺の体を引き裂くのを俺は防ぐ事が出来ない!


 ──ギンッッ!!


 しかし次の瞬間……刃同士がぶつかり合う音が聞こえる。

 


「……ったく、勝手に行動して死にかけてんじゃないぞ!!」


 男の刃はチャーチスの槍によって防がれていたのだ。


「クソッ!」


 男は攻撃が防がれ次の手を打とうとするが次の瞬間、チャーチスの槍術により男の体には胸に2箇所、腹と脇腹に1箇所ずつ穴が空き倒れそのまま動かなくなった。


 男を倒したチャーチスは倒れた男を少し見た後こちらへと歩いてくる。

 人を殺したチャーチスに対して恐怖心を覚えるが、助けてくれたのだお礼を言わないと……


「ありがと……」


 俺の言葉が言い終わる前に顔面に強い衝撃が走って後ろへよろめいた。

 何が起こった……?そう思い、体制を立て直し衝撃が来たであろう前方を見る。


 そこには拳を振り切ったチャーチスがいた、どうやら俺は彼に顔面を殴られたらしい。


「だから単独行動をするなと言っただろ!!」


 彼は強い口調で怒声を上げる。


「俺が助けなかったらお前は死んでいた!……いやそれならまだマシだ、お前がコイツらに拷問され俺達の存在がバレていたらどうしていた!?

お前の身勝手な行動でお前どころか、俺達まで危険な目に遭うところだったんだぞ!!」


 チャーチスの怒りは続き、その怒りは一気に俺へと向かっていった。

 確かにチャーチスがいなければ……そう考えるとゾッとした。

 戦闘においてチャーチスは俺よりも経験者であり優れているのだろう。

 彼の言っていることは正しい……正しいのだけれども……


「申し訳ございませんでした……けど、それでもっ!」


「お二方助けてくれてありがとございます……ですが早々にこの場から離れましょう。

また奴等が来てしまう」


 俺とチャーチスの間に割って入るかのように襲われていたうちの1人の男が話しかけてくる。

 チャーチスは割ってきた男を警戒するように睨みつけながら周りを見渡す。


 チャーチスが殺した男以外、俺が倒した奴等は生きてはいるがしばらくは目を覚ましそうにはない。

 確かにコイツらが報告したり仲間と連絡が取れなくなったら他にいるであろう連中に見つかってしまう……

 だから今のうちにここから逃げるのは得策だろう。

 だがチャーチスはさっきの話だとこの人達を凶震戒の仲間だと思っているらしいが……

 

「お願いします……奴等が狙っているのはこの子なんです……」


 俺達と話している男はそう言っていつの間にか俺から少し離れた場所にいる先程の少女の肩に手をそっと置いた。




 サンスインの北に位置する城の城内

 ここは既に凶震戒十戒士が1人、クラディ・レイオンによって支配されている場所。

 彼はここからサンスインを支配しその玉座に君臨している。


「……どうやらここに入り込んだ奴がいるな?」


「よ、よくぞおわかりになって……」


 クラディは目の前にいる部下に対して侵入者について察知したことを確認する。

 パゼーレから応援が来てから1時間と少しの間に"巫女"を捉えようとしていた10名で構成されていた部隊が戦闘不能にされているのは既に確認済みであった。


「そうか、なら……」


 クラディは玉座から立ち上がる。


「もう時期は近い、この追いかけっこも終わりにするとしようか」


 そうして彼は玉座から離れる、自身目標を叶えるための道具の元へと歩を進めた。

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