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やさしい異世界転移   作者: みなと
星降る都市
135/242

【134話目】 魔獣戦

「この魔獣はユウト、お前1人でやれ」


 今にもこちらへ襲い掛かりそうな魔獣を前にチャーチスは俺に指示を出した。


「なんでですか?」

「そうです!我々ならすぐに終わりますよ!!」


 チャーチスの唐突な発言の真意を聞こうとする、ヒマリもチャーチスの指示に疑問を抱き彼に問う。


「俺は弱い奴に背中を任せる気はない、だからここでお前が俺達に着いていけるのか確かめる」


「そんなの今じゃなくてもいいでしょ!……まさか貴方まだ彼の一件で中隊長を降ろされた事を憎んで……」


 俺の一件……?中隊長を降ろされた?

 ヒマリの発言が引っかかった、俺とチャーチスやヒマリが関わったのは今回を除くと俺が異世界に来た時だけ。

 そしてチャーチスは確か第2中隊所属、更に以前イーリシャさんから聞いた降ろされた中隊長……


 この事実を纏めると……俺の所属してる第2中隊の中隊長は本来ならチャーチスで俺との一件で中隊長を降ろされた為第2中隊には中隊長がいなかった……と。


 前から少し気になっていた、以前の中隊長についての謎が判明した……はいいがこの状況が変わるはずは無く。

 なら……


「それは関係ない。

俺はアイツの実力を知らない。

だから今、アイツの実力を見定めこの任務に役に立つかどうかを見る。」


「だからと言って……」


「大丈夫ですよヒマリさん」


 チャーチスの意見を再び反対しようとするヒマリの肩に手を置いて発言を止める。


「わかりました、やってやります」


 

 俺が魔獣達と戦うとのチャーチスの命令を聞いたのは単純に俺自身がチャーチスにみくびられているようで腹が立ったからだ。

 だから俺はここで自分の実力をチャーチスに見せる。


 俺は魔獣と対峙すべくチャーチスをチラ見しながら前へと出る。

 魔獣達は威嚇するかのようにうねり声を上げる。


 俺は短剣を取り出し戦闘体制を取った。

 次の瞬間には解き放たれたかのように魔獣達が俺へと襲いかかってくる。


 先頭を走る魔獣は前脚を使い攻撃を始める。

 その攻撃に対し俺は短剣で防いぎその勢いのまま魔獣を投げ飛ばす。

 投げ飛ばされた魔獣を避けながら2匹の魔獣が向かってくる。

 

「──斬風」


 向かってくる魔獣に対して俺は短剣を横に振る、短剣から風の斬撃が放たれる。

 しかし魔獣達はその斬撃を感知したのか高く跳び斬撃を躱した。


「なっ!?……ッッ!!」


 魔獣達の身のこなしに驚いている最中に魔獣の爪が俺を切り裂く。

 幸いにも傷は浅い。


「お前の実力はそんなものか?」


 チャーチスは俺の負傷を見て挑発してくる。

 こんな魔獣に苦戦している奴は要らないとでも言っているみたいだ。


 そんなチャーチスとのやりとりなんてお構いなしに魔獣は攻めてくる。


 仕方ないじゃないか、だって俺は正義の味方を目指している、人を殺すなんて……なんて……


 いや、魔獣は人じゃないか。

 なら殺してもいいか!


 俺は短剣を飛びついて来る魔獣の喉元に突き刺す。

 魔獣の生命力は高いようでその眼はまだ攻撃的だった。

 なのでそのまま短剣で魔獣の頭部を切り裂いた、そうしたら流石に魔獣は倒れて動かなくなった。


 足元の生物が完全に死んだのを確認した俺は残る2体に目をやった。

 どうやら多少の理性はあるらしく仲間が殺された事で怯んだ様子を見せる。


 そこを見逃さなかった。

 俺は自分との距離が近い方から狙った、魔獣達よりも速い動きで反応すら出来ずに縦に真っ二つに斬り捨てる。


 そして最後のは仲間の仇を!みたいな感じで爪を尖らせ突っ込んでくる。

 魔獣の突き出された右の前脚は本体から離れ宙を舞う、次の瞬間には顔に短剣を突き刺す。


 やはり生命力が高いようで残された前脚を俺へと向ける。

 しかしその攻撃が届く間もなく、俺は短剣に風の魔力を込めて魔獣へと流し込んだ。


 風の魔力は魔獣の体を巡り全身を切り刻む。

 魔力を流し込むのをやめた時には最後の魔獣はバラバラの肉片へと変わっていた。


「……これで、どうですか?」


 チャーチスの命令通りに全ての魔獣を討伐したので彼に問いかけた。


「まぁ及第点だな」


 彼は特に反応を見せず、短く俺の戦闘を評価して馬車に乗った。

 その時のレイナとヒマリは俺の戦闘を見て少し驚いているような表情をした後に馬車に乗った。


「なんか……違うな」


 俺は魔獣との戦いで違和感を感じていた。

 別に悪い方の違和感ではない……むしろ調子のいい方の違和感だった。



 この時の優斗が感じていた違和感は以前使用した神破掌による彼自身の基礎スペックの限界突破に慣れていない為の違和感であった。

 だが魔獣との戦闘により体が動きに慣れ、次回の戦闘からはより洗練された動きが可能になる。


「おい、早く乗れ」


 体の違和感を感じたいる最中にチャーチスから馬車に乗るよう催促される。

 俺は地面に落ちてる魔獣達の肉片を避けながら馬車へと戻り、そのまま馬車はまたサンスインへと進み始める。


 そして翌日、俺達はサンスインにへと辿り着く。

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