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やさしい異世界転移   作者: みなと
パゼーレ魔法騎士団
129/246

【128話目】 十戒士達の帰還

 「「「シルド様!ブラッドハンド様!よくぞお戻りになられました!!」」」


 凶震戒が拠点とする城にてシルドやブラッドハンドを始めとしたパゼーレ襲撃に関わっていた者達が帰還し門前にて出迎えられる。


「此度の戦いも随分と疲れましたね」


 拠点に帰って来た事でシルドは気を緩めて肩の力を落としながら城内へと入っていく。


「シルド様、ブラッドハンド様、ボスがお呼びです」


 城の中に入るや否や2人に凶震戒のボスからのお呼びがかかったとの連絡を受けた。


「帰ってきてすぐですか……わかりました、それでは私とブラッドハンドとあとラディアンも連れて行きましょう。

行きますよ2人とも」


 シルドはため息を吐いてその連絡に返事を出す。その際に自分の直属の部下であるラディアンを連れて行くとして声をかけた。


「は、はい!わかりました!!」


 ラディアンはシルドに声をかけられた瞬間、驚きで一瞬固まったがすぐに返事をする。

 十戒士候補としてボスと会える、それは彼にとっては誇らしい事だったのだ。


 そうして3人はボスの待つ部屋へと向かう。


「あ〜!おじさん帰ってきてる〜!!」


 部屋に向かっている最中、3人に向かってそう叫びながら近づいてくる人がいた。


 彼女は十戒士が1人フレリアだった。

 彼女はまっすぐブラッドハンドへと駆け寄っていった。


「ねぇおじさん、今から私と遊んでよ!」


 子供のようにブラッドハンドに頼み込むフレリア、その十戒士同士が気楽に会話しているのを見たラディアンはその緊張感のある場に萎縮してしまう。


「駄目だ、今からボスに報告だ」


 フレリアの頼みに対して一蹴するブラッドハンド、しかしフレリアはこれでは引き下がらなかった。


「え〜!今遊んで!!」

 

 まるで駄々をこねる子供の様に我儘を言い出すフレリア、十戒士達にとって見慣れた光景だった。その光景に見かねたブラッドハンドは。


「頼むシルド」


「はぁ……わかりました」


 ブラッドハンドがシルドに頼みシルドはため息をまた吐きながら行動に移した。

 駄々をこねていたフレリアの下にワープホールを展開してフレリアを城の何処かに転送したのだ。


「これでよろしかったんですか?」


 フレリアを転送したシルドはブラッドハンドに尋ねた。


「まぁアイツも本気ならワープホールくらい避けられるだろ、そうしなかったって事はそういうことだろ」


 ブラッドハンドは冷たく返答した。

 いつもの光景、いつもの対応、それが終わり再びボスの待つ部屋へと3人は歩いて行き部屋へとたどり着いた。


「帰ってきたか」


 3人が着くなりボスは語りかけてきた。

 

「はっ!十戒士シルド、ブラッドハンドただいま都市パゼーレから帰還しました」


 ボスに声をかけられてすぐに3人はその場で床に膝をつき、頭を下げ帰還の報告をシルドは行う。


「それで此度の作戦の成果を報告してもらおうか」


 シルドの言葉を聞きボスはパゼーレ襲撃作戦に対しての結果の報告を聞く。

 それに対してシルドはボスに成果を報告した。


 パゼーレを襲撃し中隊長を始めとした多くの騎士団の団員やパゼーレ住民の殺害、それに伴い十戒士候補2人の敗北、そして"シニガミ"ディーオンの単独帰還、そしてディーオンとの戦闘、そしてシルド自身撤退を余儀なくされた事をボスに報告したのだ。


 ボスはその報告を静かに聞き届けた後口を開いた。


「そうか、わかった。

まずはブラッドハンドだが……命令してはおらぬがシルド達の撤退の為の援護、よくやった」


 まず先にブラッドハンドについての功績を述べ賞賛した。


「はっ!ありがたき幸せ」


 お褒めの言葉をもらったブラッドハンドは跪いたまま感謝をする。


「次にシルドだが……お前は仕方ない、むしろシニガミから逃げ切った事は賞賛に値する。

お前はこの組織にとっても有益な人材だ、失うには惜しい。

そして後ほどシニガミとの戦闘について詳細を報告せよ今後の奴への対策をたてる」


 次はシルド、賞賛の言葉を述べつつディーオンに対策についての手を貸すように伝える。


「かしこまりました、貴方様の寛大な心に感謝します」


 敗北して逃げ帰って来た為、何かしらの罰が降ると想定していたシルドはボスの言葉に少し動揺しながらも言葉を返した。


「そしてラディアンと申したか、お主は……」


 そして最後ラディアンに声をかける。

 この流れなら自分のお褒めの言葉を授かると想定しているラディアンの気持ちは昂った。

 しかし……


「まるで駄目だ、よってお主を処分することにした」


 ボスから告げられたのは唐突で厳しい言葉であった。


「えっ……」


 その言葉を聞いたラディアンは驚きのあまり顔をあげボスを見た。

 その時のボスの顔は仮面に隠されていたが酷く冷たくそして落胆したかの様なオーラを醸し出していた。


「な、何故ですか!?」


 ボスの言葉に納得が出来ないラディアンはボスに対して反論する。


「中隊長ならまだしもただの下っ端に敗北するとは情けない、お主の様な奴が十戒士候補だとはなんとも嘆かわしい……」


 そう言った瞬間、ボスは立ち上がった。

 その身が震える程の凶悪な魔力が3人に降り注ぐ、十戒士の2人であれば耐えられるがラディアンにとってはそうはいかなかった。


 ラディアンはその魔力に恐怖を覚え


「い、嫌だ!死にたくない!!──シールド!!」


 即座に魔法で魔力の球体に囲われてボスからの攻撃を防ごうと足掻く。

 しかし次の瞬間にはボスからラディアンに向かって魔力が放たれラディアンは彼を守る魔力ごと消し去られたのだった。


「それでこれからどういたします?」


 ラディアンが死亡した後、シルドは彼の事を気にかける訳でもなくいつもの感じでボスに尋ねた。


「まずはあのシニガミに対する対策を立てる、後はアーサーが帰りその報告を聞いてから考えるとしよう」


 ボスは静かに座りそう答えたのだった。

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