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やさしい異世界転移   作者: みなと
パゼーレ魔法騎士団
128/243

【127話目】 パゼーレ襲撃事件、終結

 パゼーレから少し離れた荒野、そこにワープホールが出現する。

 そこから出てくるは凶震戒の最高幹部十戒士の1人であるシルドだった。


 酷い傷を負わされ、魔力や体力が限界に達しようとしており更には高齢である彼だったが都市パゼーレからの撤退に成功したのだった。


「大丈夫か、じいさん」


 そんなシルドに声をかける男がいた、彼もまた凶震戒の十戒士、ブラッドハンドと呼ばれている黒髪の少し渋い男だった。


「えぇ、貴方の援護のおかげでなんとか撤退に成功しましたよ」


 シルドはブラッドハンドにそういうとその場にワープホールをいくつも生成した。

 そこから出てきたのはパゼーレで戦闘を行っていた彼の部下達だ。

 数にしては100人いるかいないかという数、来た時は数が大幅に減っている。

 この戦いで命を落とした者、そして我々が逃げる為の囮として都市に残した者。

 その者達を除いた者達が今ここにいる。


 いきなりの転移に部下達は困惑している様子だったがシルドの様子を見て態度が変わる。


「シ、シルド様!?どうされたのですか、そのお体は!!」


 部下の1人がシルドの元に駆け寄る、それを見た他の者も同じような行動をとった。


「お気遣い感謝いたします、それより今すぐにこの場から撤退します。このままここにいたらシニガミが来て全滅させられますよ」


 シルドは立ち上がり部下達の行為に感謝をしながらも警告する。

 シニガミが来る事を聞いた瞬間、部下達は慌て始め撤退をし始める。


「まったくせっかちな方達ですね、まぁ我らの拠点に行くためにはその場所を唯一知ってる私が送らないといけないんですがね……今はこんな有り様なので少し離れた場所で休息を取り拠点へと帰りましょうか。

……どうかされましたか、ブラッドハンド殿?」


 そそくさと動く部下達を眺めながらブラッドハンドに話しかけるシルドであったが、シルドがその場で黙りこくっているのが気になり尋ねる。


「いや、大丈夫だ。ただ……さっき放った矢全部不発に終わったらしい」


 シルドの問いかけに少し間を置いてからブラッドハンドは語った。

 あの幾万本あった矢全てがパゼーレに着弾する事なく破壊されたと言っているのだ。


「まぁシニガミでしょうな」


 矢を破壊した人物に心当たりがあったシルドはそう返した。


「流石は……って感じだな。それで?そのシニガミと戦った感想は?」


 シルドの返しに少し呆れたような反応をした後その男と戦った感想を聞いてくる。


「いやはや、とてもお強かったですよ。

あれでまだ"魔法を使っていない“ときた事です。恐らくはその強大な力ゆえ、都市への損害を抑える為でしょうが……そこが彼の弱点と言えるでしょう。

まぁそんな状況ですら、私はこの有り様でしたが」


 シルドはディーオンの事をそう評価した。

 魔法を使わずして十戒士を圧倒……シルドが本来戦闘タイプの幹部では無いにしろ、圧倒したという事は事実なのだ。


「とんでもねぇ奴だな、まぁお前が生きてるだけでも儲けものだ。その情報が奴を倒す鍵になるかもしれん」


 などとディーオンに対しての対策をアレコレ話しながら凶震戒の兵達はパゼーレから離れて行ったのだ。



 パゼーレ内部。矢が降り注ぎ、何者かの手によって防がれてから数時間もの時がたった。


 デイやウォルノン家の連中や元盗賊団達は都市内部を駆け回り、残っている凶震戒達の残党狩りを行っていたのだ。


 もう既に本陣が撤退した事を知らない凶震戒の下っ端達は未だにパゼーレの住民達を襲っていた。

 その連中に対してデイ達は戦っていた、負傷者こそは出たがデイ達と共にいた人達には死人が出る事は無かったのだ。


 そして今パゼーレに残っている凶震戒の最後の1人をデイが倒したところだった。


「これで最後だな……みんな大丈夫か!?」


 最後の1人を倒し終えて、デイは周りの仲間達に声をかける。

 それに対して全員応答し、無事が確認できた。


 その事がわかりデイは肩の力を落とす、気が付けば空は夕陽により赤くなっておりヴァーリン奪還から始まった1日がそろそろ終わりを告げようとしていた。


 しかし戦いが終わったと思い込みデイは油断していた、デイの後ろで倒れているフリをしていた凶震戒の1人が立ち上がって襲いかかるのに気付くに遅れてしまったのだ。


「デイ!!」


 デイがその事に気が付いたのはデイを見ていたヴァーリンがそうさけんだからだ。


 すぐに後ろの男に察し振り返るが、反応が遅くここから男の攻撃を躱して反撃に移ることはできなかった。


 男が攻撃するまでの間、周りが遅くなったかのような感覚に陥る。

 それでも攻撃は躱せずにただ男の刀が俺へ刺さろうとしているのを見ている事しか出来なかったのだ。

 これで……終わりか。


「──凍て咲け、フリーローズ」


 次の瞬間だって、どこからか聞き覚えのある声が聞こえた瞬間に俺に襲いかかって来た男の全身が凍り付きその氷はまるで薔薇のような形をしていた……


「まったく急いで来てみれば何殺されてかけてんだ駄弟」


 凍り付いた男を見て衝撃を受けていると、俺に話しかけてくる男がいた。

 その男は、今朝作戦の為パゼーレから離れていたはずの俺の兄ゼンだった。

 そのすぐ近くには同じく作戦に行っていた他の隊の方々もいた。


「なん……で?」


 いるはずのない兄や他の人達に困惑しながらも俺は聞いた。

 しかし兄は俺の方は見ずに。


「そんな事は後だ、今は残党狩りだ」


 そう言ってデイや他の人達は都市中に散らばって凶震戒の残党を殲滅しに行き、しばらくした後都市内にいる凶震戒が殲滅されたとの連絡を聞いた。


 何はともあれ、パゼーレ襲撃事件はこれで終結したのだ。

 分かれていたユートやラードフが帰って来たらこの勝利を喜び合おう。

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