【101話目】 盗賊団アジトへ!?
シノンさんはそびえ立つ崖の前に立ち、手をそっと置いた。
「──はぁぁ!!」
シノンさんが叫んだ後、目の前の崖に人が通れるくらいの穴が空き洞窟みたいになっていた。
「まぁ俺の魔法は物質の形状変化みたいなものだ、ただ物質を動かせるだけだけどな。
まぁこのままこれを通って崖上に出るぞ」
シノンさんは自分の魔法の説明をしつつ、前へと進み俺もそれに着いていった。
しばらくシノンさんの作った洞窟を進んで行く。
「そろそろ上へ上がるぞ」
シノンさんは今度は階段状に洞窟を変化させまたそれを登っていく。
「そろそろ地上へ着くぞ」
シノンさんがそう言った瞬間に天井に穴が空いて光に照らされる。
そして俺たち2人はそのまま地上へと飛び出したのだが……
「なんだ!?テメェら??」
俺たちが立っている場所は地面ではなく建物の床、そして俺たちの周りには多くの人がいた。
周りにいる人達は全員いかつい男で武器を持っていた。
この感じ……嫌な予感がする
「ここを盗賊団のアジトと知ってのことか!?」
どうやら嫌な予感が当たったようだ。
ここは俺たちの討伐対象の盗賊団達のアジトのようだ。
「コイツら!さっき見た怪しい奴らです!!まだ生きていたのか!!!」
盗賊団の1人がそう叫んだ。
そうするともう盗賊団全員が武装して俺たちを囲む、兵力差はこっちが2あっちが数十人流石にここから勝利するなんて至難の業だ。
「待て!!おまえら!!」
突如この建物中に響き渡るような声が俺たちの耳を破壊するかの如く刺激した。
すると他の盗賊団の2周りくらい巨大の男が現れる。
「たった2人で攻めてくるなんざ、大した度胸だ。
なぁおまえら何が目的だ?」
巨大の男は他の盗賊団の連中を押し退けて俺たちに近づく。
間違いない、この男がこの盗賊団のリーダーだ
これはピンチでもあるがチャンスでもある、ここでコイツを無力化出来れば。
「……俺は騎士団のユウトだ。大人しく投降……しろ」
馬鹿正直に自分の正体と目的を話す。
「ほぉ?たった2人だって言うのに投降しろだぁ??
ハハハッ!コイツはおもしれぇ!!」
リーダーが笑うのに反応して、他の盗賊団達も笑いだす。
「いいぜ!お前が俺に勝ったら煮るなり焼くなりしろ!!」
盗賊団のリーダーはあっけなく了承した。
ただし俺がこの男に勝たないといけないらしい。
「……わかりました」
「おい、お前!!」
俺はその条件を承諾する。
しかしシノンさんがそれを止めようとした。
「大丈夫です、俺は……死にません」
俺は腕に巻かれていた赤い鉢巻を取り、頭に巻いて盗賊団のリーダーの前まで立つ。
鉢巻からは血の匂いがしたが、何故か俺の心は落ち着いていた。
「いい度胸だ、お前名前は?」
「俺はユウト、ユウト・シンドウだ」
「そうかユウトか……俺の名は!バグトリ!!さぁ殺りあおうぜ!!」
互いに名乗り、バグトリという男は戦闘体制に移す。
俺も戦闘体制に入ろうとジン器を取り出そうとしたその時だった。
「──結界魔法コンディションルーム」
バグトリがそう発すると俺とバグトリを覆うような結界がつくり上げられた。
その効果はすぐに理解できた。
ジン器を取り出そうとしたが出てくる様子はない、それどころか俺の体に魔力を感じる事が出来なかった。
この結界の効果……それは魔力の無効化!