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「なんかあの一番でかい魔女反応こっちに向かって動いてない?」
「気にくわない」
スキル作成
スキル作成・発動・固有空間絶対停止
「これでよし」
光太郎以外のすべてが静止した世界の中、一人つぶやく
「ねよう」
――3年後
スキル作成・発動・絶対解除
「おはよう」
「おはようも何もあなた別に寝てないでしょう……。それよりも、一番でかい魔女反応、今度は一目散にこの大陸から逃げるように動いているわね」
「賢明な判断じゃないかな。この軍勢を前にして正面から挑もうとするほど魔女も無謀ではないらしい。この世界の過去の英雄たちをこの世界のマナを集めて記録から再現したわけだからね。君みたいな普通の原住民とはマナの密度が大違い。この高密度のマナを欲しがるかもしれないけど、逆に危機を察してもおかしくない」
「それだけじゃないと思いますわよ」
光太郎が周りを見渡すと怒気をあらわにした少女が光太郎のすぐ近くまで来ていた。
「あなた3年もよくも時を止めてくださいましたわね。意識を持たせたままで」
「?」
「?」
光太郎と妖精が首をかしげる。
「とぼけないでくださいます?」
「時間が止まってたと思う人~」
光太郎が周囲の英雄たちにたずねる。しかし誰も時間停止を自覚しているものはいなかった。
「というか今とまっているんだろう?でも三年ってなんだよ。ボケてるんじゃないかあの婆さん」
酒を飲みながら着流しに刀を差した剣士風の男が少女をみる。
「婆さん?」
光太郎がいぶかしむそぶりを見せる。
「お前もふざけるのをやめろ。さっきした説明が本当なら、お前もそこにいるのがミネル、原初の魔女と呼ばれた存在なのを知っているはずだ」
「あんた何召喚してるの?」
「強キャラ」
「……キャラ、か。ふざけたりボケたりするキャラじゃねえな。あの婆さんは。となると本当に3年経っているのか?」
「婆さん婆さんと人のことを……」
光太郎の脳裏にその後の展開が思い浮かぶ。
「あ、これ下手するとこの草原が吹き飛ぶパターンだ」
そして光太郎は即決する。
発動・固有空間絶対停止
――3年後
スキル作成・発動・絶対解除
「ふわぁ~あ、よく寝た」
「あなた、あなた、また……」
「どうかしましたか?レディ・ミネル」
涙目の少女とまだ寝足りない光太郎であった。