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スキル作成・発動・全消費MP0化
スキル作成・発動・全翻訳
サモン・ナビゲートフェアリー
アイテム作成・検索手帳
アイテム作成・限界突破薬
アイテム作成・全能力向上の木の実
スキル作成・発動・無限収納
空間が渦巻くと金色の妖精があらわれた。
「はーい!これからよろしくね、勇者様!さっそくだけど何か聞きたいことはある?」
「ない。知りたいことはこの検索手帳で分かる。知りたいことを考えながらページをめくると次のページに答えが出るアイテム」
「ふーん?でもそれだと私がいる意味なくない?」
拗ねたような顔をしながら空中で小石を蹴る真似をする妖精。
「そんなことはない。元気な妖精を見ているとこっちも元気になれる気がするし、声をかけて教えてほしいこともある。本をめくる気力もないときとか。すでにもう気力が尽きつつある。この世界にきたばかりで右も左も分からない。なんでも教えてくれ」
深紅の皮の手帳を収納空間にぽいっと投げる。そのまま大の字に寝転がって目をつむり、木の実を食べつつ薬を飲む。
妖精はくすくすと笑いながら
「いいわ。教えてあげる。まず、あなたのオドに呼応してここに来た私は、あなたの一番の好みだってこともね」
鈴のようなきらびやかな声でこの世界のことを説明しはじめた。
「それで……が……で……ねえちょっと聞いてる?」
「すまない。すこし寝ていたようだ」
小動物のように胸の上にちょこんと乗っている妖精を見てからまた目をつむる。
「も~しょうがないなー。私が見張りをしててあげる。でもちょっとねむいかも……」
彗星のように意識が夜の空を翔ける。夜闇の中でも煌々と輝く場に近づけば人と異形だけではなく、人と人、異形と異形もまた争っている。人の血で濡らした薄絹で体をわずかに隠している女と目が合った。巨大な目のオーラが発現して進路を塞がれるものの、見られている感覚がなくなるまで急浮上してからまた別の大陸へ向かう。
「あれは魔女ね」
「魔女?」
「そう。人の身でありながら人のオドを食らい、人の道を踏み外した者。魔人とも呼ばれるわ」
「というかなぜそこに……」
気づけば妖精は服の中に入り込み、胸元から顔を出している。
「言わなくても薄々勘づいているんでしょ。あなたの力はあなたの望むものを引き寄せる。あなたがすごい力で無理やり私を呼び出したとき、あなたが何を考えていたのか。あなたは一人になりたくないって願ったのよ。そのときにオドとオドがちょっとだけ混ざっちゃったみたい」
「確かに魂の中に何か自分とは別の力があるのを感じる。今の僕は魔女なのだろうか」
「魔女は相手のすべてを取り込んで自分のものにしてしまうの。きっと我慢が下手くそなのね。気持ちは分かるわ。私もあなたのオドをもっとほしいもの」
「……」
「とって食べたりしないから。疑ってるでしょ?そういうの全部分かっちゃうんだからね。きっと大丈夫よ。たぶんね!あなたの場合はあなたがオドを私に与えたいって強く願えばいいのだろうけど、それもめんどぐさがりそうだし」
雲間の下に広々と続く海を北上すると雪景色が広がる。雪原を抜ければ荒々しい岩山がそびえ立ち、山を越えればまた海へつながる。ぽつりぽつりと大海に浮かぶ島々と大陸。城、城下町、農村、森林。そしてもといた草原へ。
目を開くと夜空が広がっている。
「オドをすべて失うとどうなる?」
「死ぬわ。死後の行先には諸説あって、生前の行いによって天国か地獄にふりわけられて、飽きたり、罪を償い終わったらまた現世に戻ってくるとか。あと他には……が……して……すると……」
「無限ループか」
「ん?何かいった?」
「こっちの話。生死の話ばかりだと気が滅入る。何か面白い話して」
「無茶ぶりするわね。……人間の男の子なら戦争が好きなんじゃない?武勲をたてればいい暮らしができるし、女の子にもモテモテ」
「貴族社会に組み込まれて権力闘争。義務と称した使いっ走りと好きでもない人たちにも愛想をふりまく日々か」
「面白いと思うわよ。こんな何もない草原よりは。それとも戦うのが怖い?」
「わからない。戦ったことがないから。何かに敵対することは怖いかもしれない。それにたとえ魔物であっても命を奪ってしまうことが恐ろしい」
「でもあなたにその気がなくても危険は向こうからやってくるわよ。ほら」
草原の切れめ、森の中で赤色の眼がいくつも光る。森の影から野犬の群れがあらわれる。
「どうする?逃げる?」
「あと二つ恐ろしいことがある。自分が自分でなくなる感覚と君に怖がられることだ」
瞳孔が開き、口角が上がる。獰猛な笑みを浮かべた口元を片手で覆って隠す。
「もう遅いわよ。だってわたしとあなたはつながっているんだもの。怖くはないけど、軽蔑するわ。だってこれじゃあどちらが獣かわからないじゃない。今のあなたって同じよ、あの野犬と」
アイテム作成・矛盾の矛
アイテム作成・矛盾の盾
スキル作成・発動・光子化
深呼吸して気持ちをおちつける。四肢を折ったところで苦しみながら他の獣に食われるだけ。ならばせめて苦しまないように一瞬で逝かせるしかない。
「……空間光転移」
認識できない速さで野犬の群れの前へ移動して矛をふるうとその衝撃で野犬の血肉は吹き飛び木々へ降りかかる。
「んっ……こんなことで気持ちよくなっちゃうなんて変態なんだから……」