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プロローグ

エターナルしないように頑張りたい

「起きてください。起きてください。あの~大丈夫ですか?意識はありますか?」


「ありますよ。ありますとも。ただ僕はずうっとここでこうしていたい」


 小さく上品にため息を吐いた女神は青年を見て頭を抱えた。

「最高神様……いったいどうしたら……」


「これは困ったことになっているね」


「最高神様!わざわざご足労いただき」


「よい。それより彼のことだね。ふむ。若くして絶食による衰弱死とは……即身仏、我々神の仲間入りをする資格もある。悠久のときをなんの苦痛もない天界で過ごすのとそこでそうしているのとでそう違いもない」


 うつ伏せで倒れたまま青年が口を開く。

「違います。あなたなら分かるはずです。全知全能の神よ」


「……君は君であることを捨てたくないのだろう。君はスキル『全知全能』を選ばなかった」


「そのスキルを選んでいたら僕はあなたと同じになっていたでしょう?」


「何億人かに一人、その資格に相応しいものが表れる。そして彼らは私のようになった。この世の維持のためにすべてを捧げる存在にね。たまに堕天して封印されるものもいるが」


「なんて神々しい……!」

 青年がいることをすっかり忘れた様子で後光の増した最高神の姿に女神は涙していた。


「ここは魂の中継地点。いつまでもそうしているわけにはいかない。天国が嫌なら地獄へ行ってみるかい?」


「嫌です」


「ならば天国でも地獄でもない世界へ行くしかあるまい。そのための異世界転生だ。存分に楽しみ、悩み、感じてきなさい」


 無機質な空間から青年はパッと消え、代わりにふわりと着地した草原と土の香りが青年の鼻をくすぐる。すぐさま指をならすとステータス画面があらわれる。

「あっ……やられた」


 若神光太郎


 レベル1

 HP10

 MP10

 攻撃力10

 防御力10 

 素早さ10 


 スキル

【全能】神に許されたすべての能力を使える

【楽園追放】天界や他異世界への次元跳躍が不可能になる

【霞食】自分の意志とは関係なく呼吸によって不足した栄養を補充する


 寒くもなく暑くもない。快もなければ不快もない狭間の世界。理想の世界から追いやられてしまった。がっくりとうなだれてから仰向けに倒れると澄んだ空気によるものか美しい星々がよくみえる。


「彼は大丈夫でしょうか」


「大丈夫さ。ああ見えてテレビゲームをするようだからね」


 意識を空に集中させるとそんな神々の声が聞こえた気がした。

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