EpisodeⅤ「訪問者」
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こっちに来て一周間が経ち、みんなここの生活に馴染み始めたていた。
俺は隊長室(自室)で拠点拡張の書類を作成していた。
拡張するのはガレージの隣。
そこに、実技練習場を作ろうと思う。
前々から考えていたことだが、できるかどうか不安だっため保留にしておいた。
しかし、この前試しに作業用ロボットに聞いてみたところ「楽勝!」との事なのでお願いすることにした。
工事期間は1カ月。
「早くね?」と思ったが、ここは近未来的場所。
それくらいはできるのだろう。
と言う訳で工事はロボットたちにお願いした。
作った書類を秘書をしている作業用ロボット(秘書ロボット)に渡そうと思った時、隣に置いてあったタブレットに緊急連絡チャットが入った。
今、作業用ロボット数機でこの辺の実地調査をしてもらっている。
そこで、連絡チャットを取り合っているのだ。
「衛星もない世界でどうやって?」と思うだろう。
これもきっと未来技術なのだ…うん。
連絡チャットには2種類ある。
一つは定期連絡用のチャット。
これは青で表示される。
もう一つは緊急連絡チャット。
何か緊急事態が起きた時用のチャットで赤で表示される。
チャットの内容は「所属不明の人間が12名、接近中」。
一緒に画像が送られてきた。
長い金髪で白い鎧を着た少女が率いる騎士団のような集団。
俺はすぐさま、秘書ロボットにみんなを会議室(部隊ルーム)に集めるように言った。
***
10分後、みんなは会議室に集まっていた。
「緊急事態って聞いたんだが?」
「はい」
KEIさんが言った言葉に肯定して続ける。
「先ほど、森の探索をさせていたロボットから緊急連絡が入りました。12名の騎士風の集団がこの拠点方面に向かっていると。今は探索させていたロボットに見張らせています。約、5時間ほどでここに到着するでしょう」
俺はタブレットを操作して、会議室内にある大きなモニターにマップとさっき送られてきた画像を移して説明した。
「つまりはこの集団にどう対処するかって事か?」
「はい」
「話し合ってみたらどうだ?」
「友好的じゃなかったらどうする」
「戦闘になるのは避けたいな…」
それぞれが意見を出し合うが、なかなか決まらない。
「隊長はどう考える?」
「俺は、ひとまず話してみるべきだと思います」
「危険では?」
ROMANYさんの指摘はもっともだ。
しかし、手が無い訳じゃない。
「確かに危険です。相手の実力がわからない以上は近づくのは愚策でしょう。だから、俺達は近づかない」
「…作業用ロボットか?」
「はい」
俺がそう言うと場の空気が少し重たくなる。
「…可哀そうだな」
誰かがそう言った。
その気持ちはよくわかる。
この1週間、作業用ロボットと暮らして分かった事がある。
それは彼らには自我があると言う事。
人間とは少し違うが、それでも明確な自我がそれぞれに備わっていた。
しかし…。
「…わかっています。しかし、これが最善手です…」
「…そうだな」
KEIさんがそう言うとみんな渋々了承してくれた。
「勿論、丸腰と言う訳ではありません。彼らには護身用として銃を持たせています。それに、もし襲い掛かってきた場合は容赦なく打たせるようにします」
俺がそう言っても場の空気は変わらなかった。
***
月華騎士団の精鋭12人はカイナの深森の道なき道を進んでいた。
時々出てくるゴブリンを切り伏せながら森の奥を目指していた。
しかし、森の中に入ってから1時間が経過した時から監視されているような視線を感じていた。
しかし、どこから見られているかはわからなかった。
それは12人全員がそうだった。
***
森に入って1時間半が経とうとした時、急に監視の目が無くなった。
「どういうこと…?」
それからも警戒をしながら前に進むが出てくるのは変わらずゴブリンなどの雑魚ばかりだった。
そして、森に入って4時間が経過した時、彼女たちの前に3体の得体のしれない物が現れた。
それは1メートルほどのゴーレムで車輪を2輪付けており、変な腕が横から生えていた。
その手には見た事のない道具のような物を持っていた。
恐らくは何かのゴーレムなのだろう、とシリカは予想する。
彼女たちは一斉に剣を抜き、臨戦態勢に入る。
3体のゴーレムは持っていた道具をこちらに向けた。
その瞬間、シリカはゴーレムが持っている道具が碌でもない物だと理解した。
どういう物かは全くわからないが、本能があれは危険だと訴えてきた。
彼女の頬に汗が流れる。
緊張が場を支配し、誰一人として動こうとしない。
否、動けない。
その時、ゴーレムが話しかけてきた。
「貴方達は何者だ?」
ゴーレムは普通、話さない。
この声はゴーレムを動かしている奴に違いない。
シリカはそう考えた。
「私達は月華騎士団…。この森の調査に来た…」
シリカは正直に答えることにした。
ここで誤魔化して、相手を不快にさせてしまったら彼女たちは一瞬で屍になる。
そういう予感がしたのだ。
「調査…か…。我々に危害を加えないと誓うのなら協力しよう」
幸いな事にゴーレムを動かしている者はここでやり合う気はないようだ。
しかし、気は抜けない。
まだ、罠ではないと決まった訳ではない。
「誘導しよう」
そう言って、ゴーレムは先を進み始めた。
***
俺達は会議室のモニターを見ながら現在の状況を確認していた。
今は作業用ロボットの先導に従ってこちらに来ている。
俺はモニターからみんなの方へ視線を移した。
「独断でこっちに誘導するようにしましたが、これでいいでしたか?」
「ああ」
「異論はないよ」
俺の独断で勝手に決めてしまったが、みんな特に文句はないようだ。
むしろこの結果を望んでいたような気がする。
と呑気にしている訳にはいかない。
「準備をしましょう」
「そうだな」
ここに来て相手と敵対しないとは限らない。
何があってもいいように準備をしておかなくては。
「できれば、ここでのドンパチは避けたいな…」
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