EpisodeⅡ「状況確認」
俺の目の前にはよく見た事のある高さ10mくらいのロボットが6機並んでいた。
その周りで何かの作業をしている1mほどの大きさのロボットが多数いた。
そのロボットは二輪で正方形のトラックのような形をしており、クローのような手が横から生えていた。
頭についているディスプレイには表情が映し出されていた。
度のロボットも楽しそうに動いている。
「なんだ…?…何が起きたんだ?」
目の前にあるのは俺達の愛機。
それを見て、今がどういう状況なのかがわからない。
「どうなってやがる…」
隣で聞き慣れた声がした。
周りにはロボワーのみんながいた。
「これは一体…」
ROMANYさんがそう呟いた時、一体のロボットがこっちに来た。
俺はそのロボットからタブレットを受け取った。
「なんだ…?」
俺の周りにみんなが集まり、タブレットを覗き込む。
俺はタブレットの画面に触れる。
すると、画面が光った。
画面に映っていたのはゲームでよく見たガレージの画面だった。
「これで、操作できるってこと?」
「おそらく…」
KEIさんが言った言葉を肯定する。
そして、言葉を続けた。
「とりあえず、状況の確認を…」
「そやね」
俺の提案にみんなが同意をする。
そして、それぞれが状況の確認に動き出した。
俺はガレージを歩きみながら何か部屋がないか探した。
自動ドアをくぐって、一つの部屋に入る。
そこはモニターが並べられており、資料なのか、紙が積み上げられていた。
俺はその紙の山の一番上に置いてあった一枚を手に取る。
「機体状況……?」
そこには俺がゲームで乗っていた機体の性能情報が載っていた。
性能は丸っきりゲームと同じ、アーマー値もブースト速度も武装もすべての数値が同じだった。
他の機体情報も見たがどれもゲームと同じ数値だった。
「どうなってるんだ…」
そう声に出した時、ドアが開く音がした。
そこにいたのはSHUTさん。
「水域さんが部隊ルームみたいな部屋を見つけたって…」
「部隊ルーム…?」
SHUTさんについて行き、自動ドアを潜る。
そこには確かにロボワーの部隊ルームがあった。
奥に一際大きなモニターがあり、壁には今までみんなで撮ってきた写真や、対抗戦のトロフィーが飾られていた。
俺とSHUTさん以外は部隊ルームに設置された椅子に座っている。
俺とSHUTさんも座り、それぞれが見た物を話し合った。
武神さんが見つけた物はエレベーターだった。
「エレベータは上にしか繋がっていなかった」
「と言う事はここは地下ってことか?」
「多分な。そんでエレベーターの大きさからあれは機体を地上に上げるための物だ。しかも、横には人用のエレベーターもあった。おそらくはそこから地上に出れるんだと思う」
次にKEIさんが見つけたのは個室だった。
「ベッドもあったし、それぞれの部屋ってことだと思う」
SHUTさんが見つけたのはこの部隊ルーム。
「驚いたわ。入ったら部隊ルームだったんだから」
水域さんが見つけたのは食糧倉庫。
「結構大きかったし、食料も沢山あったから食うには困らないと思う」
ROMANYさんは部品倉庫を見つけた。
「いろいろあったよ。多分、機体の部品だったと思う。手とかあったし」
そして、俺が見つけたのは資料が置いてあった部屋。
「資料?」
「どんな資料があった?」
「機体情報です。みなさんも気付いていると思いますが、ガレージにあったあの機体は俺達、それぞれの機体です」
「それは分かったよ」
「その機体は俺達がゲームで使っていた物と全く同じ。期待や武器の数値も全く一緒でした」
今、出てきた情報から導き出される事は、俺達がゲームの中に入ったと言う事だ。
「そんなのあり得るのか?」
「実際に起きているんだから認めるしかないでしょ」
「そやね。今は今後の方針をどうしていくかが問題だ」
確かに、ROMANYさんお言う通り、方針を決めることは最重要だ。
でも、それよりもやらなくちゃいけない事がある。
「方針も大事ですが、今は外の状況を確認しましょう」
「外…?」
「はい。もし、ここが本当にゲームの世界なのかどうか…」
「ここまで情報がそろっていたらもう決定でいいんじゃないか?」
そう言った武神さんだったが、俺の目を見てすぐに肩を竦めた。
「今は部隊長に従おうぜ、武神さん」
そう言ったのはKEIさんだった。
「そうだな。こういう時こそ『大元帥』様に従う方が良い」
「そうそう。なんだってカメは隊長だからな」
そう言ったみんなを見て俺は苦笑いを浮かべた。
こういう時にも俺を信頼して、追いてきてくれる。
本当に良い友を持ったものだ、と心の中で思った。
そして、俺達は機体エレベーター横にあった人用エレベーターで上に上がった。
エレベーターを出ると廊下があり、先には扉がった。
その扉を開くと、眩しい光が廊下に入ってきた。
「…森だな」
「森ですね」
後には崖があり、さっき出てきた扉があった。
その横には大きな鋼鉄の扉。
恐らくは機体をここから地上に出すのだろう。
そして、その前には深そうな森。
「これは…ゲームの中と言われると怪しくなってくるな」
「カメの言う通り、外を確認しといて良かったな」
「本当に…」
一同が眼前に広がる森を見て呆然としていた。
評価、ブックマークしてくださると大変励みになります。
宜しくお願いします。<m(_ _)m>