第30話ー何それ怖い
遅くなり誠に申し訳ございませんm(_ _)m
迫り来る魔物達から逃げる。逃げて逃げて逃げまくる。後ろを向くと色とりどりな魔物達が何故か、協力しながら、追ってくる。時には、僕達の目の前の地面を凍らせたり。時には、後ろから魔物が飛ばされてきたのをよけたり...と。
あぁ〜どうしてこんなことをやっているのだろうか? 僕が一体何をやったのだろうか? ただちょっと、上にジャンプしただけじゃないか。それなのになんでこんな大量の魔物に追われなくちゃいけないんだろうか。
あぁ〜もう……どれもこれもあの黒い手のせいだ。次あったら、絶対にぶっ飛ばす。そしてあれを呼んだ奴もボコボコにしてやるんだ。
ふっ…ふふふ…ふふふふふ……
「てい」
「いたっ!」
僕がどうやってあれをぶっ飛ばそうとしようか考えていたら、いきまり横で一緒に逃げていたリラに頭を叩かれた。
「むー…何するのさ〜」
「ユウがこの状況下で、なんだか不気味に笑っているから、ちょっと気になって…」
リラは顔を少し赤くしている。
…はい?
「え? あの、なんで顔を赤くして言うの? なんかおかしくない?」
「あ、赤くしてなんてないよ!」
自分ではそう言っているけど、そんなに動揺してたら意味ないと思うな。リラって普段は、大人しくて大人っぽい話し方するんだけど、動揺したり興奮したりすると子供っぽくなるんだよね。まあ、だからといって何が変わるわけではないんだけど。
「そ、そう? ならいいんだけど…」
「うん! そうそう! ほら、早く行きましょう!」
リラに手を引かれ少しスピードを上げた僕達。後ろには今だに追ってきている魔物達。
てか、このまま逃げてても埒が明かない。どうにかして追ってくる魔物達を倒すかなにかしないと。
「うーん…とはいえ、今使えるスキルで使えそうな物ってないんだよなぁ〜」
自分のステータス画面を開きスキルを確認する。固有スキルをも含みほとんどが使えない。それで現在使えるのは、
固有スキル、【ステータス鑑定】【不明】
通常スキル、【超解析】【気配感知】【魔力感知】【空間把握】【体力自然回復】【魔力自然回復】
だけ。なんだか戦闘に使えるスキル達はみんな使えない状況になっている。
(せめて【スキル作成】が使えれば…)
僕の力の源といってもいいスキルが使えなくなったのは痛い。【解除】も使えないからステータスをいじることもできない。
「あ〜…どうすればいいんだろう」
と、僕が呟いた時、
「まあ、そうなるだろうと思って迎えに来たわよ。ユウ。リラ」
「…え?」
「あ、エリス」
いつのまに現れたのか僕達の斜め上あたりでエリスが浮いていた。
「なんでうい――「なんで浮いてるの? 的な質問は後でね」―-」
…そうですか。
「よし。それじゃいつまでもこんなところで鬼ごっこなんてしてないで帰るわよ」
「なにで帰るの?」
リラが僕の代わりにエリスに聞く。
「これよ」
エリスは肩から下げているバックから一つの水晶を取り出す。それは、魔王城の地下にある転移部屋に行くときに使う水晶に似ていた。
「転移水晶。私の城の地下にある転移部屋に転移することが出来る水晶よ。まっこれは使い捨てだけどね。というわけで、ほいっと」
似ていたんじゃなくて本物だった。
エリスの掛け声とともに水晶が光輝き僕達もろとも包み込んだ。
光が収まると僕達は部屋が石でできている場所にいた。床には大きな魔法陣があり、前に来た転移部屋にちゃんと着いたらしく、少しだけ安心する。
「ったく、驚いたわよ。ユウの魔力が一瞬で消えるんだもの。転移で。転移で。慌てて広範囲に魔力感知使ったらあの森にいるし。どういうことか説明してもらうわよ?」
エリスが仁王立ちで僕のことを見ながらそう言う。…何で二回も転移って言うんだろう。まさか、結界強化したのに結局転移出来てしまった僕に対して怒ってるんだろうか。…ありえる。
「エリス」
「な、なによ」
僕は、立ち上がりエリスの側まで行くと、その小さな両肩に手を置いた。
「…あの程度の結界じゃ、私は止められないよ?」
できるだけ優しい感じで微笑みながら言ってあげた。
「んあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ごらんの有様である。
☆ ★ ☆ ★
「…黒い、手?」
あれからものすごい落ち込んだエリスになんとか復活してもらおうと、慰めていたら、なんか今日の夜は、一緒にお風呂に入ることになった。何故こうなったのかは僕にもわからない。というか、どうして僕の周りにはこう変な人しかこないの? リリィといいエリスといいティナエラといい…。リラはまだ…大丈夫な…はず。
とまあそれはもう終わったことだから置いといて。今現在僕たちは、復活したエリスに連れられエリスの部屋にいる。リラも一緒だ。
そこで僕は何故ああなったのかの事情を説明しようとしてるんだけど、リラは全く信じてくれない。
「そう! 黒い手。それに追いかけられてたの!」
「へぇ〜」
…あ、あの顔信じてないな。
「あ、信じてるわよ。ちゃんと」
僕が睨むような視線をエリスに向けていると、それに気づいたエリスが慌ててそう言ってきた。
「本当にぃ〜?」
「本当本当!」
こくこくと何回もうなづいていうエリス。
本当かなぁ〜? なんか絶対信じてなさそうに見えるんだけど。
「いやいや! ちゃんと信じてるって! だって―――」
僕がじーっとエリスを見てると、エリスはまた慌てながらも驚きの事を言ってくる。
「それティナの事だし!」
「…え?」
…何それ怖い。
ユウ「…というわけで、ついに2016年になりました!」
リリィ「はい?」
エリス「それよりもおふ――「シャラップ!」―-…はい」
リラ「…2016?」
ティナ「ユウちゃーん。私と遊ぼう!」
ユウ「そう! 2016年です! …ティナ、今忙しいからあとでね」
リリィ・リラ「だからなにそれ?」
エリス「ティナだけずるい! 私もあそ――「シャラップ!」―-」
ティナ「はーい! じゃあ終わったら私の部屋に来てね! 待ってるから!」
ユウ「…はい。というわけで、2016年になったわけですが、これからもみなさんよろしくお願いします!」
リリィ「よくわからないのだけど、まぁよろしく」
リラ「よろしくお願いします」
エリス「よろ――「というわけで解散!」―-ちょ、なんか私の扱い方だけ酷くない!?」




