第25話ーエルフだけどハーフなんだよ!
いろいろとおかしいとは思いますが、気にしないでいただければ嬉しいです。
僕の話を聞いた二人はどちらも同じ反応をした。それは、恐怖でもなく嫌悪でもない。なら一体何なのか? …それは―――
「すごい…ぜ、ぜひ私の師匠になってください!」
「さすがだよユウ! やっぱりユウは強い! んもう大好き! 私と結婚して!」
―――なんかめちゃくちゃ褒められた。てか、リラのお願いは良いとしてもエリスのは何!? 冗談なんだよね? なんか少しづつこっちに近づいてきてるけど、冗談なんだよね!?
「ちょっと待って。エリスは魔王だから良いとしても、リラは怖くないの? 私いっぱい人を殺しちゃったんだよ?」
エリスがくっついて来ようとしたので手で押しのけつつリラに問う。
「え? だってそれはあの人間たちが悪いのがいけないんだよ? それをユウが罰を与えただけ。ユウは何も悪くないよ。だから、私の師匠になってください!」
...ん?なんだろう?...なんかリラの言っている言葉に違和感が...
「えっと...リラ?」
「なに?」
リラが不思議そうに首をかしげる。その時、リラの長い髪で隠れていた耳だと思われる部分から、何か尖ったようなものが出てきた。僕はそれを見て息を飲む。もしあれが僕の思っているものだったとしたら、リラの先ほど言った違和感にも納得がいくかもしれない。
「あ、あのね...もしかしてリラって人間じゃなかったりする?」
「え?...あ、そういえば言ってなかったよね。私はエルフよ。まぁ、人間とエルフの間に生まれたハーフなんだけどね」
そう言いながら、リラは自分の髪の毛を耳にかけエルフの特徴である少し尖った耳を見せてくる。
だけど、リラはハーフと言ったから、実際のエルフはもう少し長いんだと予想。これぞ日本の知識。実際はどうなのかわからないけどね。
「...エルフ...エルフ...リラがエルフ......」
「あ、あの...ユウ?」
僕が小言でエルフと連呼してたら、なぜかリラが不安そうに僕を見てきた。...なぜ?
「もしかしてユウって...エルフとか嫌いだったりする......?」
どうしたのかな〜って思っていると急に泣き出しそうになりながらリラがそんなことを言ってきた。
「き、嫌いじゃないよ!?むしろ大好きだよ!ただ、エルフって始めて見たから驚いてただけだよ!?」
「...本当?」
「本当だよ!」
僕がきっぱりとそう言うとホッとしたように息をつくリラ。どうしてリラはそんなことを思ったのだろうか?もしかして人種差別的な感じがこの世界にはあるのかな?
「へぇ〜リラってハーフエルフなんだ。珍しいわね」
エリスがリラを見ながら、珍しそうに見る。
僕はそういえばっと思いリラにあることについて聞く。
「そういえばリラってこれからどうするの?私はこのままエリスのお城で暮らすんだけど、リラは行く当てとかあるの?」
「もしあるんだったら連れてってあげるよ」っと付け足す。
だけど、これが間違いだったのかもしれないとすぐに気づいた。なぜならリラがまるであの時あった時のように悲しげな表情をしていたからだ。
「あの...ね。私のいえ...というより、住んでいた村が盗賊に襲われたの。両親は私が言うことを聞かなかったから、私と一緒に捕まって、私はそのまま盗賊に売られたの...」
...ねえ、なんでさっきからこんなシリアスな展開が多いの?
「あ、そ、そうだったんだ。なんというか大変だったのね...」
シーンとした場にエリスが耐えられなくなって、どうにかしようと試みる。僕も何かないのかと考えるけど、なんかいい言葉が見つからない。
「...あ、え、えと、確かにひどい目にはあったけど、こうしてユウとエリスに会えたことだし、私ももう気にしてないから気にしないで。それより、私のこともここに住まわしてもらえないかなエリス?」
リラがこの場の雰囲気に気づき慌てて言葉を紡ぐ。エリスもそれにのっかる。
「もちろんだよ!部屋はたくさん余ってるから、いつでもここに住んでいいわよ!」
「ありがとうエリス」
にこにこと笑みを浮かべたリラがエリスにお礼を言った。僕はエリスに心の中でお礼を言う。
やっとさっきまでのシリアスな雰囲気から解放されたと思った時、くぅーっと誰かのお腹がなる。
「...あぅ」
犯人はリラだった。顔を赤くし俯かせている。僕とエリスはお互いに目を合わせ笑った。
「ふふ、もう暗くなる頃だし晩御飯にでもしよっか」
「それだね。特にリラは何日も満足いく食事が出来ていなかったからいっぱい食べさせてあげなきゃね」
「うぅ〜...お願いします」
さあ〜て、明日からがんばりますか!いろいろと!




