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第20話ー金髪のイケメンだよ!

(ちょ、なんでオークション⁉︎ いきなり⁉︎ いきなりそこ行くの⁉︎ 奴隷商とかじゃないの⁉︎ これが現実⁉︎ 現実ですか!)


そんな僕の心情を知らずに二人組はオークションの建物の裏に周る。裏には、ドアがあるらしく、二人組は裏口から行くみたいだ。


キィ...という音をたてて、扉が開かれる。中は薄暗く、道はまっすぐ続いていた。二人組は、その道を進み、途中にあったドアの前に止まった。ドアからは光が漏れていて、いかにも人がいますよーって、言ってるみたいだ。さらに、ドアには白いプレートが付いているらしく、何て書いているのか見たかったけど、二人組が邪魔で見えなかった。


「ギルゼル様。依頼されていた、銀髪少女を捕らえ、連れてきました」


一人の男の人が言う。すると、


「おお! それは本当か⁉︎ 入ってくれ!」


中から、男の人の興奮気味な声が聞こえてきた。声の高さからして、依頼主は、結構若い人かなぁ〜と、思いながら、男の人が開けたドアをくぐる。


「本当に連れてきてくれたのか! よくやった! 報酬は、そこにある袋に入っている。確認してくれ。それにしてもよく連れてこれたな。いつも、あのSランクのあいつがいるというのに?」


中にいたのはやっぱり若いというか若すぎる男の人だった...だったけど、ちょっとした予想外な出来事というか、印象が一つ。


(...すっごいイケメン......)


僕としては、てっきり太ってて油べっとりの見るのもやだし、触るのも、触られるのも嫌な、豚さんかと思ったんだけど。これは予想外。元男の僕から見ても、すごいかっこいいと思うよ。うん。


...でもね、こういうかっこいい人は大抵、貴族とかで(髪の毛金色だし)しかも、きっと自分勝手な性格してると見抜いたね。そもそも誘拐する時点でだめだよね。どういう神経してるのかな? この人。やっぱりこの世界じゃ、こういうのも多いのかな。


「...さて、話をする前に一言いうことがある。......すまなかった」


金髪のイケメンが、二人組との話が終わった後、僕の方を向いて、いきなり頭を下げてきた。ちなみにあの二人組は、もうこの部屋にはいない。袋に入っているお金を数えた後、出て行ってしまった。


とりあえず僕は、いきなり謝ってきた金髪のイケメンに一言。


「...これ外してください」


出来る限り冷たく言った。


「...うっ、わ、わかった」


金髪のイケメンが、一瞬唸ったが、すぐに僕の腕についている腕輪を、外してくれた。...あれ? 意外といい人? と、思ったのもつかのま、何故かまた僕の腕に腕輪を付けられる。...何でだよ⁉︎


「...そ、そんなに睨まないでくれ。これをしないと怒られるのは僕なんだよ」


「...いや、知りませんし。なので、これをさっさと外してください」


「無理だ」


...これって怒っていいよね? いやもう怒るべきだよね?


「...この腕輪には何の効果があるんですか?」


「さっき嵌めてたのよ同じで、スキルと魔法が使えなくなる。さらに、嵌めさせた者にしか、この腕輪を外すことが出来なくなるんだ。...さて、もう本題に入ってもいいかな?」


「...どうぞ」


とりあえずこの金髪イケメンには、後で痛い目にあってもらおう。


「では、何故君がこんな事になったのかを言うね。それは、僕の兄―――ピュバン・ゼルラウトに命令されたからだ。君を捕まえ、オークションに出せとね」


なんか、金髪イケメンの口から、知らない人の名前が出てきた。ピュバン・ゼルラウト? 誰それ? そして、やっぱり僕はオークションに出るの? 見るのは好きだけど、僕自身が出るのは嫌だな〜。


「...あんまり驚かないんだね君は?」


「あ〜...まあ。なんというか、はい」


「そ、そうか」


驚かないのかと言われても、そもそもここに連れられてきたのがわかった時点で、出るのか〜って思ってたしね? なんでわかったのかって? それは...まあ......こんな容姿してるからじゃないの? ...やっぱりちび神様には、後でとてつもなく厳しいお仕置きをしないとだめだよね。どうやって会うのか知らないけど。


...あれ? でもなんでオークションなんだろう? このまま僕をその人の所に連れて行けばいいのに? もしくは、奴隷商に連れて行けばいいのに...う〜ん、考えられる可能性としては、ここは奴隷とかを、オークションでしか手に入れられないとか? ...それはないか。


「とにかくだ。悪いがついて来てくれ」


「はーい(棒」


...この腕輪邪魔だな。やっぱり、スキルと魔法封じは反則だよ。




☆★☆★




さて、ユウがまた色々と大変な事になっている時、リリィはというと、


「ギルドマスター。リリィさんがやってきましたよ?」


「わかった。入っていいぞ」


ギルドマスター室にやって来たリリィ。アリーナは、ギルドマスターから入る許可を得ると、ドアを開けアリーナとリリィは部屋の中に入る。


「...大変そうね」


ポツリとリリィが呟く。何故なら、ギルドマスターは自分の席に座り、その机の上にある書類の束に悪戦苦闘していたからだ。


「全くだ。ここに一人で来たということは、あの話だよな? すまないが、アリーナは席を外してくれ」


ギルドマスターがリリィの周りを見て、ユウがいないのを確認すると、そう言った。アリーナは「はい」と言い、すぐにこの部屋から出て行き、自分の仕事に戻って行った。


ギルドマスター室は少しの間静寂に包まれる。リリィはギルドマスターの、ギルドマスターはリリィの目を見つめどちらも話だそうとしない。


そして、その静寂を破ったのはリリィだった。


「単刀直入に聞くわね。.....ユウはどうすればいいの?」


リリィの言葉にギルドマスターは「...やはりか」と呟きリリィを見る。リリィの目は、少しばかり潤んでいた。


「そんな顔をするな。もう国王には話を通しておる。...それでユウの事だが、一緒に城に行ってもいいそうだ」


「本当⁉︎」


「ああ」


「よ...よかった〜......」


リリィは緊張していたのか、ギルドマスターの言葉を聞いた後、全ての緊張が解け、ソファーに背を預けた。


そもそもリリィは、ここのギルドマスター(正確には国王だが)に呼ばれて、ここに来たのだ。呼ばれた理由は、最近ここらに現れた黒龍の討伐...だが、これはすでにリリィを含めたSランク冒険者達の力によって終わっている。そしてもう一つ。...それは、城で行われる勇者召喚で召喚された勇者達の育成と、さらにその勇者達のパーティーに入り、共に魔王を倒すためだった。


本来なら、勇者召喚はもう少し先の話だったのだが、いつの間にか勇者が召喚されていて、リリィはあることを聞きにギルドマスターに会いに来たのだ。


そのあることとは何か? それはーーーユウの存在だ。


さっき行った通り、リリィは勇者と一緒に魔王を倒すためにここに来た。勇者が育ち、ここら辺の魔物が相手にならなくなってしまった場合、勇者達はさらに強くなるためここを出て旅をしに行くだろう。もちろんその時リリィも勇者と一緒に出て行くことになる。リリィはその時ユウと別れなければならない。何故ならユウは弱いからだ。たとえ、リリィがSランクの冒険者といえど、まだFランクのユウを一人で守るのは難しいだろう。故に、リリィはユウと別れなければならない。...実際ユウの力はこの世界で最強なのだが......


まあ、この考えは他者から見た感想であり、リリィは旅にも連れて行く気満々なのだったりする。


「ちなみに、連れて行けないとなっていたらどうするつもりだったんだ?」


ふと、ギルドマスターが今思いついたように言った。リリィは少し考えた後、不敵に笑みを浮かべ答える。


「勇者の件は無かったことにするするかな」


「だろうな」


ギルドマスターはリリィ答えに苦笑いした。

次の話は書き終わってるんですけど、タイトルが決まってないので、次の更新は遅くなります

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