第16話ー初めて討伐依頼を受けるよ!
遅れて申し訳ありません
僕とリリィは冒険者ギルドに入ったあと、すぐに依頼が貼ってあるボードのところに向かった。いつもはGランクの依頼が貼ってあるところだけど、なんたって僕は今Fランク。とういうわけで、Fランクのところに行きます。
Fランクの依頼はどういうのがあるのかと言うと、まずは、まあかわらず採取系の依頼だ。だけど、Gランクとはほんのちょっとだけ違う。どこか違うのかというと、採取してくる数と距離だ。Gランクの場合この町周辺のしかないけど、Fランクのもう少し遠くなる。まあ、そのくらい。
次は、お待ちかねの討伐系依頼だ。討伐するのは基本ゴブリンとか狼とかしかないらしい。…狼っていうと、僕がこの世界に来て初めてたおしたやつだと思う。
と、いうのがFランクの基本的な依頼だ。あとは…まあ、特殊な例としてこの町の近くにある村までの護衛があるとかないとか。
「う~ん、そうね~…ゴブリンと狼のどっちがいい? 私としては、狼の方がいいと思うんだけど?」
リリィがボードに貼ってある依頼書を見て、悩みながら僕に聞いてくる。リリィとしては、狼の方がいいらしいって言ってるけど何でだろう? 確か、個々の力としては狼の方が上(アリーナさん情報)って言ってたのに…?
「…私もどっちでもいいんだけど、どうして狼の方がいいの?」
「だってゴブリンって、顔気持ち悪いし、無駄にいっぱいいるし、欲の塊だもん。そんな奴のところにユウを連れていくのは絶対に嫌!」
…確かに小説とかに出てくるゴブリンってそんなんだったけど、本当にそうなんだね。前見た赤いゴブリンも顔醜かったし。
それにしてもリリィってそんなにゴブリンこと嫌いなんだね。僕はローブもしてるし、普通に大丈夫なんだけど、リリィの目には絶対連れて行かせないっていう強い意志が感じられるよ。
「そ、そうなんだ…じゃあ、狼でいいよ?」
「おっけー!」
元気よく返事し、ボードに貼ってある依頼書を取って受け付けもといアリーナさんのところに向かう。
今ギルドには人があまりいない。なので、アリーナさんを含めギルド職員は、ほとんどの人が暇を持て余していた。
「アリーナ、これお願い」
「はい…って、これはユウ様が受ける依頼ですか? なら、ちゃんとユウ様に持ってこさせてくださいよ...」
アリーナさんが依頼書を見た後、呆れたようにリリィに言う。
そういえば、僕っていつもリリィに依頼書を持って行かれているような気がした。...てか、一度も持って行ったことがないような気がする。
「あ、あはは...」
とりあえず、僕は、アリーナさんに苦笑いすることにしといた。
「まあ、そんなのいいじゃない。早く早く」
「はぁ...ユウ様、ギルドカードの提示をお願いします」
「は、はい」
アリーナさんに言われたとおり、ギルドカードを出す。そして、疲れたようにギルドカードを受け取った後、ギルドカードをなんか変な魔道具? の上に置き、僕に返してきた。
「えっと、討伐部位は、キバですね。それではユウ様、リリィさんがいるので大丈夫だとは思いますが、気をつけて行ってらっしゃいませ」
「はい。行ってきます!」
アリーナさんの言葉に僕は、元気に答えて、リリィと共にギルドを出た。
☆ ★ ☆ ★
僕がリリィと話しをしながら門に向かっているときだった。
僕の視線の先には馬車が止まっていた。多分商人とかだろうと思ったから、僕は特に気にしないで、馬車の横を通り過ぎようとした。
だけど、その時僕は見てしまった。馬車の後ろには、ボロボロの服、っていうか、そもそもボロボロすぎて服っていうか、布きれ的なのを着た、まだ幼い女の子が座り込んでいるのを。
その隣には、男の人が立っていて、なぜか、その女の子に対して、怒っているようだった。
「...ねえリリィ。......あの女の子...」
僕は、思わず立ち止まり、呟く。リリィも、僕が止まったのを不思議に思いながらも、僕の視線の先を見て、悲しいような表情をした。
「あれは…きっと奴隷ね。女の子の隣にいる怒ってる男が奴隷商だと思う」
――奴隷商。リリィがそう呟いたとき僕は、やっぱりって思ってしまった。
僕はよく異世界系の小説を読む。寝て気が付いたら異世界でいた、っていう話も。どこかの王国のお姫様の勇者召喚によって異世界に行く話も。そして、僕自身に起きたように神様の間違えで死にお詫びとして異世界に行く話しもだ。
そして、その行った異世界には必ずいる者がある。それが――奴隷だ。
奴隷は基本、人として扱わない。なら、何として扱うのか? それは――物…だ。
人を蹴ったり、殴ったり、壊す…というのはおかしいかな? う~ん、殺したりすると、怒られるでしょ? でも、物ならいくらでも蹴ったり、殴ったり、壊したりするのは全くもって構わない。だって物なのだから。僕たち日本人だって物なら蹴ったり、殴ったり…はしないかな? だけど、壊したりはするわけだよ。それと同じ。まあ、この世界はどのような感じで奴隷を扱ったりするのかわからないけどね。
僕は、あの女の子を見て助けたいとは思う。今の僕なら簡単にできると思うから。だけど、もし僕が助けたら僕は十中八九指名手配的なのをされると思う。だから助けない。まだ人間を敵にしたくないから。
…あ、別に僕は人間をの敵になろうとはしてないよ? もし僕が奴隷を助けたらのはなし。…それに、リリィがいるからね。
「ユウ? ぼーっとしてどうかしたの?」
「…ううん、なんでもない。行こうリリィ」
「う、うん」
――ごめんね
僕は心の中で女の子にあやまった。




