第14話ー温泉に入るよ!
「ん...ここは...宿...?」
そういえば、ケーキ食べた後、武器屋に行ってリリィがFランク昇格祝いだとかで、武器を買ってくれた後、そこらへんぶらぶらして、宿に帰ったんだっけ。
隣にリリィが寝ているのを確認してベットから抜け出す。窓からは、明るい太陽の日差しが入ってきている。
「あれ...? 明るい」
僕は、外を見ながら言う。まだ、ここから見える範囲では、何処もお店が空いていないので、不思議に思った。
...もしかして、僕ってあのまま寝て次の日の朝、しかもすごく早い時間に起きちゃったのかな?
「...お散歩でもしてこようかな」
まだ寝ているリリィの方に向きちいさく行ってきますっといい、出て行こうとしたとき、
「ちょっとまって。私も行くから〜...」
「え?」
リリィがベットから起きて、目をこすりながら言った。
「...ん〜〜、おはようユウ」
「えっと、おはようリリィ。もしかして起こしちゃった? ごめんね?」
昨日と同じ時間に寝たなら、こんな時間に起きるはずがないと思って言ったんだけど、リリィは「ううん。大丈夫だよ」と言ってきた。
「それに、ユウ私のこと置いて1人でどこかいこうとしてたし...」
「い、いや、でも、すぐに帰るつもりだったよ?」
なんかリリィの目から光が消えていくので、なんとか説得しようと試みる。
「そういう問題じゃないからね、ユウ」
「...すみません」
「よろしい」
結果むりでした。うん、まぁ...いいか。
「えっと、じゃあ一緒に行く?」
「もちろん!」
静かな1人のお散歩のはずが、1人じゃなくて2人になりました。...あれ? これちゃんと、静かにお散歩出来るよね...?
「どうしたの?」
「え? ううん、なんでもない。行こっか」
やめよう。何か、フラグが立ったような気がするけど、大丈夫だよね...? いや、大丈夫だよ、きっと。
よし! もう考えるのはよそう。
宿から出た僕は、せっかくだから普段行かないようなところに行こうとしたんだけど、リリィにダメって言われたので適当に大通りをぶらぶらする。
まだどこもやっていないお店を見たりリリィと話しながら道を歩いていく。
そこで僕はふと気になる看板があったので立ち止まった。
「...おん...せん...?」
そう。そこに書かれていたのは温泉と言う二文字。...もしかしてここってあの温泉⁉︎ まさか、この世界で温泉が見られるなんて思わなかったよ。
「ん? ああ、ここ? ここはね、この国にある唯一の温泉なのよ?」
「そうなの?」
「うん。あとは、あそこに見える城の中や貴族の家くらいにしかないわ。その点ここは、お金があるなら誰でも入っておっけーな場所だから、結構人気なのよ?」
リリィが僕に詳しく説明してくれる。...ということは、僕も入れるってことだよね⁉︎
そういえば僕、昨日あのまま寝ちゃったから、体拭いてすらいないんだよね! これはもう入るしかないよね!
「リリィ! リリィ! 温泉入ろう!」
「え? いや、あの...」
「はやく、はやく!」
僕は、リリィの手を引っ張り中に入るよう急かす。
「うう〜...わかったわよう...!」
「やった!」
何故かうーうー唸ってるリリィを見て不思議に思ったけど、ちゃんと来るみたいでよかった。
ここと、日本では何か違うかもしれないから心配だったんだよね。
ドアを開けて入ると中にいたのは、受け付けの人くらいだった。やっぱりまだ朝早いからかな? まぁ、いいや。
リリィ! あとは頼んだよ!
「...はぁ、すみません。温泉に入りに来たわ」
リリィは僕のことを見てため息をついて言う。え ひどくない? 仕方ないじゃん。僕知らない人と話すなんて緊張しちゃうし。...たぶん
「はい、2名様でよろしいですか?」
「うん」
「かしこまりました。それでは、2名様で、銀貨2枚となります」
...銀貨2枚って、日本円でいうと、20万⁉︎ 高くない⁉︎ でもリリィは普通に出してるからこの世界じゃ普通なのかな? そういえば、昨日食べたパフェが確か8枚だったし。...あ、あとでリリィにお金返しとかなくちゃ。
「ほら、ユウ行くわよ」
「うん!」
受け付けのところから右に曲がる。左は男湯、右は女湯となっている。
リリィと一緒に脱衣所に着いたとき、僕は重大なことに気がついてしまった。てか、気がつきたくなかったよ。
ほら、僕って今はこんな体だけど、前世? っていえばいいのかな? は男だったんだよ? ...あれ、これどうしよう
幸いなことに僕とリリィ以外誰もいなかったのはよかったけど...
「ユウ? どうかしたの?」
「ううん、なんでも...な...い...?」
リリィの方を向くと、あらまびっくり、なんとリリィが裸で...って、違う違う!
慌てて後ろを向く。
「ユウ?」
「いや、えと...その、わ、私、他の人と一緒に入るの初めてだから、その...恥ずかしくて...」
「...ふふ、大丈夫よユウ。恥ずかしくて脱げないなら、私が手伝ってあげる」
「え?」
リリィが、不敵に笑いながら僕に向かって一歩ずつ歩いてくるように感じる。いや、怖いよリリィ!
「ふふふ...」
え、ちょ、嘘でしょ⁉︎ 冗談だよね! リリィ⁉︎
「大丈夫よ...怖くないから...ね?」
「なにが⁉︎」
思わずリリィの方を向く。大丈夫。体を見なければいいんだ。リリィの目だけを見てれば大丈夫なはず。
じりじりと歩み寄ってくるリリィに僕は、後ろへと少しずつ動いて逃げていたんだけど、壁にぶつかってしまった。
......あ、これ詰んだね。
僕が、そう思った直後、リリィの目がキュピーンと輝いていた僕に襲いかかってきた。
「う、う、うにゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
☆★☆★
「リリィ、私決めたよ...」
「え〜? なにを〜?」
僕の、真剣な言葉にリリィはお肌つやっつやの抜群の笑顔で僕を見てくる。
「私...お風呂を作る!」
僕は、がんばってその笑顔をスルーして、宣言するように言う。
僕の宣言を聞いたリリィは、ポカーンとした後「なるほど」っと、手を叩き僕を見た。
「つまり、温泉だと人の目があるから、私達専用のお風呂を作って、私と愛を育みたいと」
「そういうこと一言も言ってないよ⁉︎ 一体リリィの思考回路はどうなってるの⁉︎」
何故かいきなり変な発言をした、リリィに僕は大声を出して否定する。
「ええ〜」
「ええ〜じゃないからね⁉︎ そして、そんな目に見えて落ち込まない!」
まったく、一体誰がリリィをこんな性格にしたんだか...さすがに、あの温泉での出来事はやりすぎだよ。リリィには、後でちゃんと言っておかないと。
「それでリリィ。お風呂付きの家を買いたいんだけど、あるかな?」
「お風呂..付きの...家⁉︎ ゆ、ユウ! その家私も住みたい!」
さっきまで、落ち込んでいたのが嘘みたいに元気になるリリィ。
「...お風呂で、ううん...家の中で変な事しないって、誓える?」
リリィの両肩をがし! と、掴み聞く。
「...も、もちろん」
リリィ...目が泳ぎすぎだよ。
「はぁ...とりあえず、宿に戻ろうか」
「は〜い」
手を繋ぎ宿に向かう。隣では、リリィがものすごくちいさな声で、「...お風呂でのユウ...可愛かったな〜。...今日の夜、襲っちゃおうかな...」とか言っていた。
今すぐ手を離してここから立ち去りたい。ダッシュで。でも、手を話すとリリィがそれはものすごく悲しい顔になるから出来ない。しまいには、泣き出すし。
最初の頃は、全然大丈夫だったのに、なんでこんなになっちゃったのんだろう? いやまあ原因わかってるけどね。僕のせいだってことは。大切にしてくれるのは嬉しいけど、なんかもう将来リリィがヤンデレ化しそうで怖いよ。
「...はぁ、どうなるんだろう。これから」
僕は、小さい声でそう呟いた。
あ、ちなみに今日の夜は、十分警戒して寝ようと思います。
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