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第10話ー帰ってきたよ!

「って、その人間が今騒ぎになっている不法侵入者だったんですか⁉︎」


とりあえず、入ってきたプカさん(本名はプルーカ)に今の状況をエリスさんが話した。僕? 僕は、プカさんが持ってきてくれたお菓子を食べてるよ。魔界のお菓子ってものすごく美味しいね。...そして僕はどうしてエリスさんの膝の上に座らさせられているんだろうか...。


「うん。だけど、もう私の物だから大丈夫よ」


「わかりました。では皆の者にもそう伝えておきましょう」


「いや、違うからね⁉︎」


あぶないあぶない。もう少しで、魔族の皆に変な誤解を与えるとこだったよ。


「ん〜...でも、そうしておかないと後々面倒なことになるよ?」


「め、面倒?」


え? なに? 何が起こるの?


「ほら、ユウって不法侵入者扱いになってるでしょ? 人間界でもそうだと思うけど、魔王城に許可なく入ったりしたら重罪なんだよ?」


え? そうなの? ってか、なんで頭撫でながら言うの? ...まぁ、いいけど。


「じゃあ、私ってどうなるの?」


死刑! とか言われたら...うん、転移して逃げよう。


「ん〜とね、ユウが私の物になるなら、特に何もしないでおこう」


「それはなんかやだ!」


「がーん!」


僕がそうきっぱりと言うと、落ち込んでしまった。何か怖かったからつい即答しちゃったけど、...そ、そこまで落ち込まなくてもいいじゃん。何か僕が悪いことしてるみたいじゃん。


「ふむ...では、ご友人ではどうだろうか?」


「それだ!」


プカさんの何気無く言った言葉に全力で肯定する僕。さっきのより全然良い。エリスさんは、「え〜、どうせなら、ユウを私の物にもしたい」とか言ってる。…絶対にならないからね?


「じゃ、じゃあ、エリスさん。ぼ...じゃなくて、私と友達になってください」


あぶないあぶない。もう少しで僕っていうとこだったよ。てか、なんか恥ずかしいねこれ。


「うう〜...仕方ない。友達で諦めるよ。...よろしくね。ユウ」


仕方ないって。そんなに欲しかったの? 確かにエリスさんは可愛いし、僕がエリスさんの物になっても痛いことはしないと思うんだけど...なんだろう…貞操の危機が感じるんだよね。


「あと、私の事はさん付で呼ばなくていいよ。呼び捨てにして」


「え? で、でも、一応魔王さんだよね...?」


「いや、一応じゃなくて、本物の魔王なんだけど...」


「あ、あはは」


とりあえず笑って誤魔化す。いや、忘れてたわけじゃないよ? 一応って言ったし。ただ、全然魔王らしくないな〜と思っただけで。ステータスは半端ないけど…


「...さて、では私は行きますね。他の者にも伝えなければいけませんので」


「うん、色々言われると思うけどよろしくね」


「はい。それでは、魔王様、ユウ様」


そう言ってプカさんが出て行ってしまった。僕もそろそろ帰らないと本当やばいので、エリスの上から逃げるように離れる。


「ああ⁉︎」


「ごめんね。私もそろそろ帰らなくちゃ。また後で来るから」


「...わかった。ユウにも自分の生活があるんだもんね。でも、絶対また来てね? 絶対だよ?」


「うん! 絶対来るから」


そうして僕は、悲しそうな目で見てくるエリス(そう呼ぶことにした)に罪悪感的なのを覚えながらその場から転移した。



☆ ★ ☆ ★



「うわぁ〜、結構日が落ちてるな〜」


僕が転移した場所は、あのとき魔族がいた場所。そういえば、あの魔族は一体なにしてたんだろう? エリスに聞いとけばよかった。まぁあとで聞けばいいかな。


「さて、走れば大丈夫かな?」


少しは体動かさないとね。転移ばかりに頼ってたらなまっちゃうし。


「よし...じゃあ、スキル“気配感知”発動」


では行きますか!






あの場所から走って、うん、まぁ、誰にも会わなかったけど、...着くの速すぎじゃない? 絶対1分そこらしか経ってないよね? もしかしたら1分も立ってないかも。…なんで…って…そういえば、ステータス戻すの忘れてた。


……ま、まぁ、着いたからいいよね。気にしない気にしない。あと、ちゃんとステータスは10に戻しておかないと。耐性値以外だけどね。


「もんばんさーん!」


「ん?」


あ、そういえば、あのもんばんさんの場所じゃなかったの今思い出した。まぁいいか。


「えと、ここを通りたいんですが...これ、ギルドカード」


「...よし、確かに確認した。通ってもいいぞ」


ギルドカードを見せたら普通に通してくれた。まぁあたりまえか。


…それにしても、何か今日は疲れた。速くアリーナさんのとこに行こう。


街に入ったところで、すでにローブを付けていたので特に何事もなくギルドに着いた。…もちろんフードもね!


そして、ギルドに入った瞬間、驚愕した。だって、何故かいたリリィが泣きわめいていたから。あまりの状況に茫然と立ち尽くした僕は悪くない。




(え? なにこの状況? どうなってるの? 何でリリィがこんなになってるの?…と、とりあえず声かけなきゃ。)





「リリィ?」


その場でリリィを呼び駆け寄る。


「ふえぇぇぇぇん...ゆ、ユウ⁉︎」


僕が声をかけると泣いていたリリィがこっちに向いた。僕はまだフードをかぶっていたのでフードを取り答える。


「うん、そうだよ。...それよりどうして泣いて「ユウ!」......んん⁉︎」


どうして泣いてるのか聞こうと思ったら急に泣きながらリリィが抱きついてきた。それはもう思いっきり。リリィの勢いに負けてそのまま床の倒れてしまうほどだ。...倒れたけど。


てか、ちょうどリリィが僕の顔を自分の胸に押し付けてくるので、まだちいさいながらも確かなふくらみが...あれ? これ、このままずっと抱きしめられてたら、窒息死するんじゃない?


「ユウ! ユウ! よかったぁ!!」


僕の気持ちを知らずにさらに強く抱きついてくるリリィ。


「ふあ、ちょ、り、リリィ⁉︎ そ、そんなに強く抱きしめたら、息が...あ、」


「ユウ! ユウ! ...あれ?」



ま、まさか、女の子の胸の中で意識を失う日が来るとは...がく


そして僕は意識を失った。



☆ ★ ☆ ★



「...ん」


「あ、ユウ! 気がついた?」


目を開けると目の前にリリィの顔があった。


「...ん〜、ここは...?」


上半身を起こしあたりを見渡す。僕が寝ていた場所はベットのようだ。


「私達が止まってる宿よ」


宿...宿かぁ〜。となると僕はあのままリリィに運ばれたのかな...? まぁそうだろうね。


「...リリィ、私に何か言うことない?」


「ごめんなさい」


僕がそう言うと、頭を下げて僕に謝ってきた。


「ん、よろしい」


まぁ特に気にしてないからすぐに許す。


「じゃあ、ユウ。今度は私に言うことない?」


「え、えと...か、帰ってくるの早かったんだね。あ、あはは」


「...ユウ」


「ごめんなさい」


リリィが目を細めて僕を見てくるので即効で謝る。うん。まぁ、わかってたけどね。これからお説教かな? やだなぁ〜。


「...今まで何処に行ってたの?」


「...え? え〜っと、」


僕がこの後何が起こるのか考えていたらリリィがそう言ってきた。


...あれ? これ僕どうしよう? 魔界に行ってました〜って言ったらどうなるのかな? ...うん、やめておこう。きっと、怒られる。


じゃ、じゃあ...あれ? 何もなくない? ど...どうしよう。


「ユウ? どうしたの? 何で何も言わないの?」


やばい! リリィが怒ってるよ! おこだよ、おこ! は、早く、何か言い訳を思いつかないと...!?


「えと、その、あの......」


何も思いつかないよ⁉︎ どうしよ...


「何か言えない事情でもあるの?」


「...うん」


「そう」


そう言ってリリィは、「じゃあもうこの話しはおしまい」と言った。

え? それでいいの? もっとこうないの? まぁ、その方が僕としては嬉しいんだけど...


「ほら、ユウ。下に行ってご飯食べよう? もう時間ないから」


「え? でも、いいの?」


「...気になるけど、ユウが言いたくないなら言わなくていいわ。理由があるんでしょ? ...だけど、何もかも1人で抱え込もうとしないでね? 私はこう見えても強いんだから。もっと頼ってくれてもいいのよ?」


僕は、その言葉を聞いて、リリィに出会って本当に良かったと改めて思った。


「ありがとう」


「ふふ、じゃあ行こう?」


「うん」


リリィが差し出した手を取り、部屋から出た。






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