犬と雪と花
冬の朝、寒さに目を覚まし時間を確認するとまだ時計の短針は6を指している。
早く起きすぎた。
そう思いカーテンを開けるとまだ薄暗い。冬の夜明けは遅いことを実感する。
昨日の夜更けから降っていた雪は今は小降りになり、地面を隠す程度に積もっている。
ケータイを確認すると1通のメールが届いている。同じクラスの相馬くんからだ。
件名:外、見て。
2階の窓から外を見ると門の横の花壇のそばにしゃがみ込み、白い息を吐きながら手を温める相馬くんがいた。
メールが届いた時間を見ると1時間半
も前だ。
まさか1時間半も早朝の寒空の下で私のことを待ってたのだろうか。
すぐそこにあった薄手のガウンを寝間着の上に羽織り、素足にスニーカーを引っ掛け、急いで相馬くんの元へと向かう。
雪はパラパラと振り続けている。
相馬くんは私の顔を見ると、ふわり と笑う。冬の朝の空は少しだけ明るくて、ぼんやりと私たちを包み込む。相馬くんのサラサラとした栗色の髪がまるでタンポポの綿毛のようにほわほわと光っていた。
触ってみたい。
そう思った。相馬くんの、あのほわほわとした、犬のような髪に触れたい。
そうしたら相馬くんはどんな顔をするのだろうか。
私たちに雪は降る。
相馬は 「寒くないか」だの 「いきなり起こしてごめんな」だのと一時間半もこの寒さで待っていた自分のことを棚に上げて私に気を遣う。いや気を遣っているわけではない。
もうそういう性格なのだ。
自分のことを棚に上げて人の心配をする。そういう人なのだ。
まるで主人を気遣う犬みたいだ。
「渡したい物が あったんだ」
そう言って黒い手軽に持てそうなカバンをガサゴソとまさぐって小さな小さな箱を取り出した。
開けると中には小さな小さな花がたくさん咲いていた。
よく見るとそれは小さな花がたくさんついた髪飾りだった。
「佐藤さんは花みたいだから。」
「相馬くんは犬みたいだよ。」
本当はありがとう って言いたかったけれど、この言葉が口から零れてしまった。
雪は降り続けている。
春になったらこの髪飾りみたいな花がいっぱい咲いてる公園に、お花見に行こうよ!
相馬くんは頬も耳も鼻の頭も赤くして言った。
いいよ。
そうしたら私はこの髪飾りを付けて花を見よう。
私の勝手な妄想をお話にしてみました。
理想的な告白されたいよねって考えてたらこうなりました。告白なんて要素はなかったですが!
初めてのことなので温かい目でみてもらえれば幸いです。




