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20年の思いをあなたに  作者: のん
生きたい
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生きたい。









あたしは、いつまで生きられるの・・・?



何ていう病気なの?



死んじゃうの?



何で言ってくれなかったの?



痛いの?



苦しいの?



怖いの?






数え切れないほどの不安を抱えて、あたしは家に帰ることにした。



お母さんに・・・、何て言おう。



もう、何も考えられない。



あたしはただ、普通の幸せを手に入れたかった。



ただ、それだけなのに・・・。




「ただいま・・・。」



お母さんは、いなかった。



・・・お父さんも。



あたしはリビングにはいかず、そのまま自分の部屋に行った。



何でだろうね。



何でか自分でも分からないけど、あたしはアルバムをひたすらめくっていた。



こんなことしたら、よけい苦しくなっちゃうのに・・・手が止まらないんだ。



マサキとの思い出が、お母さんとお父さんとの思い出が、消えちゃう気が、したのかな。



涙が止まらないんだ。



泣いたって、どうにもならないのに。



昨日からどれくらい泣いたんだろ。



そう考えているうちに、あたしは眠ってしまった。



今日は学校に、行きたくない。



こんな気持ちでみんなにあったって、寂しいだけでしょ?



だから、行かない。



そのとき、ふと。思ったんだ。



「どうせ死ぬんだ」



って。



どうせあたしは死ぬの。



誰も、悲しんだりしない。





そう思うと、よけい涙があふれ出てきて・・・。



きっとどこかで・・・。



「それはちがうよ」



って。



あたしのどこか・・・、心が否定していたんだ。




明日。



学校、いこっかな。



まだみんなには打ち明けられないかもしれないけど、残りの時間を精一杯楽しみなさいって、声が聞こえた。



その声が、誰なのか。



あたしには分からない。



でも、きっとどこかであたしを応援している。



そんな人がいる気がするんだ。



それはあたしの気のせいなのかもしれない・・・。



いいよ。



それでも。



気のせいでも、あたしが今少しでも成長する事が出来たことは・・・事実なのだから。



ただ、感謝するだけなの。








「ピーンポーン」



その音で、あたしは目が覚めた。



必死で目の腫れをかくしながらあたしは戸を開けた。



「はーい。」



戸を開けると、そこにはあたしの愛しい仲間たちの姿があった。



「みんな・・・。」



「マリ、だいじょーぶ?熱あるのー?お見舞いきたよ。」



「えっ?来てくれたの?あたしのために・・・?」



「あったりまえじゃーん」



ナツホは言ってくれた。



マサキは・・・?



彼の方を向くと、彼は笑顔で言ってくれた。



「おう!」



って。



その1言でも。



その1言でも、あたしはうれしかった。



こんなあたしを支えてくれる人が、こんなにいるなんて。



そのときあたしは強く。



強く思ったんだ。



「生きたい。」



って。

















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