一瞬の時めき
屋上飛び出したものの、一人になれる場所探して、走ってた。
「マリッ」
「ッ、え。」
突然誰かがあたしの手を掴んだ。
「好きだっ」
「え。ショウ、君?」
ショウ君だった。
あたしの手、掴んで。
思ってもなかった事言ったのは。
「好きなんだよっマリの事。5年前から、ずっと。」
「えっでもあたし、マサキの事が今でも・・・・・・・」
「それでも!俺と付き合ってくれ。」
彼はあたしと同じ瞳してて。
何も言えなくなる。
「俺が。マリを幸せにする。マサキに負けないくらい。幸せにしてやる。」
「・・・・・っ、ショウ君。ゴメンナサイ。あたし、もう生きられないの。」
「・・・・・・・?」
「病気で・・・・。だから、マサキとも別れた。彼方まで、不幸にしたくない。」
「・・・・・・・・。」
そぅ、だよね。
退いたよね?
「・・・・・・ばいばい。サヨウナラ。ショウ君。」
「・・・・・待って。」
「え」
「俺。絶対マリ守る。病気でも、何からでも。守ってみせる。」
「え。」
「だからっ・・・・・・・」
そう言うと、彼はあたしを強く。
強く抱きしめる。
駄目だって。
分かってるけど。
あたしの涙は言う事聞かず、流れ続ける。
気づいたら、あたしは。
ショウ君に抱きついてた。
「付き合ってください。」
「・・・・・・・・・うん。」
間違ってるって。
分かってる。
ショウ君利用してるって。
自覚してる。
でも。
・・・・でも。
一瞬だったけど。
“好き”
って。
思っちゃったんだもん・・・・・。
一緒に居たいって。
思っちゃったから・・・・。
マサキが・・・・。
好きなのに。
心変わりなんて。
単純すぎるよ。
5年間も。
一緒に居たんだよ?
なのに。
好きって気持ちは。
こうも簡単に、他の人に移ってしまうの?
・・・・・・ううん。
移ってない。
あたしは。
マサキが好き。
でも、ショウ君も好き。
そんな。
最低な狭間に居る。
それだけなんだ・・・・。




